ワールド・ジャズ／ルゾフォニア音楽シーンにおいて国際的な評価を得ているポルトガル出身のベーシスト／作曲家／プロデューサー／マルチ・プレイヤー：テオ・パスカル。ポルトガル国内では同国ポピュラー音楽史過去30年における最高のベース・プレイヤーの一人として数えられており、また、彼の妻であるカーボ・ヴェルデの血を引く女性歌手：カルメン・ソウザ作品におけるプロデューサー、優れたセンスを持つ作曲・編曲家としても世に広く認められてきました。今回ご紹介するのは、そんな彼の最新ソロ・アルバム『クアムンドス ２（feat. カルメン・ソウザ）』です。
テオ・パスカルはプロ・ベーシストとしてわずか13歳でデビュー。21歳までの８年間は、カルメン同様、カーボ・ヴェルデの血を引くポルトガルのSSW：サラ・タヴァレスの専属ベーシスト、ツアー・ディレクターとして活躍しました。そして2001年、サラのもとを離れた後にソロ・デビュー。テクニカルなジャズ・フュージョン・サウンドにアフリカ大陸諸国の音楽要素を融合させたファースト・アルバム“Quamundos”は、国内外メディアにおいて高評価を獲得。2005年には自身のレーベル：Theo O The Zzを設立し、前作の方向性をさらに推し進めたセカンド・アルバム“Motive”をリリースしました。その後はカルメンとのアルバム共作制作／共演を中心に、カーボ・ヴェルデ出身の歌手：イルド・ロボ、マリア・アリス、ギニア・ビサウ出身のエネイダ・マルタ、アンゴラ出身のドン・キカスなどをはじめとするアフリカ系アーティストたちの作品にも、セッション・プレイヤー／ゲスト・プレイヤーとして参加。ジャズ・シーンではイエロー・ジャケッツのメンバーとしてもお馴染みのサックス・プレイヤー：ボブ・ミンツァー、ロバート・プラント率いるハニー・ドリッパーズのメンバーにしてチック・コリアとの共演でもお馴染みのドラム奏者：デイヴ・ウェックルなどとの共演も果たしています。
今回の作品名となった〈クアムンドス〉とは、キンブムド・アンゴラ方言で〈人々の団結〉を意味。文化の相違に対する尊重／相互理解によって織り成される世界の概念を表すものであると、テオ自身が説明しています。そしてその名の通り、テクニカルで洗練性の高いジャズ・サウンドを土台に多国的伝統音楽要素がモザイクのように散りばめられた、フレッシュかつエキサイティングな一枚へと完成されました。そんな本作のプロジェクト・メンバーは、現在はイスラエル国テルアビブを活動拠点に置くサンクトペテルブルク出身の名サックスプレイヤー：レニー・センデルスキー、フェンダー・ローズ／アクースティック・ピアノ／ヴォーカル担当のカルメン・ソウザ他、アンゴラ、モザンビーク、インド他の伝統音楽との深いつながりを持つポルトガル人アーティストという面々で固められています。
冒頭�，蓮∪哨▲侫螢�の伝統を想起させるビートをベースに、爽やかなプログレッシヴ・ジャズ・サウンドを融合。センデルスキーのサックスとカルメンのエレピとの絶妙な絡みもたっぷりと楽しむことができます。�△賄租�的なヒンドゥスターニー音楽調のリフをジャズの角度から捉え、自由性高く伸びやかに展開。テオによるサンプリング・センスもきらりと光ります。この他にもアフリカ、イラン〜トルコ、南米はじめ、多種多様な国の伝統音楽の旋律をモザイク的に取り入れた、美しく楽しくもインテレクチュアルな楽曲が盛り沢山。有能なコンポーザー／アレンジャー／バンド・リーダーとしての彼の魅力はもちろん、ポルトガルが誇る超絶技巧ベース・プレイヤーとしての腕前もたっぷりと堪能することが出来ます。是非、お聞き逃しなく！
トラックリスト
1. IMPERFECT CAUSE MAXIMBOMBO
2. DISCOVER ME
3. PLANET SMILE
4. KUTEQUATEKESSA QUAMUNDOS
5. LOVE & JUSTICE
6. MUTEBASS
7. I DON'T MEAN TO BE A PAIN
8. ROTATION
9. I LOVE PEOPLE
10. SETTLEMENT
2022年6月12日発売
THEO PASCAL / QUAMUNDOS 2 FEAT CARMEN SOUZA
