ベルギーのNPO法人レーベル“Muziek Publique”は、欧州のワールド・ミュージック・シーンの指標となるウェブサイト“Transglobal World Music Chart”にて2016年の年間ベスト1を獲得したレフュジーズ・フォー・レフュジーズ『アメルリ』(MZR-7118)をはじめ、たいへん興味深いワールド・ミュージック作品を精力的に制作してきました。そんなMuziek Publiqueが自信を持って紹介するニューカマーがこちら。これまでメインだった質実剛健なワールド・ミュージックとはやや毛色の異なる、キュートな女性トリオによるアクースティック・フォーク作品を制作してくれました。
SSWのラサ・デ・セラやラッパーのNonameといった、現在世界的な人気の女性アーティストらに触発されて2017年に結成したのがラス・ヨローナス(スペイン語で“泣く女たち”の意味)。メンバーのSura Solomonはベルギー&アメリカ、 Amber in ‘t Veldはスペイン&オランダ、そしてMarieke Wernerはドイツと、それぞれ出自の全く異なる3名が出会い、それぞれの文化的背景を持ち寄ってアクースティック音楽とポエトリー・スラムの融合を目指して活動を続けてきました。そんな彼女たちの音楽は、スペイン民謡からヒップホップ、クレズマー、ブルースまでが入り混じった、実に雑多な音楽性がその持ち味となっています。またメンバー全員楽器を演奏(Suraはアコーディオンとウクレレ、Amberはギター、Mariekeはクラリネット)を担当し、曲によっては素晴らしいコーラスやラップも披露するといったヴァーサタイルな魅力に満ちあふれています。そしてポエトリー・リーディングにも造詣の深い高い彼女たちは、英語からスペイン語、フランス語、オランダ語までを巧みに使い分けた、詩の深慮な世界も併せて紹介してくれています。
クラウドファンディングのシステムを使って制作されたという本作は彼女たちにとってのファースト・アルバム。その瑞々しいまでの手作りアクースティック・サウンドからは、グローバル・ミュージックの未来が感じとれます。
●日本語解説/帯付き
トラックリスト
1. Lagrimas
2. Seasick
3. Bukra
4. Strange Growth
5. Mutation
6. Maria la Portuguesa
7. La bruja Mariposa
8. Creature
9. Bodies
10. Bien sages
11. Me confío
12. Me
13. Prayer
14. Entre la sal