7月31日(火)

 他にも書かないといけない原稿があるが、今日は月末の支払日。とてもそんなことはやっていられない。支払いの後は、ひたすら経理仕事。それで一日が終わってしまった。
 今月も支払うべきお金を支払ったら自分のところにはいくらも残っていない。いったい何のために働いているのかと、という感じ。会社をはじめて10年、ほとんど毎月、月末にはこんなことを思っている。

 

7月30日(月)

 パリの観光ガイドにも載っているアラブ世界研究所だから、パリに行ったことがある人なら外観くらいは見たことがあるかもしれない。音楽ファンの間では、そこでCDを出していることも知られているだろう。実はライスで発売した『アルジェリア音楽集大成』はそのうちのひとつだが、これを機会にこのレーベルの他のアルバムもまとめて配給させていただくことにした。とりあえず10タイトルをセレクトして、解説付きシリーズで発売することを決定。今日は朝からその解説原稿書きに追われた。
 とりあえず、いま注目を集めているマグレブ地域のアルバムを紹介したのだが、けっこう面白いものが多い。アルジェのシャアビ、と言えば、アルジェリア音楽の粋だが、そのベテランであるアマール・エル・アシャーブなんて、おじいサンバのアルバムみたいな上品なシブさだし、モロッコのマルフーンを代表するエル・ハジ・フシーン・トゥラーリも同様のベテランらしい歌声。そこにシェイハ・レミッティ(シェイカ・リミッティという書き方は間違いでしょう)の伝統スタイルの歌声を集めたアルバムを加えた3枚くらいは、すぐに買っておいたほうが良さそうだ。来週あたりにはサイトにアップされる予定です。

 

7月29日(日)

 今日は参議院選挙。大の選挙好きであるぼくとしては、なかなか仕事にならない。投票もかなりじっくり考えてから行った。夜はテレビにほとんど釘づけ状態・・・。
 民主党の圧勝、というより、自民党の大敗というべきなのだろう。そんな選挙でもっとも印象に残ったキャッチ・フレイズは「姫の虎退治」(岡山県・民主党)。勝っちゃった本人が一番ビックリしていたところもまた、今回の選挙を象徴していた。
 アベ総理はそれでも続投するつもりのようだが、かえって民主党の思うツボだろう。長続きはしない。総選挙は年内。来年の洞爺湖サミットは小沢一郎が出る、なんて、誰も予想しなかったことが起きるのかもしれない。

 テレビが選挙一色になってしまったせいで、サッカーのアジア杯の決勝を見た人は少なかったかも。実はNHKがBS第2でこっそり生中継してくれていたので、ぼくは選挙番組の間に楽しんだ。ちなみにテレビ朝日は、なんと午前2時過ぎの放送。そういう意味でNHKはファイン・プレイだ。
 見ていて思ったのが、サウジアラビアが信じられないくらい動けていなかったこと。オーストラリア戦で力を使い果たした日本が次のサウジアラビア戦で疲れ切っていたように、その日本戦で力のすべてを出し切ったサウジがイラク戦でもう抜け殻と化していた、ということだろう。暑い東南アジアで2試合も3試合もベストの状態で戦うことは不可能だ。そういう意味で、番狂わせは面白かったが、実際に戦っているサッカー選手にはちょっと気の毒な大会だった。

 

7月28日(土)

 今日も自宅にこもって原稿書き。今日は調べることばかりが多くて、なかなか進まなかった。こういうときは本当にイライラする。

 そんなイライラが極地に達したのが夜のサッカー。日本代表は3位決定戦で韓国にも敗退。まあPK戦だから仕方がないところだが。
 先のオーストラリア戦もそうだったけど、相手がひとり退場になって10人になったのが良くなかったようだ。1人少ないのに、どうして点が取れないのかと思う人がいるようだが、10人になると相手は守ることに意思統一される。攻めてこようとしたときこそ生まれるスキが、こうなると生まれない。余程実力に差がないかぎり、守ろうと結束した相手から点を取るのは、難しいものなのだ。ましてや韓国もオーストラリアも守ることに関してはアジアのトップクラス。攻撃を諦められてしまったら、なすすべはない。羽生、佐藤と、突破力のある選手が入って、その技術を最高に発揮してくれても、あんなものなのだ。今日はシュートがちょうど正面を突いたり、手を出したところにたまたま当たったり、韓国のゴール・キーパーが異常なほどツイていたこともあるが。

 

7月27日(金)

 午前中に事務所で雑用を少し終わらせた後は終日自宅にこもって解説原稿の執筆。アマリア・ロドリゲスの初期音源5枚バラ売りの解説原稿をなんとか書き上げた。アマリアの40〜50年代録音は『ファドの貴婦人』(ライス PSR-549)を作ったときにすべて耳にしたつもりでいたが、最近になってポルトガルで未復刻音源がかなり発掘され、おかげで今回の5枚にも、ぼくが聞いたことがなかった音源がけっこうあった。アマリアのレコードは、もう一度機会を改めてじっくり調査し直さないといけないかもしれない。

 夜は少し時間ができたので、久しぶりに新しく買ったCDをチェック。ぼくは日常的にスペインからCDを取り寄せているが、そんなスペインからの便がちょうど昨日届いたので、そのうちの何枚かを聞いてみた。今回注文したものの中でもっとも面白かったのが、レブリハーノ。ベテラン男性歌手であり、パコ・デ・ルシアの伴奏でも録音を残してほどの人気者でもあるが、ワールド・ミュージック好きの間では、モロッコのアラブ・アンダルース音楽の楽団と一緒に吹き込んだグローブスタイル盤のほうが知られているかもしれない。実はぼくもそのひとりで、パコとの共演盤は全然持っていない。というか、興味もない。で、今回驚いたのは、レブリハーノのアラブ・アンダルース音楽との共演という試みは、一回こっきりではなく、その後も続いていて、今回入手した2005年の最新盤ではさらにユニークな音楽に深めてくれている、ということだ。だいたい、20年近く続いているということは、もはや実験的な試みではなく、レブリハーノのひとつのスタイルになっているはず。この試みをそこまで深めてくれたレブリハーノは、ぼくらが思っていたよりずっと懐の深い音楽家だった、ということだ。このアルバムは残念ながら日本には入っていないようなので、そのうち紹介する方法を考えたいと思う。

 

7月26日(木)

 昨晩もサッカーを2本。でも、さすがに朝早く起きて、深夜もテレビというのはキツくなってきた。ちょっと前の日記でイランとイラクを書き間違えている。それくらい疲れているということ・・・。困ったものです。

 フェラ・クティが亡くなったのは1997年の8月。来月で没後10年になる。ライスでもささやかながら、そんな10周年にフェラの追悼企画をやろうと思っている。と言っても、独自企画ではなく、英ラスによるリイシューもののいくつかだ。ファンの方々はすでにお持ちだと思うが、若いファンの皆さんにはぜひご注目いただきたい。
 また、これは9月アタマになってしまうが、コンゴ音楽史上最高のヴォーカリストと言われるタブー・レイ・ロシュローの初期〜全盛期の音源を集めたすばらしい2枚組を発売することにした。こちらは英スターンズのリイシュー・シリーズの1枚だ。珍しい音源も入っているようなので、きっとツウのアフリカ音楽ファンの皆さんも満足していただけると思う。どうぞお楽しみに。

 

7月25日(水)

 昨日の夕刊で音楽評論家の青木啓さんが23日にお亡くなりになったことを知ってビックリしてしまった。つい先月まで『朝日新聞』の洋楽アルバムの紹介を続けられていたのに・・・。いわゆるアメリカのポピュラーの分野では青木さんが編集されたアルバムをたくさん聞いてきた。そういう意味で、青木さんはぼくの先生のひとりだ。心よりご冥福をお祈りいたします。

 先にライスから発売されたアルジェリアの男性歌手ルネース・マトゥーブの『ラスト・コンサート・ライヴ』(ライス CRR-3603)の解説は蒲田耕二さんに書いていただいたのだが、そこで大変なミスをおかしてしまった。というのも、蒲田さんが<ルネース>の読み方を説明している部分があるのだが、その文中のLounesのeの上に付いているアクセント記号が、本来の右下がりでなく、左下がりになっているのだ。これは蒲田さんのミスではない。ぼくが最初に解説を読ませていただいたときには、ちゃんと右下がりになっていたのだ。でもその後のレイアウトの過程で、どういうわけか逆になってしまったようだ。
 原稿をお書きいただいた蒲田さん、およびCDをお買い上げになった皆さんには、心よりお詫び申し上げます。次の出荷分からはアクセント記号を正しい形に訂正した解説をおつけするつもりです。本当にごめんなさい。

 

7月24日(火)

 久しぶりの晴天。今日も自宅で原稿書きだったこともあって、このチャンスを逃す手はないと、慌てて布団干し。ついでにまとめて洗濯をして、という感じで、久しぶりのお日様にはたっぷり仕事をしてもらった。それにしても気分の良い一日。上半身裸でパソコンに向かいながら終日原稿を書いのだが、これが最高の気分だった。暑くても冷房を必要とするほどじゃなかったのが良かったのだろう。

 

7月23日(月)

 朝からひたすら原稿書き。ブラジル向けの細かい仕事を朝のうちに終わらせた後、今秋発売のナンシー・ヴィエイラの解説原稿も午後早い時間に書き上げることができた。
 ナンシーちゃんは、カーボ・ヴェルデ出身の歌姫。レバノンのナンシー・アジュラムとともに、最近のぼくのお気に入りのアイドルのひとりだ。このアルバムもなかなかに気持ちの良い作品で、ここのところよく聞いている。もちろん歌手としてはセザリア・エヴォーラなんかより断然上。全然上手いし、全然可愛い。またカーボ・ヴェルデの伝統音楽だけでなく、サンバなどのブラジル音楽、さらにはペルーの黒人系、おまけにキューバのオマーラ・ポルトゥオンドさんを聞いて覚えたと思われる「ペンサミエント」まで歌ってくれているから、嬉しくなる。アイドル好きだけでなく、カリブ海音楽好きにも楽しんでもらえそうだ。週末には店頭に並ぶと思われるので、ぜひ聞いてみてください。

 

7月22日(日)

 日中はひたすら原稿書き。そして夜は昨日と同様、サッカーのアジア杯準々決勝を楽しんだ。
 韓国はいまいち調子に乗れていないようだが、PK戦で運よく勝てた。ぼくとしてはサッカーどころではない状況なのになんとか頑張っているイラクに準決勝に残ってもらいたかったが、でもそうなると準決勝はイランVSイラクという、とんでもない組み合わせになってしまう。だれもそれはやりたくなかったということなのだろう。
 もう一試合のサウジアラビアとウズベキスタン。ここでよりまともなサッカーをやっていたのはウズベクのほうだ。オフサイド間違いの判定でゴールが認められなかったのは気の毒だったし、あれがゴールだったら逆の結果になっていたかもしれない。勝ったサウジは、メンバーは多少変わったけど、やっているサッカーは以前と同じ。個人技はアジア最高。でも、チームとしてのまとまりは日本どころか、ベトナムやタイよりずっと下だ。これで準決勝に行けるのだから、ある意味スゴい。
 さあ、準決勝2試合は23日の水曜日だ。

 

7月21日(土)

 ワールド・カップもヨーロッパ選手権も南米選手権もそうだが、サッカーの大きな大会は、少なくとも準々決勝(ベスト8)あたりからは必ず全部見るようにしている。アジア杯も同じだ。今日は日本代表の試合もあったけど、もうひとつのベトナムとイランの試合もなかなか楽しめた。主催国のひとつであるベトナムがここまで頑張ってくれるなんて、誰も予想しなかったはず。
 アジア杯はワールド・カップの翌年なので、本来は新しいチームの船出の大会なのだが、実際は昨年のワールド・カップに出た代表がそのままメンバーになっている国が多い。日本もそうだが、もっとヒドいのがオーストラリアだ。ほとんど同じメンバーがそのまま残っていて、これじゃ当然研究しつくされている人ばかり。それじゃ今回はダメだろうと思ったら、案の定のPK負けだ。
 今日のオーストラリアの最大の誤算は、ビドゥーカが中沢にほぼ完封されてしまったことだろう。たぶん、日本はもう彼の防ぎ方を完璧に研究できたということだ。オーストラリアは後半からキューウェルなど足の速い選手を入れて、疲れた日本ディフェンス陣を混乱させようという狙いだったようだが、そうするためにはポストのビドゥーカがちゃんと機能していなければならなかった。そのビドゥーカを下げて、代わりにキューウェルを入れても何もならないのだ。ビドゥーカが下がってくれたおかげで、ワールド・カップで悩まされた終盤のパワー・プレイがなくなったと、日本はホッとしたことだろう。
 このままではオーストラリアが次のワールド・カップに行くのは、ちょっと難しい。誰か新しい人材が必要だ。

 

7月20日(金)

 自宅でひたすら原稿書き。

 

7月19日(木)

 ひとつご報告を忘れていた。エル・スール・レコーズの第一弾になるホセー・アントニオ・メンデスの『フィーリンの誕生』は、8月5日発売予定が一週間延びて、8月12日の発売になった。理由は書けない。でも、これ以上の遅れがないことを祈りたい。せっかく当社の新作の発売を遅らせて一番営業しやすい月の最初の発売日を開けておいたのに、遅らせてしまったのはもったいないし、もしこのままどんどん発売がズレたりしたら、ライスは8月に何も発売できないことになってしまう・・・。そうならないように、どうぞよろしくお願いしますね、原田さん。

 今日から来週にかけて、書かないといけない原稿が山のようにたまっている。同時進行で、ブラジルで発売されるショーロ・アルバムのブックレットの最終校正とか、契約書のチェックとか、他の仕事も割り込んできたりして、早くも月末並みの忙しさだ。さらに会社のほうも社員が急に辞めたおかげで、みんな大忙し。そちらも時間を見つけて手伝わないといけない。そんなわけで、これからしばらく日記どころではなくなると思われますが、どうぞご勘弁を。

 

7月18日(水)

 長い休みを取っていた社員が、休み明けに出社してくるなり、今日で辞めます、なんて言い出した。どうも休んでいるうちに他のことをやりたくなって、辞めることを決心したようだ。さんざん休んだ後、やるべき仕事がたっぷりたまっている状態ですべてを放り出して辞めようなんて、バカにも程がある。こんな人間を雇っていたなんて、本当に情けなくなった。
 これまでも会社を辞めてゆく人間はいたが、ぼくはそれを一度も止めたことはない。他のことをやりたくなること自体が悪いとは思わないし、可能性の芽を摘んでしまうのも可哀そうだと考えるからだ。でも、辞めることじたいはかまわないが、一緒に仕事をしているみんなに迷惑をかけることだけはするなと、いつも社員たちに言ってきた。せめて何ヶ月か前に辞めることを告げて、新しく入った社員に仕事を教えて引継ぎを済ませてから辞める。これが普通の人間だろう。今日辞めたバカにもそのことは何度も言ってきたが、こいつだけは全然理解していなかったようだ。ぼくの教育が悪かったと反省するしかない。

 そんなわけで、新しい社員を急募いたします。募集のときにはいつも書いているけど、ぼくらの仕事は音楽が好きであることが最低条件だ。音楽ファン、特にワールド・ミュージックに関心があって、ぼくたちと一緒に働いてみようかという方がいらっしゃったら、ぜひご一報ください。すぐにぼく自身が面接いたします。
 どうぞよろしくお願いいたします。

 

7月17日(火)

 7月とは思えない涼しい一日。ゆっくり寝られるので身体は楽だが、もうすぐ夏だぞと意気込んでいるぼくなんかにしてみれば、なんか拍子抜けだ。ブラジルとかインドネシアとか、暑い国ばかりに好んで旅をするぼくだから、もちろん夏は大好き。暑くて食欲がなくなったなんて経験は一度もないし、逆に夏野菜をつまみにビールを飲みすぎて太ってしまうくらいだ。こういうときには、音楽のアイディアも浮かんでくる。新録音のプロジェクトをついやりたくなってしまうのは、いつも夏になってからだ。
 ただ、こうしてアルバムを発売している側からすると、夏になって夏らしい音楽を思いついてもすでに手遅れ。それじゃ、いくら良いアイディアでも、来年まで発売できない。初夏にはすでに秋のことを考えていないといけないからややこしい。ライスの商品にそれほど季節感があるのかと言われそうだが、いちおうは各季節に1枚や2枚は、季節感のあるアイテムを出そうと心がけている。実は今日考えていたのも、そんな秋のアイテム。こんな季節はずれの涼しさがそうさせてくれたのかもしれない。
 この秋にはルンバが来る。ぼくはそう予測しています。いきなり何を言っているの、と言われそうだが、実はそんなアイテムをすでに用意しているからだ。これについては、そのうち正式決定します。そうしたらここで改めて発表することにしましょう。

 

7月16日(月)

 さすがに疲れが出たので、今日は仕事をお休み。食材を買ったり、掃除をしたりと、久しぶりに休みらしい一日を過ごした。サッカーを2試合もゆっくり観戦できたなんて、本当に久しぶりだ。個人的にはほぼ最高の休日。これで地震さえなければ、さらに良かったのだが…。
 サッカーについて言えば、日本代表がアジア選手権で決勝トーナメント行きを決めた試合も良かったが、それ以上にビックリされられたのが南米選手権の決勝戦(ブラジル対アルゼンチン)。大スターばかりを揃えた超豪華メンバーのアルゼンチンを、ロビーニョ以外誰も知らなれていないブラジルが撃破したのだからスゴい。それも3対0の完勝。まったく危なげない勝利だ。もちろんこれはブラジルの選手層の厚さがあってこその勝利。ブラジル以外では絶対にマネのできないことだが、それとは別に、今回のアルゼンチン代表のようなオールスター集団のモロさも感じさせられた。ただ上手な人ばかり集めたチームじゃ、なかなか優勝まではゆかない。他人のために、あるいはチームのために地道に働く人間が一人や二人いないとダメだということだろう。今回のブラジル代表にはそういう選手がたくさんいた。だから優勝できた。今日のアルゼンチンが簡単に優勝できるようなら、レアル・マドリードはいつも優勝していただろう。

 このメンバーで南米選手権を取ってしまったのだから、今後のドゥンガ監督の選手選びは楽しみだ。ロナルジーニョやカカーだって代表に戻れない可能性があるし、若手の抜擢も以前以上に自由にできるはずだ。だいたい、ヨーロッパで実績や富を持っている人より、それを目指そうという若手のほうが頑張るのは間違いない。本当に強いブラジル代表は、オールスター集団より、案外そういう若手を集めたチームなのかもしれない。

 

7月15日(日)

 自社制作盤の選曲がなかなか進まない。今日も雨だったこともあって、一日中自宅にこもって作業を続けた。こういう作業は、続けてやれればはかどるのだが、こうして何度も中断しながらだとなかなか先に進まない。そろそろイヤになってきた。

 

7月14日(土)

 朝起きたら、天気は雨。台風が来ているのだから仕方がないが、これがけっこう本降りで、ぼく的にはもしも仕事でなかったら絶対に外出しない雨量だ。そんな日にレコード・コンサートをやることになるなんて…。それでも集まってくださったお客さんには感謝しないといけない。ありがたい限りです。

 終了後はいつも通り3人で飲みながら反省会。そこで早くも次の企画が飛び出してきたのにはビックリだ。どうも、また近いうちに次回もあるようです。

 

7月13日(金)

 会社関係の雑用仕事を終わらせた後、午後から明日のレコード・コンサートの選曲を少し。蒲田さんと北中さんに大雑把なラインナップだけ書いたメールをお送りして打ち合わせに出たのだが、帰宅した頃には蒲田さんから返信も来ていて、夜のうちにだいたいの部分がまとまった。これで明日の朝に北中さんと打ち合わせをしたら決定だ。

 

7月12日(木)

 普通のレコード会社にとって6月あたりは稼ぎ時だろうが、当社は反対に例年売り上げが良くない。普段はワールド・ミュージックなんて何も出さないメジャー会社が、この時期に限ってたくさんのアルバムを発売するからだ。今年もハワイアンだけで30枚や40枚のアルバムが出ていることだろう。それにボサ・ノーヴァの復刻シリーズとかが加わると、レコード店各店の月間注文数の多くを占めてしまう。そんなときにぼくらが何を出したって、店頭に大きくディスプレイされたりはしない。もうお手上げ。しょうがない、というのは、前防衛大臣だけの口癖ではない。

 その分、なんとか盛り返さないといけないのが、8月から9月なわけだが、それだけに今年もいろいろな企画を考えている。エル・スール・レーベルの発足もそのうちのひとつだし、他にも自社制作ものが何枚か出すつもりだ。これから少しずつ発表してゆくことになりますので、どうぞよろしくお願いいたします。サンビーニャが活躍するのは涼しくなってからです。

 

7月11日(水)

 カリの新作『ラシーヌ 第5集〜カリブ音楽一周の旅』(ライス HBR-733)の解説原稿を午前中に入稿。これでなんとか予定通りに出荷作業が出来そうだ。週末にはお店に並びます。カリブ音楽ファンの皆さんはぜひチェックしてみてください。

 午後はブラジル音楽の新譜をチェック。日本もヨーロッパもそうだけど、7月から9月くらいまでは、いわゆる売れ筋の歌手たちの新作は出ない。この点はブラジルも同様だ。でも、そういう時期にかえって音楽的には面白いものが出るのがブラジル。最近チェックした中にもけっこう面白そうなアイテムがいくつかあった。来月くらいには、久しぶりにブラジルの歌手のアルバムをご紹介できるかも。もしも決定したら、この欄でお知らせしますね。そうそう、うちではやらないけど、マリア・リタの新作、録音が無事終了した模様です。

 そうそう、もうひとつニュースがあった。今日アマゾンでライス・レコードの特集ページがアップされたようだ。このサイトで買い物をしてくださっている方々には関係ないかもしれないが、いわゆる夏向けのアイテムをユニークな切り口で紹介してくださっているので、関心のある人はチェックしてみてください。

 

7月10日(火)

 昨日には書き終える予定だったカリの解説原稿を、やっと今日になって書きはじめる。夕方にはなんとか形になってきたが、昨日の飛び込み仕事のせいで疲れているし、仕上げるのは明日の朝になりそうだ。それにしても、今度のカリのアルバムはすばらしい。アイディアといい、内容といい、彼の代表作のひとつになりそうだ。先のデデ・サン=プリもそうだが、マルチニークのベテランたちが最近、急に元気になってきた。

 

7月9日(月)

 2年ほど前にブラジルでショーロの新しいアルバムをプロデュースしたのだが、いろいろ事情があってこれまで日本で発売できないでいた。そのアルバムがなんとブラジルで先行発売されることになった。先にそのポルトガル語の解説を送ったのは、このアルバムのためのものだったのが、今日はその校正やら正式な契約書やら送られてきて大忙し。ブラジル時間の月曜日の朝には受け取りたいとのことだったので、大慌ての作業になってしまった。でもこの調子だと、8月か9月には発売されることになるのだろう。そのときには、もちろん日本でも同時発売する予定だ。アルバムの内容については、改めてご報告させていただくことにしますね。
 こんな飛び込みの仕事のおかげで、サッカーのアジア大会を見逃してしまった。

 

7月8日(日)

 終日自宅作業。

 

7月7日(土)

 終日自宅作業。

 

7月6日(金)

 終日自宅にこもって選曲作業。これまで集中する時間が取れなくて困っていた編集盤のための作業だが、今日から3日間はじっくり取り組むことができそうだ。

 

7月5日(木)

 思うところがあって、これまで入手してきたグナーワのCD(それもポップ・グナーワでなく、伝統的なものばかり)をまとめて聞き直すことにした。『グナーワ・ホーム・ソングス』(ライス HMR-718)は今年になってライスから発売してきたアルバムの中で、ぼく自身がもっとも聞き返した1枚だが、実はこのアルバムに入っている人たちの何人かは、80年代後半から90年代にかけて作られたアルバムも持っていた。それらを一度はまとめて聞きなおしてみようと思ったのだ。そうしてアレコレ聞きながらわかったのが、伝統グナーワも90年頃はまだまだ若々しかったこと。その後に『グナーワ・ホーム・ソングス』を聞き返すと、そのシブさに改めてビックリさせられるほどだ。『ホーム・ソングス』は、シブさを意識して浮き彫りにしようとしている。ブラジルで言うところの、ヴェーリャ・グァルダたちのアルバムの作り方を受け継いだ感じだ。
 いずれにしても、すばらしいアルバムであることは間違いない。まだ買っていない人がいたら、ぜひお早目のご購入を。こういうアルバムは、いつまでカタログに残っているかわかりませんよ。

 

7月4日(水)

 今週から朝のテーマ音楽が変わった。アカリから出たショーロのボックスを聞き終えたこともあるが、それ以上に、梅雨のジトジトした気持ち悪さを夏っぽい音楽でも聞いて晴らそうという気分になったのだろう。いま聞いているのは、ブラジルのビスコイト・フィノから出た『フレーヴォの100年』と『ササリカンド』だ。ともにブラジルのカーニヴァルの歴史的名曲をたっぷり収録した2枚組で、最近は朝だけでなく、夕食を作るときにもこの2作品を聞いている。
 中でもすばらしいのが『フレーヴォの100年』の1枚めだ。フレーヴォはご存知のようにブラジル北東部最大の都市であるレシーフェのカーニヴァル音楽。伝統的にブラス・バンドによって演奏され、アクロバティックなダンスを特徴とするのだが、なんでこの音楽にド派手なダンスがつくのかは、このアルバムの1枚めに収録された楽曲を聞けばわかる。どの曲も音符の多さがハンパじゃない。手書きで譜面を書いたら1曲で手が疲れてしまいそうな曲ばかりだ。これじゃダンスは派手にならざるを得ない。このあたりは、バルカン半島のジプシー音楽も真っ青だ。しかもフレーヴォは、バルカン音楽とは違って、そんな派手で音数の多い曲ばかりなのに、どこかにしっとりした潤いを感じさせる。カーニヴァル音楽だからって、ただのバカ騒ぎではないところが、この音楽の良さなのだろう。この潤いは、レシーフェ音楽の底流にもしっかり流れているショーロの伝統のおかげなのだろうが、このアルバムで聞けるのは、そんな伝統をしっかり受け継ぎながら、もっともモダンな演奏を聞かせる現在最高のフレーヴォ・バンドであるスポック。これはもう、すばらしいとしか言いようがない。
 そしてもう一方の『ササリカンド』だが、こちらは音楽の都リオのカーニヴァルを飾るマルシャの名曲のオンパレード。30〜40年代くらいまでのリオのカーニヴァルは、実はサンバよりもマルシャのヒット曲が多かったくらいだが、そういう意味ではこちらもリオのカーニヴァルの歴史を代表する名曲を集めたアルバムということになるのだろう。ぼく自身は、ほとんどの曲をオリジナルのSP音源で聞いているので、まさに懐かしの作品集だが、普通の日本人にとってはほとんどが聞いたこともない曲ばかりに違いない。マルシャは、フレーヴォとは違って、シンプルで親しみやすく、どの曲もすぐにメロディーを覚えられる。そういう意味ではすごく通俗的な音楽だ。でも、そんなわかりやすい旋律の中で、どんなに楽しい曲でもかすかな哀愁を感じさせたり、すごくサラリとではあるが、伝統を持った音楽ならではの奥行きの深さを滲ませる。ポップでありながら、何度聞いても味わい深いのがマルシャであって、そういう意味でマルシャって、すごくゴージャスな音楽だ。
 そんなマルシャが80曲以上つまったのが『ササリカンド』。このアルバムの発売記念コンサートは、2月にリオで見て感動したが、こうしてじっくりCDで聞くともっとすばらしい。
 ちなみに、フレーヴォもマルシャもいわゆる2ビート。ヨーロッパのマーチから派生した音楽だ。そう言えば、アメリカでブレイブ・コンボなんてグループが登場した頃には、ぼくもずいぶん2ビート系の音楽を聞いたが、以来この系列の音楽はすっかりご無沙汰しまった。今年はブレイブ・コンボ以来10数年ぶりに、2ビート音楽をアレコレ引っ張り出して聞きながら夏を乗り切るというのもいいかもしれない。

 

7月3日(火)

 昨日は半日休めたので、少し元気が戻ってきた。事務所でたまっていた事務仕事をだいたい終わらせることができたし、経理仕事も先に進められたし、今週の雑務仕事はこれでほとんど片付けることができたようだ。

 

7月2日(月)

 ブラジル向けの解説原稿をなんとか書き上げる。ただ、外国語で書くと別の神経を使うのか、大して長い原稿でもないのに、終わった途端に疲れがドッと出てしまった。そこで午後からは、スポーツクラブのサウナに入ったり、マッサージ器にかかりながら本を読んだりと、とにかくリラックスして過ごした。たまにはこういう日がないと身体がもたなくなってきたみたいだ。

 

7月1日(日)

 ブラジルで発売されるアルバムの解説原稿の続き。この調子だと、なんとか明日あたりには送ることができそうだ。


6月のサンビーニャ日記 サンビーニャ日記/バックナンバー