かつてCD版が2006年にライス・レコードからリリース(TPR-331)されながら、長らく廃盤となっていたUKフォークの人気盤が、ついにLPで復活することになりました。本作は、スコットランドを代表するシンガー/ギタリスト、ディック・ゴーハンが1981年に発表した最高傑作にして、フォーク史に残る金字塔的アルバムです。 1948年スコットランド生まれのゴーハンは、スコティッシュとアイリッシュ双方の血を引き、1970年よりプロとして活動を開始。伝統歌の継承者であると同時に、社会や政治への鋭い眼差しを自作曲に刻み込んできた稀有な存在です。本作では、スコットランド/アイルランドのトラッド・ソングと、強いメッセージ性を帯びたオリジナル曲とが高い次元で結びつき、彼のキャリアの頂点を鮮やかに捉えています。 「The World Turned Upside Down」「Workers’ Song」に象徴される闘争と連帯の歌は、当時のみならず、社会的分断や経済的不安が続く現在においても強い共鳴を呼び起こします。また、オープン・チューニングによる力強くも緻密なギター・ワークと、感情をむき出しにするような歌唱は、フォーク・シンガーという枠を超えた圧倒的な表現力を示しています。アイルランドの国民的歌手メアリー・ブラックも取り上げた「Both Sides The Tweed」を収録している点も、本作の重要性を物語るでしょう。 さらに今回の再発は、単なるアーカイヴではありません。fRoots誌による〈80年代アルバム・オヴ・ザ・ディケイド〉選出、Melody Maker誌の〈フォーク・アルバム・オヴ・ザ・イヤー〉受賞など、数々の評価を受けてきたこの作品を、180g重量盤/ゲートフォールド仕様という最良の形で蘇らせるものです。ゴーハンの歌とギターが持つ生々しい響きと感情のうねりを、アナログならではの音像であらためて体感できる決定盤といえるでしょう。 なお2026年には、グラスゴーのロイヤル・コンサート・ホールにて、彼を讃える特別公演〈True & Bold: A Night for Dick Gaughan〉が予定されており、本作の再評価と再発は、まさにいま聴かれるべき音楽としての必然性を伴っています。UKフォークの歴史と現在をつなぐ不朽の名作、その核心がここにあります。
トラックリスト 1. Erin-Go-Bragh 2. Now Westlin Winds 3. Craigie Hill 4. World Turned Upside Down 5. The Snows They Melt The Soonest 6. Lough Ern 7. First Kiss At Parting 8. Scojun Waltz 9. Randers Hopsa 10. Song For Ireland 11. Workers’ Song 12. Both Sides The Tweed