2025年初頭に弊社からリリースされたライヴ盤『エクスキューズ・ミー・ライヴ』(サンビーニャ・インポート VCSI-7265)が好評を博し、ここ日本でも注目度を高めるポルトガルの実力派シンガー、サルヴァドール・ソブラル。さらに4月には、スペインの歌姫シルビア・ペレス・クルスとの共演による来日公演も成功させ、その存在感をより広く印象づけました。 1989年リスボン生まれのサルヴァドールは、10代でアメリカに滞在し音楽と語学を学んだ後、スペイン・バルセロナのカタルーニャ高等音楽院(ESMUC)でジャズ・ヴォーカルを専攻。チェット・ベイカーからの影響を公言するように、彼の音楽はジャズを核に据えつつ、ポップスやボサ・ノーヴァ、ファドなどの要素を取り入れた洗練されたスタイルで知られています。2016年のデビュー作『エクスキューズ・ミー』(同 PVSI-5508)で本格的な活動を開始し、2017年には姉ルイーザ・ソブラルが作詞・作曲・プロデュースした「Amar pelos dois」を歌ってユーロヴィジョン・ソング・コンテストに出場。ポルトガル代表として史上初の優勝を果たし、一躍国民的アーティストとなりました。 その後は過度な注目や持病の心臓疾患により一時活動を休止するも、2017年末に心臓移植手術を成功させ、見事に復帰。2019年に発表された本作『パリ、リスボア』は、そんな彼の音楽的再出発を刻む重要作となりました。 タイトルが示すとおり、本作は彼の精神的な原点であるリスボンと、芸術的な憧憬の地パリという二都市を象徴的に結ぶアルバムです。また、ヴィム・ヴェンダース監督の映画『パリ、テキサス』へのオマージュでもあり、アナ・パガニーニ撮影によるカヴァー写真には“出発も到着もない旅”というコンセプトが託されています。 ポルトガル語を中心に、英語・スペイン語・フランス語を織り交ぜた全12曲を収録。ジョエル・シルヴァがプロデュースを手がけ、ジュリオ・レゼンデのピアノを軸とするアクースティックな編成で、サルヴァドールの豊かな歌声が生き生きと描き出されています。ゲストにはアントニオ・ザンブージョ(「Mano a Mano」)と姉ルイーザ・ソブラル(「Prometo No Prometer」)が参加。欧州各国を巡る国際ツアーも行われ、彼の音楽が国境や言語を越えて響いていることを実証しました。 生命の危機を乗り越えた表現者による、祈りと再生の詩。いま、最も聴くべきポルトガル音楽の一枚です。
トラックリスト 1. 180, 181 (Catarse) 2. Pressgio 3. Cerca Del Mar 4. Ela Disse-Me Assim 5. Playing With The Wind 6. Prometo No Prometer 7. Benjamin 8. Grandes Ilusiones 9. Mano A Mano 10. La Souffleuse 11. Paris, Tokyo II 12. Anda Estragar-Me Os Planos