すべてのファド・ファンにとって、女性歌手アマリア・ロドリゲス(1920 - 99)が特別な存在であることは、改めてご説明するまでもないでしょう。その彼女の最初の録音は、ブラジルのリオ・デ・ジャネイロで1945年に残したSP8枚(16曲)でした。ライス・レコードでは2015年に『アマリア 1945』(PVR-5381)という作品でこのデビュー録音16曲にボーナストラックを加えた形でご紹介していますが、今回はその16曲と、1990年にアメリカで残した晩年のライヴ録音をカップリングした2枚組をご紹介することにいたしました。 アマリアが世界的な名声を獲得したのは、50年代の半ばに制作されたフランス映画『過去に持つ愛情』や、『カフェ・ルーゾのアマリア・ロドリゲス』『オランピアのアマリア・ロドリゲス』といった作品のヒットからでしたが、もちろんそれ以前にもSPなどで録音を残していました。その中でももっとも最初期のものが、1945年にブラジルのコンチネンタルに残された16曲でした。本作のCD2にはその16曲全てが収録されています。当時はアマリア独自のレパートリというのは少なく、先輩のファド歌手たちが歌っていたスタンダード曲や伝承曲などを数多く取り上げていました。 一方本作のメインは、アマリアが1990年11月2日にニューヨークの歴史あるタウン・ホールで行ったコンサートの模様を収録したCD1です。かつて“Live at Town Hall”として単独CD化(および映像化)されていた作品ですが、それもすでに30年以上前の話ですので、久々の復活ということになります。ギターラはジョゼー・フォンテス・ローシャとカルロス・ゴンサルヴェスの両巨頭が担当。この頃アマリアは喉に異変が起きていて、それまでの声質とは明らかに異なるようになっていましたが、それでもその嗄れた声は威風堂々としており、女王の風格を保ちながら「暗いはしけ」「コン・ケ・ヴォス」「ポルトガルの家」といった往年のヒット曲を聴かせています。 CD1とCD2には45年もの時間の隔たりがあり、歌手としてのキャラクターもかなり変化していることがよく分かる本作。偉大な歌手のデビューと晩年を同時に味わえる貴重な2枚組と言えるでしょう。
●日本語解説/帯付き
トラックリスト CD1 1. Variacoes 2. Maria Lisboa 3. Estranha Forma De Vida 4. Malhao De S. Simao 5. Amendoa Amarga 6. Obsessao 7. Havemos De Ir a Viana 8. Meia Noite E Uma Guitarra 9. Barco Negro 10. Coimbra 11. Lisboa Antiga 12. Grito 13. Marcha Do Centenario (Grande Marcha De Lisboa, 1947) 14. Povo Que Lavas No Rio 15. Fui Ao Mar Buscar Sardinhas 16. Com Que Voz 17. Prece 18. Fallaste Corazon 19. Uma Casa Portuguesa 20. Canzone Per Te 21. Malhao
CD2 1. Troca De Olhares 2. A Tendinha 3. Fado Do Cime 4. Maria Da Cruz 5. Perseguio 6. Corria Atrs Das Cantigas (Mouraria) 7. Los Piconeros 8. S Noitinha (Saudades De Ti) 9. As Penas 10. Sei Finalmente 11. Sardinheiras 12. Ai Mouraria 13. Carmencita 14. Ojos Verdes 15. Passei Por Voce 16. Duas Luzes
【発売日未定】決定次第お知らせいたします AMALIA RODRIGUES / UMA CASA PORTUGUESA