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説明

2026年2月8日発売新譜
ドイツ人ギタリスト、マルティン・ミュラーが辿ってきた〈ブラジリアン・ギター〉の多層的な軌跡を一望する充実作！

　ブラジルのギター音楽は、世界でも屈指の洗練と豊穣さを誇る音楽文化です。ポルトガル由来のファド、アフリカ音楽のリズム感、さらにヨーロッパ音楽の和声感覚が混ざり合い、独自の発展を遂げてきました。ボサ・ノーヴァやサンバにとどまらず、ヴィラ＝ロボス、バーデン・パウエル、ガロート、ラダメス・ニャタリ、エグベルト・ジスモンチらによる高度に構築された作品群は、ギター音楽そのものの可能性を大きく押し広げてきました。
　ドイツを拠点に活動するギタリスト、マルティン・ミュラー（Martin Mller）は、そうしたブラジリアン・ギターの精神をヨーロッパの視点から深く掘り下げてきた演奏家です。ナイロン弦ギターを軸に、クラシック、ジャズ、即興演奏の要素を自在に行き交いながら、ブラジル音楽の語法を自身の表現として昇華。ドイツの有力紙「南ドイツ新聞（SZ）」で「ブラジリアン・ギターの象徴」と評されたことからも、その評価の高さがうかがえます。
　本作は、ミュラーが関わってきた複数のギター・デュオの演奏を軸に、ブラジル音楽への多角的なアプローチをまとめたアルバムです。クラシック・ギター・デュオとしてヨーロッパで高い評価を受けるゴルツ／ダニロフ（Sren Golz & Igor Danilov）によるデュオ演奏では、譜面に忠実でありながらも躍動感に満ちた解釈が際立ち、ブラジル作品特有のリズムの複雑さと和声の美しさが鮮やかに浮かび上がります。彼らはオダイル・アサドに師事し、ブラジルのギター音楽を作曲家本人から直接学んだ世代でもあり、その演奏には確かな伝承性が息づいています。
　一方、ナポリ出身のアントニオ・マリンコニコ（Antonio Malinconico）とのデュオ《MduoM》では、ブラジル作品を素材に即興的な展開を取り入れ、譜面から解放された自由な表現を展開。固定された形にとどまらない演奏は、ライヴごとに異なる表情を見せ、ブラジル音楽が本来持つ即興性と身体感覚を強く感じさせます。彼らが発表したアルバム『ジャルディン・ブラジレイロ』に通じる感覚も、本作の随所で味わうことができます。
　さらに1980年代後半から90年代にかけて活動した、ブラジル人ギタリスト、オスカル・フェレイラ（Oscar Ferreira）との《ザ・ブラジリアン・デュオ》の録音も収録。クラシック的なアプローチを基盤に、純度の高いブラジル作品のみを演奏してきたこのデュオは、当時5作を発表し、ヨーロッパにおけるブラジル・ギター受容の重要な一翼を担いました。
　収録曲は、ガロート作品のメドレー、エルネスト・ナザレーのワルツ、北東部のリズムを感じさせる楽曲、さらにはバーデン・パウエルの演奏で広く知られた「オサーニャの歌」など、ブラジル音楽の多彩な側面を網羅。いずれも技巧に溺することなく、旋律とリズムの呼吸を大切にした演奏が貫かれています。クラシック、ジャズ、ワールド・ミュージックの境界を自然に横断するその姿勢こそ、マルティン・ミュラーの真骨頂と言えるでしょう。
　ブラジリアン・ギターの奥深さと広がりを改めて実感させてくれる一枚。ブラジル音楽ファンはもちろん、クラシック・ギターやジャズ・ギターの愛好家にも強くおすすめできる作品です。

●日本語による説明をつけた帯を商品に添付して発送いたします。日本語解説は同封しておりません。予めご了承ください

トラックリスト
1. Recife Dos Corais
2. Victoria Regia
3. Agua e Vinho
4. Baiao Malandro
5. Garoto Medley
6. Jongo
7. Saudade de Salvador No.1
8. Saudade de Salvador No.4
9. Mighalas de Amor
10. Jardim Brasileiro No.1
11. Jardim Brasileiro No.2
12. Jardim Brasileiro No.3
13. Brazilian Song
14. Valse de Ernesto Nazareth
15. Ciclo Nordestino
16. Canto de Ossanha
17. Parazula
18. Apanthei te Cavaquinho



2026年2月8日発売
MARTIN MULLER / A SELECTION OF BRAZILIAN GUITAR DUOS