ヴォーカリスト/グラフィック・デザイナー/アート・ディレクターとして活躍していた合衆国ニューヨーク州出身のソニヤ・コーエン・クレイマー(1965-2015)。1950年代後半から60年代前半にかけ英米で台頭したフォーク・リヴァイヴァル・ブームの旗手:ニュー・ロスト・シティ・ランブラーズのメンバーで、合衆国南部の伝統音楽収集家/研究家/写真家/映画製作者としても活躍していたジョン・コーエン(1932-2019)を父に、名門シーガー家の逸材:マイク、ペギー、ピート・シーガーを兄に持つ女性陶芸家:ペネロープ・シーガーを母に、そしてフォークウェイズ・レコーズ創立者:モーゼス・アッシュを祖父に持つ彼女は、優れたグラフィック・デザイナーであると同時に、シーガー家の血を受け継ぐ魅力的なフォーク・シンガーでもありました。今回はそんな彼女の美しい歌声をフィーチャーした作品『ユーヴ・ビーン・ア・フレンド・トゥ・ミー』をご紹介します。コラボレーション・アーティストとして叔父・叔母・母のピート、ペギー、ペネロープ・シーガー、良質な児童向けフォーク作品を数多く生み出してきたSSW:エリザベス・ミッチェル(1968- )/ダニエル・リントン夫妻、バンド:ラスト・フォーエヴァーなども登場しますので、彼らのファンの方は必携です。 ソニヤはニューヨーク州パトナム・バレーにおいて音楽と芸術に囲まれながらその幼少期を過ごし、大学在学中は、本、版画、コラージュを通じ、フェミニスト理論と芸術のつながりを探求。卒業後はグラフィック・デザイナーとしてのキャリアを追求しはじめますが、同時にフォーク・フュージョン・グループ:ラスト・フォーエヴァーのヴォーカリストとしても活動を開始しています。同グループは、アメリカン・ルーツ・ミュージックをベースとしたプロジェクトであり、ノンサッチ・レコードと契約。1997年からソニヤが亡くなる2015年まで音楽作品をリリースし続けました。特にソニヤの透き通るような美声と正確なピッチには大きな注目が集まり、メディアは「素朴であると同時に刺激的でもあるソニアの歌声は、厳格かつ美しく構築された北米の田舎のスピリットを体現している」「テレビが無かった頃の、アメリカの大草原を思い起こさせる声」と絶賛。そんな彼女がこの世に残した貴重な音源をまとめたものが今回ご紹介する作品となります。 本作では彼女の1980年代から2010年代までの歌声をコンパイル。古典的なバラッドに彼女がモダンな再解釈を施した、選りすぐりの17曲で構成されています。タイトル・トラック「You've Been a Friend to Me」は、1858年に楽譜が出版され、1936年のカーター・ファミリーの録音によってより広く世の中に知られるようになった一曲。ここではエリザベス・ミッチェル(1968- )/ダニエル・リントン夫妻が美しいハーモニーと伴奏を担当しています。もちろん、ピート、ペギー、ペネロープ・シーガーによるシーガー一家のメンバーたちも、各1曲ずつ参加していますのでお楽しみに!また、歌声の素晴らしさ/天上世界の如く神々しいそのハーモニーはもとよりなのですが、オートハープ、チェロ、ハンマー・ダルシマー、ハーモニウム、マンドリン、トロンボーンやトランペットなどの管楽器、スネア・ドラムほかによる、キラキラとした超美麗な器楽アレンジも必聴に値します。ご期待ください!
トラックリスト 1. Oh, Blue 2. A Squirrel Is a Pretty Thing 3. When I Was Most Beautiful 4. Hide and Seek 5. In the Pines 6. Louis Collins / Spike Driver Blues 7. All for You 8. You've Been a Friend to Me 9. Black Jack Davey 10. No Place to Fall 11. Oh the Wind and Rain 12. The Blacksmith 13. Singing My Troubles Away 14. Lowlands 15. The Blackest Crow 16. Sidewalk Wildflower 17. A Life That's Good
2024年5月26日発売 SONYA COHEN CRAMER / YOU'VE BEEN A FRIEND TO ME