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説明

2025年11月2日発売新譜
英国実験音楽家シャクルトンによる再解釈──
南インド古典音楽とエレクトロニクスが重層する異形の音世界！

　南インド古典音楽《カルナータカ音楽》の名手たちと、ポーランド出身の音楽家ヴァツワフ・ジンペル（Wacaw Zimpel）が結成したクロスカルチュラル・ユニット＝サーガラ（Saagara）。サンスクリット語で「大海」を意味するこの名を冠して活動を開始したのは2010年代前半のことでした。クラリネットやサックスを自在に操り、ポーランド・ジャズ・シーンを代表する存在として頭角を現したジンペルは、その後インドを訪れ、ガタムの名手ギリダール・ウドゥパ（Giridhar Udupa）と出会います。両者の交流をきっかけに、さらにアグ・ババ（Aggu Baba／カンジラ）、K・ラージャ（K Raja／タヴィル）、マイソール・N・カルティック（Mysore N. Karthik／ヴァイオリン）といった実力派が加わり、カルナータカ音楽を基盤にしたユニークなアンサンブルが誕生しました。
　2015年にデビュー作『Saagara』、2017年に続く『2』を発表。カルナータカ音楽のしなやかなリズムと旋律を、西洋の木管楽器や電子音響と融合させたその音楽は、インド国内外で注目を浴びました。その後ジンペルはポーランドでの活動に加えて、エレクトロニクス分野へ本格的に傾斜。スタジオを一つの楽器として扱い、ミニマリズムやクラブ・カルチャーとも親和するサウンドを生み出すようになります。2024年には７年ぶりの新作『3』（ライス INR-33015）をドイツの〈Glitterbeat/tak:til〉レーベルからリリース。カルナータカ音楽とクラリネット／サックス、そしてエレクトロニクスが織り成すサウンドは、「Fourth World」的な美学のもと、ジョン・ハッセルやirom、75 Dollar Billらと並ぶレーベルの代表作として高い評価を獲得しました。
　そして本作『３〜ザ・シャクルトン・ヴァージョンズ』は、その『3』を英国の実験的プロデューサー＝シャクルトン（Shackleton）が全編再構築した作品です。当初は１曲のリミックス依頼にすぎませんでしたが、彼が提出したのは全曲を大胆にリワークした、まさに「影のアルバム」でした。2000年代半ばにダブステップの文脈から登場し、その後アンビエントや即興的要素を取り込みながら独自の音世界を築いてきた彼の手腕によって、サーガラの持つ生命力と緻密さが漆黒の音響に包み込まれ、さらに濃密なドラマを描き出しています。
　ガタム、カンジラ、タヴィルといった南インド打楽器の切れ味、カルティックの歌うようなヴァイオリン、そしてジンペルの木管楽器が織り成すテクスチャーは、シャクルトンのダブ的音響処理のなかで揺らぎ、沈み込み、ときに浮かび上がります。原曲が南インドの熱気を帯びていたのに対し、ここでは英国北部の雨を思わせる湿潤な空気が漂い、全体を包み込む影のグラデーションが際立ちます。とりわけ「Northern Wind Brings Redemption」と「Where Is That Blossom」の連続は、原曲以上の幽玄な魅力を放ち、本作の白眉といえるでしょう。
　ジンペルが『3』を“インターステラー・フォーク”（伝統と未来を往還する宇宙志向のフォーク）と呼んだように、本作はグローバル・ルーツとエレクトロニクスの最前線に位置する、時代を象徴する試みです。サーガラとシャクルトンという二つの異なる才能が交錯することで誕生した、伝統と未来を繋ぐ驚異の音世界。『3』と並び聴き継がれるべきもうひとつの傑作に注目してください。

●日本語による説明をつけた帯を商品に添付して発送いたします。日本語解説は同封しておりません。予めご了承ください

トラックリスト
1. God of Bangalore (The Shackleton Version)
2. Sunbeam Spirits (The Shackleton Version)
3. The Rite of Rain (The Shackleton Version)
4. Northern Wind Brings Redemption (The Shackleton Version)
5. Where Is That Blossom (The Shackleton Version)
6. Earth, Water and the Holy Groove (The Shackleton Version)

2025年11月2日発売
SAAGARA / 3 THE SHACKLETON VERSIONS