ワールド・ミュージックが誕生した80年代に、シーンをリードしていたイギリスでもほとんど知られていなかったスーダン音楽に大きなスポットを当ててくれた作品が、1987年にワールド・サーキットが発売した『Sounds of Sudan』だった。当初アナログ3枚組で発表され、その後90年にCD発売用に編集してリリースされたのが本作。アラブとアフリカ両方の要素を持ち、さらに欧米やラテンからの影響が加わった雑多な音楽性を持つスーダン大衆音楽シーンから、ウードの弾き語りで伝統的サウンドを聞かせるアブデル・ガディール・サリム、大衆から圧倒的な人気を誇ったアブデル・アジズ・エル・ムバラク、伝統弦楽器タンブールの弾き語りを聞かせるモハメッド・グバラという3名の音楽家の演奏を収録。シンプルな伴奏だが、それぞれの個性がにじみ出たユニークなそのサウンドは、時代を超えた普遍性が感じられる。