1994年、わずか100日間で約80万人が犠牲となったルワンダ虐殺の後、農村で静かに活動を始めたフォーク・デュオ、ザ・グッド・ワンズ。ギターと素朴な打楽器を携え、日々の暮らしと愛、喪失と記憶を歌い続けてきた彼らが、長年の夢であったストリングスとの共演を実現させた感動の最新作が本作『ルワンダ・シングズ・ウィズ・ストリングス』です。 本作は、ティナリウェンやランブリング・ジャック・エリオットの作品も手がけたことで知られるイアン・ブレナンのプロデュースによって、米ワシントンD.C.のホテルの一室で完全ライヴ録音されました。チェロとヴァイオリンの奏者は、互いに初対面のまま、楽譜も用いずに即興で演奏し、全編がそのまま録音されました。録音はわずか3時間で行われ、19曲が収録されましたが、その中から選ばれた10曲が本作に収められています。 冒頭曲「アグネスはアーティストになる夢を見ている(Agnes Dreams of Being an Artist)」では、淡く切実な恋の記憶が語られ、弦の響きが語りを優しく包み込みます。愛する人への想い、家族の死、村の出来事、都市化に揺れる農村の変化……すべてが、ギターと歌、そして生活の中の身近な物を楽器として奏でる打楽器に乗せて、ルワンダ語で歌われています。 演奏の中心を担うのは、リード・ヴォーカルとギターのアドリアン・カジギラと、ハーモニーと即興打楽器のジャンヴィエ・ハヴギマナ。紙コップやブーツ、ソファのクッションまでがリズムを生む楽器となり、日常と音楽の境界を曖昧にしていきます。そこにチェロとヴァイオリンが加わることで、まるでマリのブバカール・トラオレや、英国の伝説的SSWニック・ドレイクを思わせるような叙情性がにじみ出ています。 アルバムのタイトルに「ルワンダ」という地名を掲げることは、同国の首都キガリを冠した2010年のデビュー作『Kigali Y’ Izahabu』以来、彼らが一貫して守ってきた伝統です。日本では2015年に『ルワンダ・イズ・マイ・ホーム』(サンビーニャ・インポート PPSI-5384)として紹介され、多くのリスナーの心を打った彼らの音楽が、今また新たな形で届けられようとしています。 ザ・グッド・ワンズは名声を求めることなく、無名の人々の暮らしを歌い続けてきました。その誠実な音楽は、ウィルコやTVオン・ザ・レディオ、マイ・ブラッディ・ヴァレンタインのメンバーらに支持され、さらにレッド・ツェッペリンのロバート・プラントも彼らを公に支持してきたひとりです。それでも彼らは今もなお、ルワンダの丘の農場で畑を耕しながら、“善き人々”を探し求める歌を静かに歌い続けています。
●日本語解説/帯付き
トラックリスト 1. Agnes Dreams of Being an Artist 2. One Red Sunday, You Lied & Tried to Steal My Land 3. Kirisitiyana Runs Around 4. In the Hills of Nyarusange, They Talk Too Much 5. I Love You So Much, But You Refused to Marry Me (Your Beauty I Cannot Unsee) 6. Mediatrice, You Left This World Too Soon 7. You Were Given a Dowry, But Abandoned Me 8. The Valley of the Turkeys (The Things I’ve Seen) 9. Everyne, the Earnest One 10. The Older Girls Lead the Little Ones Astray
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