5月31日(水)

 一ヶ月で一番忙しい月末の日の早朝にサッカー中継なんてのをやってくれるから困ったものだ。おかげでいつもよりさらに早起き。試合が終わったらすぐに解説原稿を1本書き上げて、事務所で支払いの準備。銀行に駆け込んでなんとか支払いを済ませたのは、午後3時ギリギリだった。

 それにしても、いつも思うのは、銀行ってのはどうしてこうも融通が利かないのかということだ。今日もいつもの月末と同じく銀行は大混雑だったが、月末がこうなるのはわかりきったことで、こういう日くらいは通常より少し営業時間を長くするとか、ちょっとした対策を考えてもいいようなものだろう。ちなみに、うちの近くの埼玉りそな銀行は最近、毎日5時まで営業している。やればできることなのだ。それでもやらないということは、客に迷惑をかけても当然だと思っているのに他ならない。今日なんて、さんざん待たされた末に「すみません」の一言すらなかったから、なおさらアタマにきてしまった。

 

5月30日(火)

 今日も早起きして解説原稿を1本完成。午後は新しい編集盤の解説原稿にも取り組んだ。そして夜は取引先とメールのやり取り。ここのところ、毎日こんなスケジュールだ。ひとつの仕事に集中したい気持ちはあるが、月末はやることがたくさんあって、なかなかそうもゆかないのが歯がゆい。本格的な仕事に集中できないと、ストレスがたまる一方です。

 

5月29日(月)

 朝から原稿書き。夕方までひたすら働いた。昨日休めなかったので少々疲れているのか、思ったほど仕事が進まないが、なんとか最低限のことだけは終わらせた。

 その後、取引先などとのメールのやり取りを終わらせた夜、食事をしながら偶然見たのが<NHKスペシャル>。ワールドカップが近づいたこともあって関連番組はたくさんやっているのだろうけど、ぼくはほとんど見ていないが、偶然見たこれには、ちょっと驚いた。というのも、取材対象になっているのは、初出場のアンゴーラとウクライナ。そして東ドイツ出身ながらドイツ代表でキャプテンを務める選手。日本代表でも、ブラジルなどの優勝候補でもなく、ほとんどの日本人がまったく関心を持っていないと思われるアンゴーラやウクライナを取材してワールドカップ番組を作ってくれたのだから、ビックリだ。こんなことができるのは、NHKくらいだろう。しかもこれがすばらしい内容。特にアンゴーラに関しては、関心を持っていたのに知らないことが多かったこともあって、すっかり楽しませてもらった。
 アンゴーラのサッカーが停滞していたのが長い内戦のせいだったことは知っていたが、それだけにこうしてワールドカップに初出場できたことは大きな喜びに違いない。そこで思い出したのが、もう3回くらい前のワールドカップだっただろうか、やはり初出場を果たしたカメルーンからレ・テット・ブリューレというグループが飛び出して、新しいカメルーン音楽を楽しませてくれたことだ。サッカーが盛り上がったときには、新しい音楽が登場するものなのかどうかはわからないが、日本でアンゴーラの音楽を配給している唯一の会社をやっていると、ついそんな期待をしたくなってしまう。確かにアンゴーラ音楽は、ここのところ新しい世代が登場して、面白い展開を見せているが、これを機会に国外でも知られるスケールの大きな音楽家の登場を願いたい。

 もうひとつ、Nスペを見て知ったのは、アンゴーラ人がポルトガル語をしっかり話すこと。公用語だから当たり前のことだが、ポルトガル人のそれよりブラジル語に近い彼らの発音には、親しみを覚えた。アンゴーラに行っても、ぼくが言葉に不自由することはなさそうだ。いっそポルトガルに行ったついでに、アンゴーラにも足を伸ばしてみようか、なんて思ったりして…。

 

5月28日(日)

 朝、新聞を読んで、ジョクジャカルタ周辺の大地震の被害がさらに深刻だったことを知る。死亡した人はすでに3000人近くに上るらしい。ジャカルタの取引先などにメールを打ってみたのだが、週末なのでまだ返事が来ない。ますます心配させられる。

 そんな地震のニュースを聞いたからではないが、今日は一日中、クロンチョンの古い音源を聞きまくることにした。整理してみたら、クロンチョン関係のSPだけで100枚ほど持っていたが、それらを片っ端からチェック。状態の良いものを選び出して、さらにじっくり聞き返した。クロンチョンをこれだけまとめて聞いたのは、10年ほど前に『インドネシア音楽の本』(北沢図書出版)を書かせていただいてとき以来だ。そこで改めて思ったのが、初期のクロンチョンで最高の歌手だったネティのすばらしさで、特に50年代前半と思われる録音における、何の作為も感じられないほど自然でしかも繊細な歌声には、久しぶりに心を打たれてしまった。この人の個人名義のアルバムは、ぼくの知る限りインドネシアでも出ていないが、それならいっそ自分で作ってみようかと思ったほどだ。とても日本では(たぶんインドネシアでも)売れるとは思えないが、こんなにすばらしい歌手が単独アルバムの一枚もないのではかわいそうすぎる。世の中、どこか間違ってると、ひとり息巻いてしまった。

 売れるアルバムのアイディアはまったく思いつかないくせに、売れないアルバムについてはどんどんアイディアが浮かんでしまう困った私。こんな人がレコード会社の社長をやっていて、本当に大丈夫なのだろうか。

 

5月27日(土)

 今度は中部ジャワのジョクジャカルタ周辺で大きな地震があったのだとか。夕刊によると、すでに500人以上の負傷者が確認されているらしい。ジョクジャカルタには脳溢血の後、体調が思わしくないマントースさんが住んでいる。彼の家はグヌン・キドゥルという山の中腹にあるのだが、そのあたりの被害はどうなっているのか、どこを調べてもわからなかった。とても心配だ。

 今日も朝から仕事をしていたのだが、あまり肩がこるので、夕方にマッサージにかかった。いつもの人にやってもらったのだが、今日はこり方が尋常じゃないのだとか。一日中パソコンに向かって、しかも慣れない新しいパソコンでの仕事だから、なおさら疲れたのかもしれない。

 そんなわけで、夜は仕事をしないで久しぶりに自宅でゆっくり。蒲田耕二さんにポルトガルで買ってきたEPやLPをお貸ししたら、美麗ジャケットつきの特製CDRを焼いてくれたので、それらをじっくり聞かせてもらうことにした。中でもすばらしかったのが、マリア・テレーザ・デ・ノローニャのデッカ盤EP音源。3枚まとめて12曲をCDRにまとめてくれたのだが、ノローニャのこれまで聞いたどのアルバムよりもすばらしく、何度も繰り返して聞いてしまった。ノローニャは、アマリア・ロドリゲスのような華やかさこそないが、実力ではアマリアにまったくヒケを取らない。真面目にコツコツと実力をたくわえていった感じの歌いぶりに、思わずブラジルのエリゼッチ・カルドーゾを思い出してしまった。

 

5月26日(金)

 今日は朝から雑務仕事。月末になると、会社関係の細かい仕事がどうしてもたまってくる。新しいコンピュータに慣れないこともあって、仕事がはかどらないせいもあるのだろう。午後から解説原稿書きをはじめたが、こちらもなかなか進まない。かなり疲れを感じるようになった。

 夕方から夜にかけては、取引先とメールのやりとりに奔走。仕事の話以外に、マリ北部の暴動のことが心配だ。ティナリウェンのサポート・スタッフからのメールによると、キダルの暴動はいちおう制圧されたようだが、まだ緊張は続いているらしい。外務省のサイトを見たら、旅行者は立ち入らないようにという情報が載っていた。ティナリウェンの関係者から今後も続報が送られてくるようなので、詳しいことがわかったらまたお知らせしたいと思う。

 

5月25日(木)

 新しいコンピュータがいきなりトラブル。いや、コンピュータそのものがおかしかったわけではなく、まだ使い方をわかっていないこっちがわるいのだろう。外国から送られてきた資料を転送したりプリントしたりするだけで、午前中を費やしてしまった。その後は、大忙しでリスト作成。そして夕方は自宅に戻って、遅くまで雑務仕事。なんか今週はとても慌しく感じられる。

 今週のリストは、昨日の日記でご紹介したネットワーク盤のパリッサと、仏マラビから発売されることになったインド洋音楽の編集盤に決まった。マラビを主宰するクリスチャン・ムセのライフ・ワークであるアングレームのフェスティヴァルは、今年で31周年を迎えるが、今回発売されるインド洋音楽ものは、そのフェスティヴァルに出演したインド洋出身のアーティストを集めたもの。最近ヨーロッパで話題になったインド洋音楽が、さまざまなレーベルの音源を集めた形で収録されているので、入門編としてお勧めできそうだ。いつもぼくばかりが解説を書いていても面白くないので、このアルバムは篠原さんに原稿をお願いした。6月11日には店頭に並ぶ予定なので、どうぞお楽しみに(パリッサは6月25日の発売)。

 

5月24日(水)

 朝からペルシャ(イラン)古典音楽の女性歌手パリッサのアルバムを集中して聞いた。彼女はドイツのネットワークに2種類(ともに2枚組)のアルバムを残しているのだが、これがともにすばらしく、日本で紹介したくなったからだ。今日集中して聞いてみたのは、まずはどちらを発売しようかと迷っていたから。でも、改めて聞いても、まったく甲乙つけがたい。とりあえずは新しい録音を先に出すつもりだが、いずれは2枚とも紹介することになるかもしれない。
 だいたいペルシャ古典声楽の最近の録音なんて、イラン人がたくさん住むアメリカでも作られていないし、古いものだって最近はほとんど入ってこない。若いファンの皆さんは、どんな音楽なのか、ご存知ない人がほとんどじゃないかと思う。そういう意味で、パリッサの2枚は音も良いので、入門編にはちょうど良さそうだ。タハリールという、ペルシャ古典声楽の独特のテクニックもばっちり聞かせてくれているし。パリッサが評判になったら、そのうち古い録音も探してみるのもいいだろう。

 午後は再び東京で打ち合わせ。午後遅い時間に蒲田耕二さんと、夕方にはタワー新宿の篠原さんと今後の仕事について話し合った。内容はまだここでは書けないけど、今年の後半あたりに面白い仕事ができそうな感じ。楽しみだ。

 帰宅後、再びサンプルのチェック。明日のリストの準備を進めた。ただ、打ち合わせのときに少しアルコールを飲んでしまったので、ちょっと音楽を聞くと眠たくなってしまうので困った。今日はあまり進められそうもないので、明日は朝早く起きて頑張らないと 。

 

5月23日(火)

 新しいパソコンに慣れるために、午前中は解説原稿書きに集中。まだタイピングに違和感はあるけど、なんとか普通にこなせるようになった。午後は、打ち合わせが2本。最後の待ち合わせが渋谷だったので、セール中のエル・スールに寄って、アナログ盤を少し買った。ちなみに、今日買ったのはSPがほとんど。他に欲しいものもあったけど、エル・スールさんは近々引越しをするそうなので、まずは割れやすいSPを購入することにした次第。
 そしてその後は松山晋也さんと打ち合わせを少し。秋から登場する新しいシリーズでは松山さんのお力を借りることになりそうだ。

 自宅に戻ってメールをチェックしたら、いまマリ北部で暴動が起きているという知らせが入ってきた。キダル付近は暴徒たちによって占拠されたのだそうだ。なんでそんな報道がメールされてきたかと言うと、キダルがあのティナリウェンの本拠地だから。ティナリウェンはいまヨーロッパ・ツアー中で、スウェーデンに滞在しているが、彼ら自身が電話などで連絡を取ったところによると、メンバーの家族のほとんどはキダルから近隣の町に逃げ出てしまったのだそうだ。もちろんマリ政府軍は暴徒たちに攻撃をしかけるようだが、キダルは都市部から距離があるので、どうしても解決には時間がかかる。キダルではすでに来年1月の<砂漠のフェスティヴァル>の準備ははじまっていたそうだが、このままだと開催が難しくなってしまうかもしれない。この町に、一日も早く平和が訪れることを願いたい。

 

5月22日(月)

 最近調子が悪く、だましだまし使っていたパソコンが、ついに起動しなくなった。しかも解説原稿を1本書き上げた瞬間に画面が真っ暗になってしまったから、大ショック。何度も復活を試みたがダメで、もう回復不可能と判断。新しいパソコンを購入することに。解説原稿や会社関係の資料はすべて会社のコンピュータに保存してもらっているが、友人たちのメールアドレスや取引先とのメールのやりとりは失われてしまうかも。というわけで、この日記をお読みになった友人の皆さん、空メールを1本送ってもらえると助かります。

 そんなわけで、朝早く起きて書いた原稿は残っていないし、午後は新しいパソコンの購入と設定ですべてつぶれて、まったく仕事にならなかった。新しく買ったパソコンは、キーボードのタッチが微妙に違うので、慣れるのに時間がかかるかも。これじゃ、ますます仕事が進まない。先週あたりから、なんでこうもストレスがたまることばかり起きるのだろう。厄払いでもしてもらったほうがいいのだろうか。

 

5月21日(日)

 仕事がたまっているので今日も仕事をするつもりでいたが、いくらパソコンに向かってもまったく気力が出てこない。先週はストレスがたまる問題ばかり起きたせいか、疲れてしまったようだ。若い頃なら、休みなんか取らなくてもいくらでも仕事ができたが、もうそういう年ではないと実感。せっかくの晴天なので洗濯や掃除くらいはしたが、後は自宅でノンビリ。というより、グッタリ。疲れすぎて、本を読む気にもならないほどだ。

 

5月20日(土)

 土曜日なのに今日も仕事。朝早くに会社に行って、まず税務関係の仕事。そして午前中は税理士さんと打ち合わせ。午後は事務所で少し来週の仕事の準備をした後に渋谷に出て、桜が丘音楽夜噺に語り手として出演した。

 今日の講演のテーマはサンバ。自分がプロデュースしたり編集したりしてきたアルバムを中心に紹介しながら、サンバとはどういう音楽なのか、自分なりの切り口でお話をさせてもらった。聞き手は原田尊志さん。さらに北中正和さんや蒲田耕二さんといった先輩の方々も聞きにきてくださったのにはビックリ。意味のある話ができたかどうかわからないが、とりあえず主催の関口義人さんとの約束を果たせてホッとしたというのが正直なところだ。音楽ライターでもないぼくがこういう会に出演することは、もうしばらくないと思う。

 

5月19日(金)

 午前中は自宅で雑務整理。午後から事務所に行って、帳簿の整理と、明日の講演の準備。夜自宅に戻ってからは、取り引き先との連絡や、来週の仕事の準備と、今日も本来の仕事をする時間がまったく取れない一日だった。今週は、ずっとこんな感じ。もっと効率よく仕事に打ち込める方法を考えないといけないようだ。

 

5月18日(木)

 午前中にリスト原稿を済ませて、午後は自宅作業。ただ、やるべき雑用があれこれあって、自分の仕事がなかなか進まない。ちょっとあせってしまう。

 今週のメインは、最近当社がプッシュしているレユニオンの特産音楽マロヤのいまを代表する音楽家ダニエル・ワロの『フタン・フォンケル』(ライス HMR-5014)になった。今月末に発売されるグランムン・レレと合わせて、これでマロヤの代表的なアーティストはいちおう紹介できたことになる。ワロのこの作品は1999年録音だが、間違いなく最高傑作。現代マロヤを代表するアルバムでもあると思う。発売は6月4日。どうぞよろしくお願いいたします。

 仕事が終わった後に、また困った問題がひとつ。3日前に仕事をはじめたばかりのアルバイトの渡邉くん、早くも辞めることになってしまった。なんでも演奏家としてのスケジュールが夏に向けて急に入ってしまったのだそうだ。

 というわけで、再びアルバイトを募集することになった。火曜日から木曜日までの3日間、出荷の手伝いなどをしてくれる、体力に自信のある人がいたら、ぜひ連絡してください。もし若くてやる気がある人なら、見習い期間後の社員採用を考えてもいいと思っています。

 

5月17日(水)

 困った問題がひとつ。当社で配給しているDJパチーフェの新作『ナ・エストラーダ』を、至急廃盤にしなくてはいけなくなった。
 今日になって知ってビックリしたのだが、なんでもパチーフェの制作会社はトラーマとブラジルおよび南米における配給の契約をしたものの、日本での配給は別の会社と契約しており、その会社がアルバムのリリースの準備をしているうちに、当社が配給してしまったということのようだ。もちろん、当社はそんな契約なんて知らないし、トラーマとは独占配給の契約をしているので、何も知らないで輸入/配給してしまった。本来なら、トラーマから輸出規制がかかっていることを知らせるべきだったのだが、なぜかそれもなく、通常通り輸出してしまったからこういうことになったのだ。幸い、当社は大きなプロモーションもせず、入荷した数も少なかったので、問題を大きくすることはなかったが、それでも相手の会社に対して非常に失礼なことをしてしまった。
 というわけで、このアイテムはすぐに廃盤扱いして、明日からの注文はすべてキャンセルすることにした。まだ多少の在庫はあるが、これはトラーマに返品するしかない。また、近いうちに本来の発売元から新しい発売日程などが送られてくるはずなので、その情報もこのサイトで紹介しようと思っている。本当に申し訳ありませんでした。

 そんな問題もあって、今日は朝からバタバタの連続。リズムに乗れないと、仕事もまったく進まない。夕方には外出する用事があったので、予定していたリスト原稿はほとんど手付かず状態。フラストレーションがたまる一日になった。

 

5月16日(火)

 アルバイトの渡邉くんが初出勤。今週は発売が遅れていたタイトルがちょうどふたつ重なったこともあって、いきなり大忙しだ。明日はブラジル盤も入ってくるし、さらに忙しくなるかも。でも、暇だといつまでたっても仕事に慣れないし、いきなり忙しいくらいがいいのかもしれない。

 ぼくのほうは、午前中は事務所で雑務仕事。午後は自宅に戻ってサンプル盤を徹底チェックした。リスト作成は木曜日だが、当日になってあわてるのがイヤなので、最近は水曜日に片付けるようにしている。そのため、今日がサンプル・チェックの日。ちょうどフランスから新しいサンプルが入ってきたので、今週もチェックしないといけないアルバムがいっぱいだ。じっくりチェックしていたら、夜10時過ぎまでかかってしまった。面白いものはいくつかあったが、さすがにここで紹介する力は残っていない。また明日以後に、ということで。

 

5月15日(月) 

 朝から自宅作業。選曲作業を進めたり、解説を書いたり、今日も忙しく働いた。ただ、その中で気が気じゃなかったのがサッカーのワールド・カップ出場メンバーだ。それが発表される午後2時が待ち遠しくてならなかった。
 そうして発表された23人のリストは、故障持ちの久保が外れて巻が入った以外はほぼ予想された通りだった。ジーコはキリンカップの前にほぼメンバーを決めていたと言っているので、ジーコがキリンカップで試したかったのは久保であって、巻や佐藤じゃなかったのだろう。ブルガリア戦で足首が痛くて先発できず、スコットランド戦で出ても不調だった久保を見て、このメンバーを決定したということだ。ジーコも選手時代、故障を持ちながらワールド・カップに出たことがあったが、そのときにチームに迷惑を掛けたという気持ちがそれほど強かったということなのだろう。久保にしてみても、ここで無理をして選手生命を縮めるようなことがあったら、かえって良くない。ゆっくり休んで、またあの躍動感溢れるすばらしいプレイを見せて欲しいと思う。
 それより、これからの1ヶ月は、4年前に就任して以来はじめて、欧州組を全員揃えた形でじっくり時間をかけて練習ができる。ジーコはこれが楽しみなのではないか。きっとジーコは、これまで以上に意欲的な指導に当たると思う。その後で行われるワールド・カップがジーコの4年間の集大成として、実りあるものになることを期待したい。

 サンプルや送られてきた情報をチェックしていたら、最近ヨーロッパでもインド洋音楽関係のリリースが多くなっていることに気がついた。当社ではいまレユニオンのマロヤ(マローヤ)を押しているが、この調子だとそれに続いて、さらに幅広いインド洋関係のリリースができそうだ。インド洋の島々なんて、多くの人はそれぞれの島の名前すら知らないと思われるが、もっと身近に感じていただくためにも、今後さらにインド洋音楽に力を入れてゆきたいと思う。どうぞ、よろしくお願いします。

 

5月14日(日)

 朝はゆっくり起きて、討論番組を2本見る。これが最近の日曜の朝のパターンになってしまったようだ。ただ、今日はテレビ朝日のほうでは田中真紀子が登場したのでウンザリ。途中でテレビを消してしまった。ぼくはこのオバサン、どうしても好きになれない。

 午後は自宅でじっくり選曲作業。やっと最終段階に近づいてきた。最初はお借りした音源だけで作ろうかと思ったが、結局は自分のSPも引っ張り出して、聞き返すことに。同じ曲でも、SPの状態が良いほうを使わないといけないので、これは仕方ないのだろう。おかげで、しばらく聞いていなかったSPも一緒にチェックすることができた。これでなんとか8割がた決まってきた感じ。後は音をチェックしながらの最終作業だ。

 

5月13日(土)

 朝早くに呼び鈴が鳴ったので出てみたら、佐川急便さん。担当者の春日井くんは、当社が創業して以来、もう8年以上の付き合いになるので、ぼくの週間予定をすっかり知ってしまっているようだ。土曜は、朝早くに来ないと自宅にいない可能性があるので、一番で荷物を届けてくれたのだとか。そんな佐川さんが持ってきてくれたのが、ビクターからチュラマナというグループのサンプルCDで、さっそく封を切ってみたら、よく知っている山内雄喜さんや上原まきさんが加わった4人編成のグループだった。沖縄とハワイアンをミックスしたような音楽をやっているのだが、これがかなりの気持ち良さ。山内さんは手数の少ない、シブい弾き方だが、まさに大人のバックアップ。そしてまきちゃんの超素直な歌い方も相変わらず良い感じだ。沖縄音楽はしばらく聞いていないが、こういう音楽ならぼくも楽しめる。おかげで、今日は朝から気分が良い。春日井くん、どうもありがとう。

 午後は会社でミックス作業。なんとか5曲ほど仕上げることができた。この仕事も再来週あたりにはほぼメドがつきそうだ。そしたらマスタリング作業。でも、発売は夏ではなく、秋あたりを予定している。

 夜は自宅でサッカー観戦。すぐ近くの埼玉スタジアムでやっている日本代表の試合だ。前のブルガリア戦はワールド・カップのメンバーに選ばれるかどうかという人たちが、自分をアピールすることばかり考えて、チームがバラバラだったが、今日はちょっとはマシになっていた。ただ、スコットランドだけでなく、日本もかなり疲れていたという印象。雨の中の試合だから余計にそう感じられたのだろう。だいたいリーグ戦が中断した直後のこんな時期に、無理して国際試合なんかすることなどなかったのだ。選ばれるメンバーには、まずは一休みして、じっくり体調を戻してからドイツに乗り込んで欲しい。

 

5月12日(金)

 午前中は選曲作業やサンプル・チェック。そして午後は打ち合わせ。ただ、こうして仕事の真ん中の時間に外出してしまうと、どうしても前後の仕事がはかどらない。おかげで、今日は珍しく夜遅くまで仕事することに。夕食を取ったのは、やっと12時過ぎだった。

 夕方にアルバイトの面接。サイトを見て応募してくれたのだそうだ。渡邊くんという、ブラジル音楽のミュージシャンをやっている人で、バランサというグループのメンバーだったこともあるらしい。来週から出勤してくれるそうだ。しばらくは商品化作業などを中心で、電話に出るようになるまではかなり時間がかかると思うが、よろしくお願いします。

 

5月11日(木)

 午前中はリスト原稿の残り。午後は自宅にこもってひたすら選曲作業。ただ、いろいろ問題があって、なかなかはかどらず、ちょっとイライラ。

 

5月10日(水)

 今日は朝からリストの原稿書き。リストは普段木曜日に作るのだが、明日は選曲の仕事をしたいこともあって、自分のパートだけ先に原稿を書いてしまった。ゴールデン・ウィークのせいで先週はリストがお休み。おかげで今週は情報がたくさんたまっている。特にブラジルから送られてきた情報を2週分整理するだけでもかなり時間がかかった。さらにライスや解説付きシリーズもあるから、チェックしたサンプルだけでもかなりの数になる。

 そんな今週のリストのメインは、グランムン・レレ。<マロヤの王様>と呼ばれる偉大なレレの遺作になってしまった作品だ。そこで、レレが日本にやってきたときに会ったという荻原和也さんに解説原稿をお願いしたら、アッという間に書き上げてくださった。そしてもうひとつのメインが、独ネットワークの2枚組編集盤『アイランド・ブルース』。6月になるとハワイアンのCDが、(普段はワールドなんて何も出さない)メイジャー各社から発売になるが、それに対抗して当社が発売するのがこのアルバムだ。夏になると海の音楽が聞きたくなる気持ちはわかるけど、毎年ハワイアンばかりじゃ能がない。そう思って、世界の海洋性音楽をどっさり集めたこのアルバムを出すことにした。

 情報を整理していて思い出したのが、ブラジル音楽ファンにはおなじみのラダメース・ニャターリが今年で生誕100周年を迎えること。なのでブラジルでは、今後ラダメース追悼のアルバムがかなりたくさん発売されるようだ。そんな中でぼくが一番聞きたかったのが、彼がシキーニョやジョゼー・メネージスらとともにジャズ・ショーロなどに取り組んだ40~50年代のSP録音だが、ちょうどそんなアルバムが発売されたので、近いうちに配給しようと思っている。ピシンギーニャの『ブラジル音楽の父』ではジャズを肉体化したオーケストラによる音楽を聞いてもらったが、そんな方向性を戦後に受け継いだのがラダメース。それだけに、いまなら関心をお持ちの方もいるかもしれない。ちなみにアメリカから帰国した後のガロートも、当時はラダメースと一緒に仕事をしているが、このあたりの音源もほとんどが未復刻。もし今年ラダメース100周年でも復刻されないようだったら、来年あたりに当社で復刻することになるかもしれない。実はもうタイトルだけは決めている。

 それよりも、いま毎日思っているのが、誰かどこかの雑誌でギリェルミ・ジ・ブリートの追悼記事、書いてくれないかなということ。みんなが感動した最初の来日公演は、ちょうどワールド・カップの年だったから、もう12年も前になる。覚えている人が少なくなってしまったのは仕方ないけど、それでもギリェルミはその後も老体に鞭打って彼しかできない音楽を作り続けてくれた。それだけに、これを機会に再評価されてもいいんじゃないかと思うのだが、どうだろうか。もっともギリェルミ自身は、「私がサウダージと呼ばれるときに」という曲で、亡くなってから良い奴だったとか言われるより、まだ生きているうちにオマージュしてくれと歌っていたのだけど…。

 

5月9日(火)

 昨日の日記で書き忘れたことがひとつ。昨日8日はテレサ・テンの11回目の命日だったことだ。実は、子供の頃とても可愛がってくれた母方の祖父の命日が5月7日(こちらはもう20回忌)で、だから7日の祖父と8日のテレサと、毎年この2日間は命日続き。祖父にお酒をあげたり、テレサのCDを聞いたりするのが恒例になっている。そして10日が、(どうでもいい話だけど)ぼくの誕生日。その前の9日がエンリッキ・カゼスの奥方の誕生日ということもあって、エンリッキだけは毎年思い出してバースデイ・メール(以前はファックス)を送ってくれるけど、日本では誰も覚えてくれている人がいないのが寂しいところだ。そんなこともあって、つい書いてしまいました。

 でも、5月に生まれたせいか、ぼくはこの季節が大好き。一年のうちで一番体調が良いような気がする。日に日に暖かくなってゆく気候がそうさせてくれるのだろう。ゴールデンウイークで少し身体を休ませることができたこともあって、今日もあまり疲労を感じていない。こういうときは、仕事で聞く音楽も楽しく感じられる。

 そんなわけで、今日も解説原稿を1本仕上げ、午後はゴールデンウイーク中に送られてきたサンプル盤のチェックと自社盤の選曲作業。頑張って仕事ができた。体調さえ良ければ、解説原稿は午前中にだいたい1本書き上げられるし、サンプルもどんどん聞き込める。選曲作業をしていても良いアイディアが浮かぶものだ。選曲しているアルバムの内容についてはまだここでは書けないけど、面白いものになると思う。ご期待ください。

 

5月8日(月)

 連休も明けて、今日が仕事はじめ。社員たちも集まったので、やっと本格的な仕事のリスタートだ。

 とかなんとか言いながらも、今日も午前中は自宅作業。原稿を1本書きあげて会社に行けたのは、やっと午後遅い時間だ。案の定、机の上には連休中に郵送されてきた手紙やサンプル、ファックスなどが山積みになっている。どうも休みのうちに、ブラジル盤やトラーマからの荷物も入ってきていたようだ。クラブ系のブラジルものがお好きな人ならご存知のDJパチーフェも無事入荷したそうなので、もう少しで出荷できるはず。ファンの皆さんは、どうぞお楽しみに。

 夜は再び自宅でサンプル・チェックをしながら、メールの返信。相変わらず海外からのオファーはたくさん来ているが、すでに日本のほかの会社と取り引きをしている会社からのオファーは困りものだ。今日も一件あったが、すぐにお断りした。向こうとしては、いま取り引きしている会社が売ってくれないアイテムを他の会社で売って欲しいという気持ちなのだろうが、もし将来、両方の会社が売りたいアイテムが出た場合はどうするつもりなのだろう。過去にそういったことが何度かあって困惑させられたので、二度とそういう会社とはお付き合いしないことに決めた。二股かけるような会社は、そのうちまた次も探すだろうし、そうなったら当社は長期的なプロモーションなんてできなくなってしまう。

 長期的なプロモーションと言えば、当社は今後もレユニオンのマロヤ(マローヤ)に力を入れてゆくつもりだ。すでにナタリー・ナティエンベサルム・トラディシオンといった若手たちのアルバムを発売したが、続いて、いまは亡きこの分野の王様グランムン・レレと、現代マロヤの大物ダニエル・ワロを出すことにした。レレさんは5月下旬、ワロさんは6月上旬の発売予定だ。マロヤどころか、レユニオンという島自体、日本ではほとんど知られていないと思われるが、こうして4枚のアルバムが出揃うことで少しは知られるようになってもらえたらと思う。そんな我々の意を汲んで、どこかの雑誌でマロヤの小特集でもやってくれるとありがたいのだが、難しいかなあ…。(昨年ガリフーナ音楽のアルバムを4枚出したときにもそんなことを思ったのだが、残念ながら誰も相手にしてくれませんでした)。

 

5月7日(日)

 今日は原稿書きなどの仕事はなし。お昼に打ち合わせを1本やって、午後はサッカー観戦。夕方から音楽評論家の蒲田耕二さんが遊びに来てくださったので、久しぶりに一緒にビールを飲んだ。食べ物はぼくが担当。外に飲みに行くと高くつくわりに美味しくなかったりするので、最近の蒲田さんとの飲み会はこのパターンになった。今日はタコのカルパッチョやじゃがいもスープ、ゴーヤ、ソーセージ、鮭のおにぎり(蒲田さんの大好物)など。

 

5月6日(土)

 今日も朝から音源チェック。なんとか選曲はまとまってきた感じ。来週には仕上げられそうだ。それにしても2日間、アナログ音源ばかり聞いていて、すっかり耳がSPやLPに慣れてしまった。こうなるとCDは何を聞いても違和感を感じてしまう。明日はちょっと耳を休めることにしよう。

 

5月5日(金)

 朝から夕方まで、ずっと音源チェック。ひたすら古い音源を聞きまくった一日。

 

5月4日(木)

 今日から早寝早起きを再開。朝から原稿書きをはじめた。連休のうちに書き上げておきたい解説は2本だけだが、自社制作のアルバムのほうも進めておかないといけない。こちらのほうが大変だ。今日からもっと力を入れて頑張らないと。

 夕方に近くの家具センターに行って、本棚を探す。気に入ったものはどれも高いので、今日は結局何も買わないで帰ってきた。スペースがないのでサイズが決まってしまい、だから選択肢が少ない。それが問題のようだ。新しい本棚を買うより、不必要な本は捨てるとか、もっと本格的な整理をしたほうがいいのかもしれない。

 家具屋さんでお金を使わなかった代わりに、帰りにお寿司屋さんに行ってしまった。お刺身に日本酒なんて、本当に久しぶり。

 

5月3日(水)

 いよいよ今日から本格的に仕事を開始。たまっていたメールの返事を書いたり、送られてきたサンプルをチェックして今後のリリースの予定を立てたり、解説原稿の依頼をしたり。

 そして午後からはCDや本の整理。CDはいちおう棚に収まったものの、本はとても収納できず、新しい本棚を買わないといけないことに気がついた。最近、外国に行くたびに本をたくさんっているせいだろう。外国で買ったレコードも聞いてないくらいだから、もちろん本なんて買っただけで、まだ全然読めていない。でも、何かの仕事で必要になったら、一気に読むことになるはずだ。ぼくにとって洋書は、結局そういう読み方をするものになってしまった。

 夜は明日原稿を書くことになっているルカ・ムンダーカのプロモーション用DVDをチェック。ステージではギター1本で歌うようで、これはこれでけっこう良い。この感じだと、ひとりで日本に来て歌ってもらってもOKだろう。さっそくルカさんにお願いしてみよう。

 

5月2日(火)

 いくら寝ても疲れが抜けない。今日は台所の掃除やCD整理をしようと思っていたのだが、どうしても力が入らず、やめてしまった。

 本当は今日までゆっくり休むつもりでいたが、どうしても終わらせておかないといけない仕事があって、事務所へ。そして午後は実家に寄って、仕事で使う予定のLPとSPを数枚ずつ持ち帰った。夜はそれらのアルバムをじっくりとチェック。これじゃ、まるで仕事しているのと一緒だ。

 そして夜は、送られてきた久保田麻琴さんの本をやっと拾い読み。思ったより書下ろしが多い本で、久保田さん、すっかりライターさんのようだ。ちなみにぼくがインタビューさせてもらった対談原稿も載っているけど、話し相手にはなったものの、それを文章化したのはぼくではない。かなり岩波っぽい文章なので、誰もぼくが書いたとは思わないだろうけど、いちおう念のため。

 

5月1日(月)

 天気が良かったので、洗濯と布団干し。そしてひたすら掃除。今日は換気扇や窓、床掃除などで終わってしまって、台所は明日回しになりそうだ。

 使っていたDVDプレイヤーがあまりにも調子が悪いので、新しいプレイヤーを買うことに。あれこれ見て迷った末に、結局手にしたのは6950円の激安品だ。でも、ただDVDを見る分には別に何も問題がない。おかげで午後は見ていなかったDVDを3本もチェック。仕事用のサンプルだったが、今日は何を見ても、聞いても、仕事を思い出さない。チェックするのではなく、本当に楽しんでしまった。やっぱり休みはいい。

 さらに晩御飯を作りながら、オーマガトキから出たスペインのカルメン・パリスの『いつかホテーラに』を聞く。蒲田耕二さんが解説を書かれていて、発売元からサンプルを2枚もらったからと、1枚ゆずってもらったのだが、予想したよりずっとすばらしい内容。すっかり楽しんで、2回も続けて聞いてしまった。ホタなんて、古い音楽だと思っていたが、こうして現代化している歌手がいたなんて知らなかったし、こんな人がいるくらいだから、スペインはまだ見込みがあるのかも。ちょうど今年はスペインに行く予定があるし、スペイン音楽、ちょっと本気で面白いものを探してみようという気になったりして。蒲田さん、どうもありがとう。

 

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