世界各地の知られざる音楽を発掘してきたドイツのレーベル〈Analog Africa〉が、南アフリカのヨハネスブルグと周辺のタウンシップ(黒人居住区)で育まれた音楽を紹介します。1969〜81年の録音全22曲を収めた本作は、米国のソウルやファンク、ディスコに、地元のリズムやジャズ、さらにはアフロビートやレゲエも交わる2枚組。アパルトヘイトによる厳しい制約のもとでも、人々を踊らせ続けた音楽の豊かさに触れられる作品です。 1960年代から70年代にかけて、レコードやラジオを通じて届いた海外の音楽は、南アフリカの若者たちを刺激しました。彼らはその影響を吸収し、伝統的なリズムや地元のダンス音楽と組み合わせ、自分たちのサウンドへと作り替えてゆきます。そうした多彩な表現を包み込む呼び名が〈タウンシップ・ソウル〉。アレクサンドラやソウェトでは数多くのバンドが生まれ、音楽家たちは競い合い、共演し、互いの演奏から学びながら、新たな音楽を育てていました。 その活動を支えたのは、レコード会社やスタジオだけではありません。家庭の一角で営まれる酒場、ガレージ、集会場、劇場やクラブなど、様々な場所が演奏の舞台となりました。夕方6時から翌朝6時まで続く公演もあり、詰め掛けた聴衆はバンドが演奏を終えることを許さなかったといいます。通行証制度や夜間外出禁止、警察の取り締まりにさらされながらも、音楽家と聴衆が共に作り上げた場。その活気も、本作の重要な背景です。 収録された歌い手のひとりが、ドゥドゥ&ザ・ビッグ・タイム・ボーイズ(Dudu And The Big Time Boys)。ドゥドゥはソウェトで地元のグループと歌い、1970年に同バンドと初録音を行った後、短期間で人気歌手となりました。本作には「How Long?」「Can You Feel It」の2曲を収録しています。一方、フィリップ・マレラ(Phillip Mallela)は、ジェイムズ・ブラウンに刺激を受けながら独自のスタイルを築いた歌手。強烈な歌声とダンス、舞台上の圧倒的な存在感で知られ、本作ではJ.B.エクスプレスとの「Crazy Baby」を聴かせます。 ジャズとの深い結び付きを伝えるのが、レジー・ンソーミ&ヒズ・ジャズ・アフリカ(Reggie Msomi & His Jazz Africa)の「Swing Africa」。サクソフォンとギターを演奏し、作編曲家、プロデューサーとしても活躍したンソーミは、ンバクァンガの発展にも関わった人物です。1976年に発表した同名アルバムから収めた約10分の演奏には、ジャズ、ソウル、マラービ、タウンシップのグルーヴを行き来する、彼の幅広い音楽性が表れています。 さらに、ザ・グルーヴァーズ(The Groovers)によるマーヴィン・ゲイの「Got To Give It Up」のカヴァー、ケニーズ・ラズマタズ(Kenny’s Razmataz)の「Afro Dance」なども収録。米国のダンス音楽を自分たちの形で演奏するバンドから、伝承歌を録音の場で作り替えたグループまで、様々な音楽家の仕事を紹介しています。ソウルとジャズ、地域の音楽が交差する、その多様さこそ本作の魅力です。 長年のレコード収集と、現地の音楽家や家族への取材によって掘り起こされた、南アフリカの知られざる名演たち。当時の写真や関係者の証言を収めた16ページのブックレットを付属し、見開きジャケットの2LPでお届けします。ソウルやファンクのファンも、アフリカ音楽を愛する方も聴き逃せない全22曲。タウンシップを沸かせた歌声とグルーヴ、その熱気をレコードで存分にお楽しみください!
●日本語解説/帯付き
2026年12月6日発売 V.A. / SOUNDCITY JOBURG SOUTH AFRICA’S TOWNSHIP SOUL 19691981