独トリコント名編集盤  各2,835円(税込)
アメリカン・ヨーデリング
黄金時代のメキシカン・ボレーロ
INR-7017 INR-7017
         

ドイツのユニークな復刻専門レーベル、トリコントの名盤大集合

 昨年ライスから発売されて話題になった『アメリカ合衆国にたどり着いた〜移民たちの望郷歌』(ライス INR-7001)をはじめ、とてもユニークな視点で作られた個性的な復刻アルバムを数多くリリースしているドイツの復刻専門レーベルがトリコントです。ライスではそんなトリコントの独占配給を開始。そこで、このレーベルに残された名盤の数々を少しずつご紹介してゆくことにいたしました。
 その第一弾としてリリースするのが『アメリカン・ヨーデリング』と『黄金時代のメキシカン・ボレーロ』の2枚のアルバムです。

 ヨーデルというと、ヨーロッパのアルプス地方に生まれた伝統的な歌唱法と思われていますが、世界の民俗音楽、あるいは伝統音楽の分野では、ヨーデルのようにファルセットと地声を交互に織り交ぜて歌うような歌唱法はたくさん存在します。日本でも奄美の民謡がそうですし、イラン(ペルシャ)音楽の超絶技巧タハリールなどもヨーデルに似たテクニックと言えるでしょう。このアルバムではそんな多彩なヨーデリングのうち、アメリカで成熟したスタイルにスポットを当てて編集されています。
 メインになるのは、アルプスのヨーデルの影響で生まれたとされるカントリー・ヨーデル。ただし、カントリーというジャンル名が使われるはるか以前の貴重な音源も多く収録。さらに、さまざまな移民コミュニティで歌われたヨーデルが入っているのはトリコントならではでしょう。また、黒人音楽におけるヨーデルも聞けるなど、幅広い音源が収録されているのが特徴です。1911年から46年までの音源を使用。
 民俗音楽の分野でのヨーデルのアルバムはこれまでたくさん存在しましたが、ヨーデルという歌唱法にスポットを当てて多彩な音楽を楽しませてくれるアルバムは、これがほぼ世界唯一でしょう。そういう意味でも貴重な1枚です。

 もう1枚の『黄金時代のメキシカン・ボレーロ』は、タイトル通り、メキシコにおけるボレーロの黄金時代である1940〜50年代の音源を中心に集めたアルバム。踊るためでなく、聞くためのラテン音楽アルバムです。
 ラテン・アメリカの世界で、特に戦後のラヴ・ソングの分野をリードしたのがメキシコでした。この時代はキューバやプエルトリコの名歌手たちもメキシコに渡り、しのぎを削ります。そうして生まれた数多くの愛の名曲は、世界のラヴ・ソングの歴史の中でももっとも情熱的、そして煽情的だと言われています。
 ここに収録されたのは、そんな当時の代表曲の数々。大歌手ペドロ・バルガスから女王トーニャ・ラ・ネグラ、さらにロス・トレス・アセス、エルマナス・アギラといったヴォーカル・グループまで、多彩な歌手たちの歌声でこの時代のメキシコの愛の調べを楽しめる作りになっています。
 ラテン音楽ファンのほとんどがダンス音楽ファンでしょうが、ここはひとつ、歌もの音楽としてのラテン音楽にも目覚めていただきたい。そんな思いでリリースすることにしたのがこのアルバムです。この分野の初心者の皆さんにお勧めいたします。

試聴はこちら(トリコント公式HP/『アメリカン・ヨーデリング』)
試聴はこちら(同上/『メキシカン・ボレーロ』)

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