4月30日(土)

 会社は休みだけど、ぼくだけ出勤。午前中は税理士さんと打ち合わせ。午後は、珍しくインタビューを二つもこなした。もちろん、ぼくがするのではなく、される方だ。

 最初のインタビューは、駒形四郎さんという方から。なんでもサンバの本を作るとかで、80年代後半にブラジルでやったサンバのレコーディングについて話を聞きにやってきた。ただ、どうやってレコードを作ったか、なんてことは、すでにそれぞれのアルバムの解説で書いてしまっているし、ぼくは原稿を書いたら物事を忘れてしまうほうなので、それ以上のことを思い出してくれといわれても、なかなか出てこない。結局、ぼくのサンバに対する見方とか、歴史観などを中心に話すことになった。どんなことを話したかは、いまここで書いてしまうのも申し訳ないので、本の完成をお楽しみに。

 その後は、ある雑誌で『ジャイポン・マジック』の宣伝用サンプルCDを付けてくれるというので、そのナレーション部分を録音。ラジオのDJみたいなことをやることになった。『ジャイポン・マジック』だけだとCD1枚分にならないので、これまでインドネシアで作ってきた他のアルバムの音源を加えて、けっこうヴァラエティに富んだ選曲になったと思う。マイクの前で話すのは、以前ラジオ番組に出ていた頃以来だが、思ったよりも上手に話せたようだ。

 ゴールデン・ウィークで友人が久しぶりに東京に出てきたそうなので、浅草で食事をすることに。どこに行こうかと考えた末、また<あらまさ>にゆくことになった。東京に来て秋田料理を食べてどうするのかと思ったが、いまの浅草は、おのぼりさんが行く店はだいたい美味しくない。それなら<あらまさ>で美味しいお酒を飲んだほうが良いに決まっている。
 朝から仕事で疲れたせいか、今日はいつもよりも酔いが回るのが早い。お腹もいっぱいになったので、9時過ぎに早めのお開き。

 

4月29日(金)

 久しぶりに完全休養。ゴールデン・ウィーク中、特に後半はあまり休めそうもないので、いまのうちに身体を休めておくことにした。

 

4月28日(木)

 今日は今月の銀行最終営業日。支払いやら帳簿の締めやらで、一ヶ月でも一番忙しい日だ。おまけに出荷も多い。そうそう、自社制作の『ジャイポン・マジック』、無事出荷することができました。

 午後はひたすら帳簿の整理。夜遅くまでかかって、なんとか締めることができた。事務所に9時近くまでいたのは久しぶり。帰宅後はメールのチェックをして、終わったらもう11時だ。長い一日だった。

 

4月27日(水)

 通常は木曜日に作成するリストだが、ゴールデン・ウィーク進行ということで、今日になった。おまけに税理士さんが土曜日にくることになったので、会計の整理もしないといけない。あわただしい一日になった。

 ゴールデン・ウィークは、4月29日から5月4日までお休みにして、5月5日と6日は出勤することにした。暦どおり仕事をしても、一日働いてまた休みじゃ能率があがらない。そこで2日続けて仕事をして、リスト作成や出荷などをやってしまおうという算段だ。ぼくはたまっている仕事があるので、連休などとても取れそうもないが、それでも少しは部屋の片付けなどに時間を使えるかもしれない。まだまだ資料部屋は混乱状態。これの機会に片付けたいところだが…。

 

4月26日(火)

 朝早く起きて、なんとか解説原稿を1本執筆。午後からは昨日に続いて雑務に追われるあわただしい1日だった。

 夜遅くに戻って、最近買った本の整理をしながらつい読み始めてしまったのが、有田芳生さんの『私の家は山の向こう』。副題が<テレサ・テン 十年目の真実>となっているように、テレサ・テンについて書かれた本だ。この本を読みながら、テレサを久しぶりにじっくり聞いてみたいと思ったのだが、さあ大変。テレサのレコードは、LPでたくさん持っていて、中には珍しいものもあるようだが、情けないことに未整理状態。すぐには引っ張りだせないことに気が付いた。やっぱり部屋の整理を早くすませないといけない。ゴールデンウィークは、やっぱりまずそれに専念することにしよう。

 

4月25日(月)

 そうじゃなくても忙しいのに、また用事が増えてしまった。先に一審で勝訴した裁判、どうも控訴審があるようだ。そんなわけで、今日はその打ち合わせ。明日もまた準備をしないといけなくなった。月末の忙しいときにこういう用事が重なると、本当にイヤになる。

 

4月24日(日)

 日曜日だけど、今日は休めない。朝からひたすら解説原稿書き。夕方までになんとか3本を脱稿する。

 夜は打ち合わせが1本。その後、久しぶりに浅草のあらまさに行ってみた。以前もここで書いたが、あらまさは秋田の酒蔵の直営店。一年に4回、絞りたての新酒が届く。もう数年来、毎回味見しているのだが、前回はどうにも忙しくて飲めなかった。今回は飲み逃しちゃいけないということで、行ってきた次第。相変わらずフルーティなお酒で、お刺身とバッチリ合う。今日も堪能させていただきました。

 

4月23日(土)

 今日はお休み。本当はやりたい仕事もあったのだが、こうも部屋がとっちらかってしまっては、仕事にならない。今日はそれらをちゃんと片付けることに専念した。なにしろほぼ2週間、部屋の掃除をしていない。いや、掃除機くらいはたまにかけているが、仕事のために引っ張り出した資料が山積み状態で、どこに何があるのか、サッパリわからなくなってしまったからだ。こうして久しぶりに整理整頓をすると、探していた本などをいくつか<発見>。また、天気が良かったので布団干しもしたから、なんとなく気持ちがいい。ついでに洗濯や食料の買出しも済ませて、やっと正常な状態に戻った。

 さあ、明日からまた仕事を頑張ろう。

 

4月22日(金)

 朝から解説原稿の執筆。1本を書き上げた後、午後は会社で雑務整理をして、夕方からは打ち合わせが2本。いつも通りのあわただしい金曜日だった。

 打ち合わせが終わった後、ちょうど通り道だったので、久しぶりに知り合いの居酒屋さんに行くことにした。釣りが好きな店主がやっているお店で、金曜日には昨日釣ってきたばかりの魚が揃っていることを思い出したからだ。やっぱりお刺身はいつ食べても美味しい。日本にいることを実感できるのが、お刺身を食べたときだ。久しぶりのゆっくりした夕食(夜食?)。食べるものが美味しいということは、体調が戻ってきた証拠だろう。

 

4月21日(木)

 体調が少し戻ってきた。まだノドが少し痛いけど、熱は下がってきた感じ。これなら外出できそうだ。

 午前中はいつものように原稿書き。午後は少し事務所に寄って用事を片付けて、その後に外で打ち合わせを1本。そのまま自宅に戻って、外国からのメールをチェックした。

 そこで嬉しいメールがひとつ。イギリスのワールド・ミュージック・ネットワークのフィル・スタントン社長からで、キューバのあるグループの新作の録音が終わったのだとか。実はこのアルバムのコンセプトはぼくが考えて、選曲までしたのだが、どうもその通りにやってくれたらしく、すばらしい内容に仕上がったのだとか。さっそくラフ・ミックスを送ってくれるそうなので、いまから聞くのが楽しみだ。もちろん、このアルバムは当社が日本配給する。7月くらいにはお店に並ぶことになるはずなので、皆さんも楽しみにしていてください。

 

4月20日(水)

 体調は相変わらずだが、とにかく仕事を進める。昨日途中まで書いた解説原稿を仕上げて、午後は別のアルバムの解説を途中まで。夕方には外国の取引先とのメールのやり取りを少し…。そこで体力の限界がきてしまった。

 <ラフ・ガイド>シリーズのセリア・クルースの解説を書こうと思って、以前自分が書いた『コレクターズ』の連載(92年6月から10月号まで)を読み返してみたら、恐ろしく長い原稿だったことにビックリ。セリア・クルースの全レコードについて書いた連載だが、毎月25枚くらいを5ヶ月に渡って執筆。さらにコラム原稿も書いているから、合計で130枚くらいは書いているのかもしれない。書いている自分にも驚きだが、こんな記事を載せてくれた雑誌にも感謝しないといけないだろう。いまだったら、こんな連載、どんなにお願いしても書かせてもらえないと思う。
 こういう記事を読み直すと、良い時代に音楽評論家をやらせていただいたと、つくづく思います。

 

4月19日(火)

 疲れが抜けないと思っていたら、どうも風邪を引いたせいのようだ。咳も出ないし、鼻が出るわけでもないので気がつかなかった。体温計で計って、はじめて熱があったことを知った次第。これじゃ、力が入らないのも仕方がない。

 ただ、仕事を休むわけにはゆかない。終日自宅にこもって、解説原稿を執筆することにした。薬のせいですぐ眠くなるのは困ったものだが、少しずつでも進めないといけない。やっと1本書き上げて、2本めも半分以上終わらせたところで終了。

 夜は温かいものを食べて、早めに就寝。明日には治っているといいのだが…。

 

4月18日(月)

 若い頃だったら、どんなに疲れても一日休めば大丈夫だったが、いまはそうもいかない。ちょっと無理すると、数日は疲れが残ってしまうから困ったものだ。今日は頑張って原稿をたくさん書くつもりだったが、まだ疲れが残っているのか、どうしても進まない。せっかく朝早く起きたのに…。

 午後は事務所で細かい残務処理。自宅に戻ったら、外国からのメールがドッサリ。それの返信を終わったら、もう9時になってしまった。大した仕事ができなかった日は、なんか疲労感が強い。

 

4月17日(日)

 疲れすぎて、もう何もできない。解説の1〜2本くらい書こうかと思っていたが、予定変更。完全休養をとることに決めた。

 

4月16日(土)

 朝早く起きて帳簿の最終確認。10時から税理士さんがやってきてチェックしてもらった。もうすぐ税務調査があるので、用意するものを教えてもらう。箱にしまってある書類をただ引っ張り出すだけだが、これがけっこうな量であることが発覚。いまから出しておいたら邪魔で仕事にならないので、結局調査の前日までほうっておくことにした。

 午後は5月1日に発売される『ジャイポン・マジック』のうちの1曲をミックス。マスタリングも終わらせた。入稿していたジャケットなどの色校もあがっていたので、ついでにチェック。これでぼくらの作業はカンパケだ。工場で何かトラブルでも起きない限り、発売日にちゃんとお店に並ぶことになる。かなり面白い内容になったと思うので、みなさんお楽しみに。

 

4月15日(金)

 午前中は自宅で雑務処理。午後は事務所で同様に雑務処理と帳簿整理。金曜日恒例の仕事だが、今日はなぜかいつもの3倍くらいやることがあって、終わったらドッと疲れてしまった。仕事中にサンプル盤のチェックもしたが、こういう日に限って聞いたアルバムは全部カス。ますます疲れてくる。

 夜は打ち合わせが1件。その後は久しぶりに知り合いの居酒屋さんでいっぱい飲みながら夕食を取った。ひとりではほとんど外食しないぼくだが、こうも疲れがたまっていると、うちに帰って食事を作ろうという気分にはなれない。
 都内のある歓楽街にあるそのお店の主人によると、風営法の改正とかで、風俗街の客引きがいなくなったのだとか。そんな話は新聞では読んだ記憶があるが、たしかにお店の近くにまで進出していた客引きの姿はないと、妙にさびしい気分だ。風俗店の店頭にも誰も立っていない。おまけに金曜だというのにお客さんの姿もまばらで、どうにも覇気がない。
 ぼくらの仕事は風俗とは関係がないようだが、それでもそのお店の主人が今日は大盛況だったという週末は、翌週のバック・オーダーが増えたことが多かったりして、風俗街のお客さんの入りとぼくらのCDの売り上げ実績は似ているんじゃないかと思ったことがあった。オネエチャンにお金を使うのと、CDを買うのとでは、ずいぶん違うと思うが、でもどこかで繋がっているのかもしれない。だからこんなに覇気のない歓楽街を見ると、心配になってくる。
 取締りが厳しくなれば風俗がアンダーグラウンド化するだけだという人もいるけど、それじゃ面白くない。悪いことをコソコソやっていると、性格も悪くなってくる。無法地帯があって、その代わりにポンビキにだまされる危険性もいっぱいあって、なんて場所でスリリングに遊んでるほうが健康的なのではないか。

 

4月14日(木)

 リスト作成日。最近リストはほとんど社員だけで作れるようになったので、ぼくは今後のリリース予定をあれこれ考えた。5月はゴールデンウィークのせいでお休みが入るため、新作リリース点数を抑えないといけない。なのに、こんなときに限って注目の新作が目白押しだから困ってしまう。どうしてもやりくりがつかない。でも、ノンビリ出していたら、並行輸入会社に先を越されてしまうし…。アタマが痛いところです。

 長文の原稿を書いた疲れが一日遅れでやってきたのだろうか。眠たくて仕方がない。昨日買ってきたCDを聞きたかったのだが、睡魔には勝てそうもないない。午後9時に就寝。

 

4月13日(水)

 朝5時に起きて解説原稿の執筆。食事も取らないで頑張ったおかげで、なんとかお昼過ぎには書き上げることができた。さっそくデザイナーさんに送って、夜には印刷所に入稿。これでなんとか発売日にはお店に並べることができそうだ。

 夜は新宿でタワーレコードと小樋山さんと篠原さんの3人による月例会。いつも通り、最近のワールド関係の情報を交換し合った。新しく知った話はいろいろあるけど、ここで書けそうもない話ばかり。あまり良いニュースはないということです。

 打ち合わせの前にタワー新宿店で少しお買い物。まだ買っていなかったアルタンの新作などを購入。帰宅してから少しだけ楽しんだ。残りは週末にでもじっくり聞くことにしよう。

 

4月12日(火)

 お腹の調子がやっと良くなってきた。そこで今日は思い切り早起き。午前5時から夕方まで、ひたすら解説原稿の仕事に取り組んだ。5月1日に発売される『ジャイポン・マジック』の締め切りが近づいてきたから、ここいらで本腰を入れないといけない。ライスの自社制作ものには毎回長文の解説を付けているが、今回もその点は同じ。かなり長い文章になりそうだ。ただ、今回は復刻ものではなく、新録アルバムなので、解説というより、レコーディングの模様をできるだけナマナマしくお伝えできるような文章を書いてみた。とは言いつつも、ジャイポンガンのアルバムが日本で出るのは久しぶりなので、まったく解説らしき文章がないというのもマズい。そのあたりのさじ加減がちょっと難しいわけだが…。

 朝5時から仕事をはじめると、さすがに夕方には疲れてくる。原稿は完成には至らなかったが、明日の朝に続きをやればいいだろう。今日は早めの夕食。ちょっと焼酎を飲んで、午後9時には就寝。さあ、明日もまた5時起きだ。

 

4月11日(月)

 今朝もまだお腹の調子がイマイチ。おかげで仕事がサッパリ進まない。午前中に原稿1本をなんとか書き上げたが、腹痛で集中できていないのでミスがあるかもしれない。明日もう一度見直してから入稿したほうが良さそうだ。

 午後は打ち合わせが1本。その後事務所で雑務処理。ここでも腹痛をこらえながらだと、仕事がなかなか進まない。最低限やるべきことをこなして帰宅。もうこれ以上無理がきかない。薬を飲んで早く寝ることにしよう。

 

4月10日(日)

 お腹は丈夫なはずのぼくだが、今朝は珍しく腹痛で目が覚めた。しかも、まだ午前3時だ。さらに困ったことに、お腹の薬なんて持ち合わせていないので、お店が開く午前10時までひたすらガマン。やっと薬を飲んで落ち着いたところで、もう一度寝ることにした。昨晩は変わったものを食べたわけではない。きっと疲れていたのだろう。

 そんなわけで、予定していた原稿書きは中止。一日ゆっくり休養することにした。音楽を聞くと仕事を思い出してしまうので、漫画本を読みながらボケッとして過ごす一日。こんな日は珍しい。

 

4月9日(土)

 午前中は原稿書き。かなり疲れているが、今週は雑用ばかりで仕事がほとんど進まなかったので、この週末は仕事を休むわけにはゆかない。疲れているときには仕事がなかなか進まないことはわかっているのだが…。

 午後は渋谷のエル・スールで打ち合わせ。昨日、電話でお待ち合わせした中村とうようさんとも、久しぶりにお会いすることができた。とうようさんによる選曲のアルバムは『アメリカン・ミュージックの原点』(ライス ASR-4301)が出たばかりだが、実は他にも新しい企画があって、それについてもお話があった。でも、こうも会社の状況が悪いと、簡単に新しい企画を進めるわけにゆかないのが残念なところだ。もしも会社がつぶれたら、せっかくの企画もだめになってしまう。そんな状況で、とうようさんと約束なんてできやしない。まずは会社を立て直すことに全力を傾けるしかないのだろう。

 

4月8日(金)

 忙しい朝に税理士さんから電話。なんと当社に税務署の調査がくるのだそうだ。当社が発足してもう8年。これまで一度も来なかったのが不思議なくらいで、そろそろ調査があっても仕方がない時期ではあるが、それでも面倒くさいというのが正直な気持ちだ。
 別に、税金をごまかしているわけではない。というか、いまの税金の使われ方を考えたら、できるかぎり税金なんて払いたくないし、ごまかしたい気持ちは山々だ。でも、当社の入金はすべて銀行振り込み。現金での決済がまったくない会社が税金をごまかすことは、非常に難しい。どうせ調査しても何も出てきやしない。だからこそ、そんな調査に付き合わないといけないことが、ぼくには面倒くさい。
 最初は来週にでも2日かけて調査したいなんてノンキなことを言っていたので、それはお断りした。会社存続の危機なので、5月いっぱいは忙しい、だから調査に協力できるのは6月以後、しかも一日ですべて終わらせて欲しいと要望したら、それでなんとか納得したらしい。税務署員はノンビリ調査しても給料が出るが、それに付き合わされるぼくのほうは、一日休めば他の日にそのしわ寄せがくる。そんなこともわからないのが公務員なる人種なのだろう。

 税務署で思い出したことがひとつ。先に父親が亡くなったとき、母親が一括して遺産を相続したのだが、そのときも税務署がやってきた。そこですごくハラが立ったのが、母親に通帳を見せてくれと言った税務署員が、取りに行こうと別の部屋に行った母の後を付いて行こうとしたときだ。そこに何か別のものを隠してないか調べようという魂胆だろう。しかし、これは明らかに違法行為だ。そこでぼくは税務署員に言った。そんなことをするようなら、もう調査には協力しない、すぐに帰ってくれ、でないと警察を呼ぶと。
 捜査令状を持っているのならともかく、任意調査の段階で人の家を勝手に探しまわるようなことをしてはいけないのは、誰でも知っている。でも相手が税務署員だと、仕返しが怖いので、みんな従順になってしまうのだろう。だから彼らは、当然と言わんばかりに、そんな行為に出る。そんな横暴なことを当然の権利だと思っているのが税務署員なのだ。
 そして、さらにアタマにきたのが、そんな調査の後、予想した通り、彼らがぼくたちに仕返しをしてきたときだ。明らかに嫌がらせとしか思えないやり方で追徴課税をしようとしてきた。具体的な内容については、これから税務署を相手に裁判で争う予定なので書けないが、ぼくはこれで、本当に、心の底から税務署を嫌いになった。

 個人情報を保護する法律が施行されたというけど、税務署はそんな法律を本当に守るのだろうか。彼らは日常的に、銀行や郵便局と結託して、勝手に個人の口座のお金の出し入れを調査している。父親の相続のときにやってきた税務署員も、そうだった。そんな横暴なことを、大手企業の悪質な脱税を摘発するためではなく、夫を失った未亡人である母のような弱い立場の人間を調査するときにするのが税務署なのだ。
 このことは、いまでも良く覚えている。税務署の人間とやり合っているときに、彼らが一番血相を変えたのは、そんなことをしてまで点数稼ぎをしたいのかと、ぼくが言ったときだった。血相を変えたのは、それが本当のことだったからに違いない。相手に財力があって、強い弁護士でもついていたら、彼らはそうは簡単には調査できない。でも、母のような、税に対しても法律に対しても知識のない人間を相手にしたときには、いきなり横暴になる。庶民はオカミに対して従順だからだ。そしてそんな弱い人間のあら捜しをして、ひとつでも何か見つければ、出世のための点数稼ぎになる…。そんなことを日常的にやっている人間が税務署員なのだと、ぼくはこのときから思うようになった。
 きっと、そうじゃないまともな税務署員も中にはいるのだろう。でも、もしもそうなら、こんな横暴な行為はすぐさま廃止するように働きかけて欲しいと切実に思う。そうじゃなければ、結局みんな同罪だ。今回の新しい法律の施行が、少しは税務署をまともにしてくれたらありがたいのだが。

 

4月7日(木)

 リスト作成日。取引先が増えたこともあって、今週は盛りだくさんの内容になった。
 なんと言ってもメインは、やっと配給できることになった全盛期のマラヴォワ録音盤だ。まだ邦題を決めていないが、マルチニーク音楽の最高のバンドの最高の音源を2枚組でタップリ楽しめる内容だけに、期待していただきたい。当時のオリジナル・アルバムがしばらく市場から姿を消していただけに、このアルバムは貴重なはずだ。まだ聞いたことのない若い音楽ファンの皆さんは、ぜひ聞いてみてください。発売は5月15日の予定。
 他にも注目作はたくさんあるが、ブラジル音楽ファンにとって嬉しいのが、トラーマの旧作が1800円(税別)で買えるシリーズの登場だろう。基本的にCDは全部1800円。エリス・レジーナのDVDも3000円(税別)で発売する。トラーマ作品で買い逃したものがある人は、これを機会に全部揃えてみてください。

 この時期になるとヨーロッパでも新作のリリースが多くなってくる。その中でも気合が入っているのがワールド・ミュージック・ネットワークだ。なんと、近いうちにサハラ砂漠の音楽をまとめた編集盤を出すらしい。これを編集しているのが、ティナリウェンのアルバム解説などを手がけていたアンディー・モーガンさん。この筋の音楽のもっとも信頼できる専門家だけに、内容も期待していいだろう。話題になった<砂漠のブルース>の全貌を知ることができるアルバムになりそうだ。

 

4月6日(水)

 今週は打ち合わせ週間。今日も午後から外出して、2本の打ち合わせをこなした。

 2本めの打ち合わせが早く終わったので、久しぶりに自宅でゆっくり夕食を取る。もらい物のワインがあったので、いつかゆっくり飲もうと思っていたのだが、それがやっと果たせたのが嬉しい。たしか、もらったのは2ヶ月くらい前のはずだから。
 そんなわけで今晩のBGMは、来週ライスから発売されるアウレリオ・マルティネス。最近のぼくの愛聴盤だ。中米の黒人系音楽パランダの若手だが、先にライスから出したガリフーナ・オール・スターズの『パランダ』(ライス EAR-569)よりさらにすばらしい内容だから、嬉しくなる。さあ、早く解説原稿を書かないと。

 

4月5日(火)

 経理仕事が先週で一段落したと思ったら、今週は打ち合わせの仕事がいっぱい。今日も午後からずっと打ち合わせが続いてしまった。こうなると、本来の仕事になかなか手がつけられない。やらないといけない仕事はいっぱいたまっているのだが…。

 ブラジルのトラーマと独占配給契約をしたと思ったら、いきなりトラーマの新作リリースが続いてしまった。先週のマックス・ジ・カストロに続いて、今週はトン・ゼーの新作が発売される。しかも、これがこれまで以上に力の入った大作アルバム。トラーマ専属になってからの最高傑作と言ってしまっていいだろう。
 そんなアルバムだから、本当ならもっとゆっくり時間をかけてプロモートしたいところだが、大慌てのリリースになってしまったのは、並行輸入業者よりも早く入荷させないといけないからだ。独占配給の契約をしたところで、日本の平行輸入業者はそんなことはおかまいなし。平気で輸入してしまう。トラーマがいくら輸出規制をしてくれたところで、ブラジル国内のディストリビューターから輸入してしまえば、それまでだ。結局、早く入荷して安く売るくらいしか、防御の方法はない。
 そんなわけで今回は時間がなくなってしまったが、次のアルバムからはもっと早い段階で音やジャケットを入手して、少しでも時間をかけてプロモートするようにしたい。平行輸入業者と違って、こちらにはプロモートしないといけない義務がある。ある程度の数を売らないといけない義務もある。お店の皆さんにもそういった事情をわかってもらえると嬉しいのだが…。

 

4月4日(月)

 先にライスから発売していま話題になっている幻の中米黒人音楽『パランダ』(ライス EAR-569)でお付き合いをはじめたベリーズのストーントゥリー・レコーズ。今月も同じレーベルから発売されたガリフーナ音楽の若きスター、アウレリオ・マルティネスのソロ・アルバムを発売する予定だが、他のアルバムのサンプルが届いていたので、ここでまとめてチェックすることにした。
 なんといってもベリーズは1981年に独立した若い国。その国民音楽とも言われているのがプンタ・ロックで、ストーントゥリーはこの分野のアルバムを中心に発売している会社のようだ。このプンタ・ロックがなかなかに衝撃的な音楽。国の若さを象徴してか、すごく若々しい音楽である点がまずすばらしい。一言で言えば、カリプソとサルサとガリフーナ音楽をミックスしたようなパーティ・ミュージック。チープなものも多いが、ガリフーナ色が強いものほど楽しめる。ちょうど良い感じのアルバムを一枚見つけたので、来月か再来月あたりに紹介することに決めた。

 中米と言えば、当社では今月末にカリの名作『ラシーヌ』の第1集と第2集を収録したダブル・アルバムを発売する予定。それに続いてマルチニークなどカリブ音楽ものに少し力を入れたいと考えている。マルチニーク音楽は、10数年前に一挙に盛り上がったが、その後は多くのアルバムが廃盤になってしまった。マラヴォワなんて、あんなに話題になったのに、いまではまったくカタログに残っていない状況だ。これでは新しいファンが聞きたいと思ってもどうしょうもない。そんな状況をどこかで打破しないといけないだろう。
 ライスでは、これまでもキューバやブラジルなどの過去の重要な音源をしっかりした選曲と解説でお届けしてきた。こういう地味なシリーズはそうは簡単に売れるものではないが、メジャー会社が目先の利益ばかりを考えたリリースを続けているいま、誰かが地味な仕事をしてゆかないといけない。そんな使命感を持って発売してきた。
 でも、こういう仕事を続けられるかどうかは、ファンの皆さんのご協力に関わっている。少しくらいは売れてくれないと、先が続かないということです。当社がやめてしまったら、いま店頭にあるアルバムはすぐに姿を消してしまう。いつまでもあると思わず、お早目のご購入をお願いしたい。どうぞ、よろしくお願いいたします。

 

4月3日(日)

 中途半端になっていたCD棚の整理を少し。いちおうCDは棚に収まっているのだが、順番がまだバラバラで、それを少しずつ直してゆかないといけない。今日はやっと4分の1だけ整理完了。まだ先は長い。
 そうして部屋を片付けているうちに、本棚をひとつ買って本のほうも少し整理しようと思いはじめたのだが、こちらはお金ができるまで手をつけられそうもない。本棚のほうも、あまり用のない本がずいぶん並んでいる。これらも早いところ処分して、スッキリさせたいところだが…。

 月はじめの恒例行事。来月発売のアルバムを検討しないといけない時期がやってきた。すでに昨年インドネシアで録音した『ジャイポン・マジック』を5月1日にやっと発売できることになったので、ぼくとしては嬉しい。他にもリリース予定のアルバムはいくつかあるが、これから交渉を詰めてゆかないと…。ジャイポンのアルバムの解説も書かないといけないし、明日からまた忙しくなりそうだ。

 

4月2日(土)

 あまりに疲れたので、午前中はゆっくり身体を休めて、午後は池袋の本屋さんへ。いつも通りのジュンク堂だ。以前も紹介したように、ここは立ち読み奨励のお店。机と椅子まで用意されているので、ゆっくり買う本を吟味できる。今日は時間があったので、なんと4時間も立ち読みしてしまった。結局買ったのは2冊だが、お金ができたら買いたいと思う本をたくさん見つけてしまったからタイヘン。

 夜は近くのお蕎麦屋さんで少し飲みながら食事。久しぶりにゆっくりした夕食だった。

 

4月1日(金)

 昨日に続いて、今日は海外への送金の日。さらに伝票チェック。帳簿整理…。会社ができてもう7年以上、毎月やっている仕事なのに、経理仕事だけはどうしても慣れない。今日もドッと疲れてしまった。

 ずいぶん前にヨーロッパのあるレーベルにメールでお願いしていたライセンスの件、やっと返事が届いた。基本的にはやってくれそうな雰囲気だ。まだアドヴァンスの金額など折り合いをつけないといけないことはあるけど、そのうち良い報告ができるだろう。
 そんなメールが届いた同じ日に、イギリスのある老舗レーベルから配給のオファーのメールが届いた。以前から気になっていたレーベルだけに、こちらも嬉しい知らせだ。さっそく返事を打って、こちらはさっそく今月末あたりから配給をスタートさせることができそうだ。まだレーベル名まではお知らせできないが、決定したら喜んでくれるファンもいることだろう。

 ヨーロッパ時間に合わせてメールの返事を書いたりしていると、どうしても夜遅くまで仕事になってしまう。今日も終わったらもう9時。朝6時半から仕事をしている身には、やはりコタえる。時差の問題だけに、解決しようがないことだが。

 

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