オランダ・アムステルダムを拠点に活動するインドネシア系若手音楽家たちが結成した新鋭バンド、ヌサンタラ・ビート(Nusantara Beat)。待望のデビュー作となる本作は、サイケデリックなビートとインドネシア伝統の旋律を融合させた独自の音楽世界を切りひらくアルバムです。リリースは、現代グローバル・ミュージック・シーンを牽引するドイツの人気レーベル〈Glitterbeat〉から。国際的な注目度も抜群の作品となっています。 ヌサンタラとはインドネシア諸島全体を指す古い言葉で、「多様な文化がひとつに結びつく」ことを意味します。彼らはこの理念を音楽で体現し、アムステルダムの活気あるシーンから飛び出して世界の耳を惹きつけています。バンドの中心人物のひとり、ベーシストのマイケル・ジョシュア(Michael Joshua)はインドネシア・西ジャワ州出身で、15歳の時にオランダへ移住しました。そのほかのメンバーは、ヴォーカル、ギター、鍵盤、ドラム、パーカッションといった編成で構成され、いずれもインドネシア系のルーツを持つ音楽家たちです。彼らはEUTやジャングル・バイ・ナイト、さらにはアルトゥン・ギュンといったグループで活動経験を積んでおり、ルーツ音楽を探究したいという思いから意気投合し、2021年に結成されました。 2022年夏の初ステージ以降、スイスのBongo Joe Recordsから7インチを発表し大きな話題となります。代表作「Djanger」(2023)はバリ舞踊を描いた名曲、「Kota Bandung」(2023)は西ジャワ州都を歌う70年代の古典、そして「Mang Becak」(2024)はスンダ語で歌われる軽快なポップ曲で、いずれもインドネシアのポップ黄金期〈スンダ・ポップ〉を現代に甦らせました。西洋のポップやサーフ、ファンクの影響を吸収した60〜70年代のインドネシア音楽に彼らは敬意を払いながら、新しい解釈を与えています。 本作『ヌサンタラ・ビート』では、さらに一歩踏み込み、11曲すべてをオリジナルで制作。ガムラン音階〈ペロッグ〉をベースに、カチャピ(筝)、クンダン(太鼓)、バリのゴングやガムラン音源のサンプルを取り入れ、伝統と現代的なシンセ・サウンドを自在に行き来します。サーフ・ギターがガムランの残響と重なる� �Ke Masa Lalu」、エレクトロ・グルーヴの��「Bakar」、陽光あふれるファンク調の��「Di Pantai」など、多彩なサウンドが展開。歌詞は英語で書かれた後、インドネシア語に訳され、透明感ある歌声によって現代的なポップの感覚と結びつけられています。なかでもスンダ語で歌われた�◆�Kalankang」は幽霊譚を題材とした異色曲で、神秘的な物語性とサイケな音像が鮮烈な印象を残します。 伝統を受け継ぎながら未来を見据えるヌサンタラ・ビート。多文化が交錯するアムステルダムから、インドネシアのリズムと旋律を再創造する彼らのデビュー作は、サイケデリック・グローバル・ミュージックの新たな地平を切りひらく1枚です。
●日本語解説/帯付き
トラックリスト 1. Ke Masa Lalu 2. Kalangkang 3. Di Pantai 4. Bunga Mekar 5. Ular Ular 6. Kupu Kupu 7. Gapura 8. Hilang Kendali 9. Tamat 10. Bakar 11. Cinta Itu Menyakitkan