インド音楽とブルース/ロックが交差するワールド・ミュージックの新機軸!
かつて80〜90年代にかけて幅広いジャンルで活躍したインド系イギリス人女性歌手ナジマ・アフタールが久しぶりにシーンに戻ってきました! しかも今回は偉大なるアメリカ人ギタリスト、ゲイリー・ルーカスとのコラボレイション・アルバムということで、ジャンルを越えた実に興味深い内容に仕上がっております。
当初“ナジマ”の名前で知られた褐色の麗人ナジマ・アフタールはインド人の家系に生まれたイギリス人女性で、インドの古典音楽の中でも“ライト・クラシック”と呼ばれるガザルやバジャンを歌うシンガーとして1980年代に歌手デビューしました。彼女はその持ち前の澄み切った声質とメリスマ(コブシまわし)を効かしたテクニカルな伝統的歌唱法がすぐさま世界の音楽ファンから評価されたほか、さらに様々なジャンルの音楽家からも注目され多くのコラボレイションを残しました。その中には元ポリスのアンディー・サマーズやジャズ・サックス奏者のスティーヴ・コールマンをはじめ、アパッチ・インディアン、森岡賢といった多彩なアーティストらが軒を連ねていますが、さらに彼女の名前を広く世に知らしめたのは、なんといっても元レッド・ツェッペリンのジミー・ペイジとロバート・プラントが連名で制作した『ノー・クォーター』(1994年)という特別アルバムに参加した事でした。そこで彼女はツェッペリンの名曲「限りなき戦い」をプラントとデュエットで歌い、ロック・ファンたちをも大いに驚かせました。
そのナジマが今回コラボの相手役に選んだのは、かつてキャプテン・ビーフハートのバックバンド“The Magic Band”の一員として活躍し、さらには若くして亡くなった天才SSWジェフ・バックリーとの活動でも知られたNYCの腕利きギタリスト、ゲイリー・ルーカスでした。
そして本作ではその二人の個性をぶつけ合うがごとく、インド音楽ガザルと、ブルースやロックのフレイヴァーとが合体したフレッシュなミクスチャー音楽を展開。ガザルの歌手として高い実力を持つナジマと、ロック的なアプローチで迫るゲイリーのブルース・ギターが、パワフルかつファンキーに融合し、そこにタブラのエスニックなビートが被さってさらにそんな音楽が引き起こす化学反応を促進させています。シンプルなアレンジながら、奥深いサウンドに仕上がっているのは、まさに両者の豊富な音楽的バックボーンの賜と言えるのかもしれません。
これぞインド音楽の未来を示唆する重要作! ファンはお聴き逃しなく!
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