2015年、ランボー、ボードレール、ジャック・ケルアック、エメ・セゼール、ジャン・ジュネ、ジャック・プレヴェール等の詩に曲をつけた作品『クリスタル・オートマティック』が大きく注目され、〈レオ・フェレ、デヴィッド・ボウイ、ジム・モリソンの息子〉と賞賛されたフランスの音楽家:バビックス。古き良きシャンソンならではの知的で優美な音楽性を継承しつつ、そこにインテレクチュアルな歌詞を重ね、それを甘く透き通るような歌声で歌い上げるという彼独特の世界観が国際的な注目を浴びました。そんな鬼才:バビックスが2023年9月にリリースした最新ピアノ・ソロ作品『ピアノのある家』(ライス・レコード BDR-3117)が、アナログ盤で登場しました。180g重量盤/ゲートホールド/曲をイメージして描かれたグラフィックの掲載されたブックレットが同梱されています。精緻な美しさに満ちた人気作を、是非アナログならではの柔らかな音でお楽しみください! バビックスこと本名:ダヴィッド・ババンは1981年パリ生まれ。母親はピアニストで音楽学者、祖父は楽団指揮者という環境の中で誕生した彼は、5歳よりピアノ、そして厳格なクラシック音楽教育を受けています。母親を介しパキスタンの大歌手:ヌスラット・ファテ・アリ・カーン(1948-97)との出会いも果たすなど、誰もが羨むような恵まれた少年時代を過ごしますが、反抗期の訪れと共に17歳で学校を中退。コンテンポラリー・ジャズ/インダストリアル・ロック/ヒップホップといったクラシック以外の音楽に傾倒し、20歳の時に出会ったフランスの音楽家:レオ・フェレ(1916-93, ボードレール、ヴェルレーヌ、ランボー、アポリネールらの詩に自身作曲の音楽をつけたことでも有名)の作品によって、「音楽は反抗である」という結論を見出します。その後、ワールド系ポリフォニー・コーラス・グループ:グローブ・トロッターズの一員として初舞台を踏んだ後、17歳にして舞台作品の作曲を担当。2000年代初頭にはソロ・アーティストとしての活動を始動させました。この時、レオス・カラックス(1999年公開映画『ポーラX』)やクリストフ・オノレ監督作品(『17 fois Ccile Cassard』:日本未公開)の美術を担当したローラン・アレールが標榜する現代美術運動「ポストX主義」に触発され、ステージ・ネームをバビックス(BABX)と名乗るように。以降、シャンソンを基軸とした独創的なエレクトロ〜ポップ作品の制作、現代舞踏、現代オペラなどをはじめとしたアート/シアター・プロジェクトへの関与、レーベルの設立/運営(Karbaoui Records、Bison Bison)など、精力的に活動を展開していますが、冒頭でご紹介した『クリスタル・オートマティック』の発売については、日本のメディアにも注目されました。 そんな彼が今回制作したのはシンプルなピアノ・ソロ作品。バビックス曰く「ピアノ・ソロとはいえ、ピアノ・ソロではない。エマフォイ・ツェゲ・マリアム・ゲブル、セロニアス・モンク、マル・ウォルドロン、ニーナ・シモン、メアリー・ルー・ウィリアムズなどといったジャズの名ピアニストから、西アフリカ・マリのンゴーニ奏者、古き良きイギリス北部の炭鉱町のサウンド、そしてチャーリー・チャップリンに至るまで、様々な演奏者たちを僕の家に〈招いて〉完成させたものだ」とのこと。彼の言葉通り、様々なプレイヤーたちのエッセンスが全ての作品にモザイクのようにちりばめられた、静謐でありつつ温かみもある、豊潤な魅力を感じさせる一枚となっています。バビックス・ファンの方はもとより、一連のピアニストのファンの方々も是非、ご期待ください。
●日本語解説/帯付き
トラックリスト SIDE A A-1. La maison avec un piano dedans A-2. Milonga A-3. Le cortege de lilibet A-4. Train cajun SIDE B B-1. Merveille dans la pirogue B-2. Ballerine B-3. Carnaval B-4. Dragon gele
2023年12月10日発売 BABX / UNE MAISON AVEC UN PIANO DEDANS