エルヴィス・プレスリーやチャック・ベリーと並ぶ、ロックンロールの偉大な先駆者:ボ・ディドリー(1928-2008)。彼は、〈ディドリー・ビート〉あるいは〈シェイヴ・アンド・ア・ヘアカット、トゥー・ビッツ〉(「タッタタ・タタ(休符)タタ」という、5つのアクセントからなる3:2のリズムパターン)と呼ばれるアフリカ由来のリズムをロックに導入し、ロックンロールの歴史を根底から変えたことで知られます。この独特かつ呪術的なビートは、1960年代以降に登場した数多くのバンドに、インスピレーションを与え続けています。 1928年、ミシシッピ州の貧しい母子家庭に誕生したディドリーは、5歳で叔母の元に引き取られました。この頃より、ヴァイオリンやギターの演奏を開始しています。10代になると、前途有望なボクサーとして周囲の人々の注目を集め始めますが、その一方で、ルイス・ジョーダンのジャンプ・ジャイヴやマディ・ウォーターズのブルースにも心酔するようになり、自身も街角でギターを演奏するようになりました。 ところが叔母は、〈悪魔の音楽〉を演奏していると彼を叱責。これに反発したディドリーは家を飛び出し、シカゴを目指しました。そして1954年頃にはエレクトリック・ギターを携え、グリーン(マラカス担当)やビリー・ボーイ・アーノルド(ハーモニカ担当)らと共にバンドを結成。彼はそこで、ブルースやR&Bの系譜にありつつも、そのどちらの枠にも完全には収まりきらない、アーシーでファンキー、かつ軽妙な、彼独自のロックンロール・サウンドを編み出していきました。 そして1955年。革新的なリズムとサウンドをひっさげ、バンドはシカゴ屈指のブルース・レーベル〈チェス・レコード〉と契約。同年にリリースされたデビュー・シングル「Bo Diddley」(カップリング曲は「I’m a Man」)は、R&Bチャートでヒットを記録し、幸先のいいスタートを切りました。続くシングル「Diddley Daddy」もチャートにランクイン。この直後、『エド・サリヴァン・ショー』に黒人アーティストとして初めて出演するという快挙を成し遂げました。 またこの頃より、〈ディドリー・ビート〉の模倣者たちが続出。当時の英国の新世代バンドを代表するローリング・ストーンズ、アニマルズ、ヤードバーズ、そして彼の曲名からバンド名を採ったプリティ・シングスなどが、こぞってこのビートを取り入れました。 今回ご紹介する作品は、ボ・ディドリーが1950年代後半から1960年代初頭にかけ、チェス・レコードおよびその傘下のチェッカー・レコードに残した、初期最重要音源集。まさに彼のキャリア黄金時代の軌跡をまとめた一枚です。収録は、「Hey! Bo Diddley」「Who Do You Love?」「Road Runner」「Say Man」「I'm A Man」など、彼の代表曲であり、ロックの原点でもある全26曲。ラフ・ガイドならではの愛情深いリマスター作業の賜物である驚きの高音質も大きな聴きどころの一つ。魅惑のディドリー・ビートが、いま色鮮やかに蘇ります!
●日本語解説/帯付き
トラックリスト 1. Hey! Bo Diddley 2. Who Do You Love? 3. I'm A Man 4. Mona 5. Road Runner 6. Hush Your Mouth 7. Say! Boss Man 8. Diddy Wah Diddy 9. Sixteen Tons 10. The Clock Strikes Twelve 11. Spanish Guitar 12. Cops And Robbers 13. Ride On Josephine 14. Before You Accuse Me (Take A Look At Yourself) 15. Pretty Thing 16. Doing The Craw-Daddy 17. Bo Diddley 18. Dancing Girl 19. Say Man 20. Bo's Guitar 21. Diddley Daddy 22. You Don't Love Me (You Don't Care) 23. Crackin' Up 24. Willie And Lillie 25. Oh Yea 26. Don't Let It Go (Hold On To What You Got)
2026年10月4日発売 BO DIDDLEY / THE ROUGH GUIDE TO BO DIDDLEY