1970年代から80年代に録音されたアフリカ各地のレアー・グルーヴ音源を中心としたリイシュー作品を制作するドイツのレーベル“Analog Africa”が定期的にリリースするアナログ限定盤シリーズ“リミテッド・ダンス・エディション”。その最新作は、かつてマリの音楽シーンで異彩を放ったミステリアスな音楽家レオン・ケイタの作品を取り上げています。 1947年ギネアの大西洋沿岸の都市コナクリに生まれたレオン・ケイタは、学校を卒業した後マリの首都バマコに移り、ピアノ・ジャズ・オーケストラを創設。その傍らで教師/文化祭のオーガナイザー/国立タバコ・マッチ会社の会計士として働き、時には仕事仲間を歌でもてなしたりもしていたそうです。そして23歳となった1970年、彼は親友であったマンフィーラ・ケイタと共にマリの伝説的なグループ“レイル・バンド”の設立に携わるようになり、サリフ・ケイタ、モリ・カンテをはじめとする多くのミュージシャンの国際的なキャリアを手助けしました。さらにレオン自身も後にレ・アンバサドゥール・アンテルナシオノーに参加して西アフリカ全土をツアーするようになるも、その後は自身のソロ活動のためグループを離れました。 そしてレオンは1978年、アンバサドゥールの友人たちが伴奏で参加した2枚のレコードをPapa Discoレーベルからリリース。さらにその1年後には、彼の弟ジェルマンと共作した“Rythmes et Mlodies du Mali”という作品をリリースします。Orchestre Black Santiagoをバックに、バンド・リーダーのIgnace de Souzaの情熱的なトランペットをフィーチャーしたこのLPは、ベニンのコトヌーにあるサテル・スタジオで録音されました。 本作はそんなレオンが1978年にPapa Discoから発表した2枚のLPから3曲、そして1979年に弟ジェルマンとの連名作“Rythmes et Mlodies du Mali”から2曲を収録したコンピレーション。いずれのオリジナル盤も入手するのは非常に困難なだけに、当然全ての曲はレアーなトラックばかり。ヒプノティックなエレキギターにソウルフルなリズム・セクションを作り出すドラムズとベース。そしてサイケデリックなオルガンや、ファンキーなブラス・セクションを加えた演奏、さらにマンディング色の強いパーカッションがリズムを支配するナンバーなど、多彩なアレンジが楽しめる内容です。 180g重量盤仕様、ギリシャでスクリーン印刷された美しいジャケットにも注目です。