8月31日(木)
リストを仕上げてから、支払いなどの経理仕事を終わらせる。いつも通り、ひと月で一番忙しいのがこの末日だ。 月末の一番忙しい日に支払いをしないといけないなんて、面倒でならないが、こればかりは仕方がない。というのも、当社宛の入金はほとんどが末日。そうして入金されたお金をすぐに支払いに回すという綱渡りが毎月続いている当社では、この日しか支払いできる日がない。一度、支払い予約というのを銀行に相談したことがあったのだが、その場合は支払日の前日にすべての処理を終えないといけないのだとか。となると、末日まで口座にほとんどお金が残っていない当社は、まったく無理だということがわかった。入金日と言っても、朝一番で振り込まれているわけではなく、ときには午後かなり遅い時間だったりすることもあって、ハラハラドキドキだ。一日くらい支払いが遅れたって気にしない人もいるだろうけど、ぼくはそういうルーズなのはダメ。胃が痛くなります。 |
8月30日(水)
今日もひたすら解説原稿書き。今日もブラジル音楽ばかりだったので、比較的スムーズに書きあげることができたが、それでも朝6時から午後10時まで、14時間労働だ。月末はいつもこんな感じ。本を読むどころか、新聞もロクに読めない。 |
8月29日(火)
今日も自宅でひたすら解説原稿書き。今月は夏休みが間に入ったこともあって、サンビーニャというレーベル名で出しているTS番号のシリーズの解説を書く時間がまったく取れなかった。それを月曜から水曜の間にまとめて書こうということになったから大変だ。ただ、ブラジル音楽の作品が多かったので、人名などの表記に気を使わなくて済む点は楽だったが…。 人名表記といえば、今週発売するアビダ・パルヴィーンの解説を書くにあたって、どうしても読み方がわからない人名などをパキスタン大使館に教えてもらおうかと思って連絡したのだが、タリバンの問題があって忙しかったのか、全然相手にしてもらえなかった。今回は本人の名前ではなく、彼女が取り上げている古い時代のスーフィー詩人たちの名前をどう読むのかがわからなかった。結局その部分は確信が持てないので、アルファベット表記も一緒に載せることにせざるをえなかった。本当はこういう書き方は嫌いなのだが…。 本来なら、この分野をご専門とされている方にお尋ねしたいところだが、そこで問題になるのが、謝礼のお支払いだ。中には、お金なんていらないと言ってくださる方もいらっしゃるが、それじゃ仕事として成立しないので、関係が長続きしない。そこで、お金の心配をする必要がない大使館にお願いするわけだが、そうなると親切な人ばかりではないし、外国の方に日本語表記なんかをお尋ねしても、アクセントの位置などを考えてくれなかったりして、かえって手間がかかってしまうときもある。 もしもこういうCDがもっとたくさん売れるのであれば、こんな心配はしなくていいのだろうが、現実はかなり厳しい。それほど売れないのなら、謝礼としてお支払いする分をCD価格に上乗せしたらいいと言われたことがあるが、そうしたらお買い上げいただく皆さんにいま以上のご負担を強いることになるし、だいたいあまり高いCDは買ってくれないだろう。という風に考えてゆくと、売れないアルバムなんて最初から出さなければいい、という元も子もない話になってしまう…。本当に困った問題だ。とにかく時間をかけて、なんらかの解決方法を見つけてゆくしかない。 |
8月28日(月)
一度どこかの会社からアルバムが発売されたことがあるアーティストの人名表記を変更は、できるだけしたくない。複数の人名表記が存在してしまうと、サイトなどで検索しにくくなり、マーケットを混乱させると考えるからだ。ただ、そうは言っても明らかに間違った表記だったら変更せざるをえないし、もしそのアーティストがある程度有名であれば、気兼ねなく変更してしまうこともある。ソニーで<ナサォン・ズンビ>としていたブラジルのグループを<ナソーン・ズンビー>と変更したのはそのせいだ。ポルトガル語講座以外で通じるとは思えないヘンテコな表記を使いたくなかったせいもあるが、それ以上に、このグループだったら多少表記を変えても、みんなわかってくれるだろうという予想もあった。 でも、それが世間に知られていない人だったときには、困ってしまう。最近特に困ったのが、先に当社で配給した<アリム・カシモフ>のアルバムだった。 彼の名前はALIM QASIMOVと書くのだが、本当に<アリム・カシモフ>と読むのかどうか、少し不安があった。QAが絶対に<カ>だと確信を持てなかったからだ。それでも彼のアルバムはすでにキングインターナショナルから配給されており、そこでは<アリム・カシモフ>と表記されている。さらにワールド・ミュージック、あるいは民俗音楽の分野で信用を得ているエル・スールやゼアミなどのサイトを見ても、まったく同じ表記だ。ここまでくると疑いの余地はないと考え、同じ表記で発売することに決めた(言い訳になるが、あのときはライス盤の解説を3本もまとめて書かなければいけない事情があって、それ以上悩んでいる時間がなかった)。 ただ、今になってそのことが気になりだして、社員に在日アゼルバイジャン大使館に連絡して発音を確かめてもらったところ、とんでもない読み方であることが判明した。<アリム・ガスモフ>。ぼくが、というより、日本人の誰もが予想することができない読み方がなされていたのだ。 どうしてQAが<ガ>なのか、SIが<ス>なのか、皆さんも首をひねられることだろう。ぼくも今日一日、さんざん首をひねりまくった。そして調べたり考えたりしてゆくうちに、こんな表記になった理由がだんだんわかってきた。 まず注意しないといけないのは、ヨーロッパ人によってフランス語、あるいは英語風に表記されたアフリカ人のアーティスト名などとは違って、アゼルバイジャンにおけるアルファベット(ラテン文字)表記は、アゼルバイジャン人自身が決めたスペリングであり、しかもその歴史が非常に浅いということだ。彼らがラテン文字による表記をスタートさせたのは1991年の国家独立以後のこと。それまでアゼルバイジャンはソ連に属していたので、ロシア文字を使っていた。そしてどうも、新しくラテン文字表記をはじめる際に、文化的に近いトルコ語の表記の影響を受けたらしい。ただ、トルコ語にはご存知のように、発音記号のような、ラテン文字以外の記号が入る。それがアゼルバイジャン語では使われなかった。 もしも<ガスモフ>なら、GASMOV、あるいはGASUMOVと書けばいいと、誰もが思うだろう。でも、アゼルバイジャン語の表記では、GUは<ギュ>であって、<グ>ではない(そのことを大使館の担当官のお名前を見て知った)。トルコ語でもGUを<ギュ>と読むが、そのときにはUの上に必ず点が二つの記号が入る。でも、アゼルバイジャン語ではそれがついてなくても<ギュ>と読むのだ。でも、記号のないGUが<ギュ>なら、<ガ>行はGではない他の文字で表現するしかなくなってしまう。そこでQを使って<ガ>行を発音させようという、とんでもないことを思いついたのではないだろうか。さらにIは、トルコ語の場合、発音記号がついていないと<イ>ではなく<ウ>と発音される。それをそのまま受け継いだとしたら、たしかにSIは<シ>ではなく<ス>だ。そんな推測がすべて正しければ、たしかにQASIMOVは<ガスモフ>となる。 ちなみに、彼の名前を<アリム・ガスモフ>と読むんだぞと注釈が入ったサイトは、世界中にただのひとつも存在しない。たぶん、ヨーロッパ人もみんな<カシモフ>と読み、ひょっとしたら本人も、それをいちいち否定してこなかったのではないだろうか。もしもそうだとしたら、こんな間違った表記が蔓延してしまうのは仕方がない。 とは言っても、間違いはやっぱり間違いだ。間違えたら謝るのは当然だし、ただ口先で謝るだけでなく、正しい形に直さないといけない。子供の頃からぼくは親にそう教わってきた。なので、さっそく来週には新しいオビと解説を印刷しなおすつもりだ。すでにお店に出回っている商品を回収するわけにはゆかないが、今後ご注文をいただいた分は正しい表記のもので出荷したいと思っている。もちろん、すでに買われてしまった方には、新しいオビと解説を無償でお送りしたい。ご面倒だとは思いますが、お名前とご住所をメール、またはファックスでお送りください。また、すでにこの名前でレコード評などが載っていしまっている雑誌があるかもしれないが、これについてはアリムさんのネットワーク盤のもう一枚のアルバムを早急に発売し、そこで表記変更のお詫びをしながら対処するつもりだ。 今回のキングインターナショナルに限らず、間違った表記をしたまま発売している会社は、メジャーでもインディーでも多い。いや、すべてのレーベルが大なり小なり間違いを犯していると言っても過言じゃないだろう。あまり知られていない国の音楽を紹介しているのだから、間違えが多くなるのは仕方ない。それはそうなのだが(ぼくらもそれでさんざん苦労しているのだが)、でもそんなことは、やっぱりエキスキューズにならない。人間だから間違えるのは仕方ないが、でも間違えたら正すべきだ。他人はどうであれ、ぼくはそうしないと、自分の中で収まりがつかない。特にアリム・ガスモフさんは、それくらい大切に扱うべき、すばらしい歌手だと信じているから。 もちろん、印刷しなおすくらいでイバッてるわけではない。これはすべて当社、というより、ぼく自身の責任だ。本当に申し訳ないと思っています。ここに深くお詫びいたします。 |
8月27日(日) スダ・ラグナタンとアビダ・パルヴィーンの解説原稿を執筆。一日中、ひたすら机に向かえって原稿を書いた。実はコノノNO.1の日比谷野外音楽堂の公演を音楽評論家の松山晋也さんに誘われて、どうしようかとギリギリまで迷ったのだが、やっぱり仕事を先に仕上げないと、諦めました。こんなふうに仕事と重なったおかげで見ることが出来なかったコンサートは、会社創業以来、いくつあったことか…。でも、しょうがない。遊びを優先させるわけにはゆきません。 |
8月26日(土) 午前中は、今週の雑務整理。そして午後は蒲田耕二さんに依頼されていたシャンソンのアルバムのマスタリング。なんで蒲田さんが当社にマスタリングの依頼をしてきたかについては、まだ書けないが、いずれにしてもすばらしい選曲のアルバムだ。音のほうもそれに見合うように、だんだんと良い感じに仕上がってきた。 |
8月25日(金) 結局、蜂に刺されたところがあまりに腫れたので、医者に行くことにした。薬をもらったら、たしかにすぐに腫れは引いたが、今度はかゆくて仕方がない。これじゃ、やっぱり仕事にならない。そんなわけで午後は原稿書きをまったく出来ず、雑用仕事を少し進めただけ。不完全燃焼な一日だ。 |
8月24日(木) 相変わらず蜂に刺されたところが腫れた状態。歩くだけでも痛い。夕方になってすこしひいてきたので、明日は大丈夫だと思うが…。 今日はリスト作成日。今週はファンタジーアという、ロンドンを本拠地とする在英アルジェリア人のグループの新作をプッシュすることにした。アルジェリア移民のほとんどはフランスに住んでいるが、彼らは珍しい在英組。しかも6人編成のグループで、そこに女性ダンサーが加わる編成(CDではゲストも入っているのでもっと大所帯)だが、メンバーの半分はイギリス人で、それでもグナーワやシャアビのような音楽をやっているのだから、珍しいグループだ。もちろんロック的な要素も入っているが、子供っぽいそれではなく、北アフリカの伝統的な音楽の中に自然に溶け込ませている。イギリスからこんなバンドが飛び出してくるとは思わなかった。9月17日発売の予定。店頭に並んだら、ぜひチェックしてみてください。 9月になると、どこの国からも新作が出はじめる。今週は久しぶりにブラジル音楽の新作情報も充実した。みんなが注目するのはレニーニの新作(ライヴ)あたりだろうが、ぼくが驚いたのはある映画のサントラ盤。なんとあのロベルタ・サーが入っていて、しかも大昔にカルメン・ミランダがアメリカで歌ってヒットさせたショーロ・ナンバー「チコ・チコ・ノ・フバー」を歌っているからビックリだ。残念ながら、面白そうなのはロベルタが歌う2曲だけで、あとはなんてことないサントラ盤のようだが、それでも欲しいというロベルタ・ファンがいたら、お知らせください。お店からたくさん注文が来るアルバムだとは思えないので、直接注文も受け付けましょう(ただし、ご注文いただいてから入荷するまで、場合によっては1ヶ月かかることもあるので、ご了承ください)。 いよいよ忙しい月末が近づいてきた。やらないといけない仕事が山積みだ。この週末あたりが勝負。とにかく頑張らないと。 |
8月23日(水) 昨日の朝、ペンションの近くを散歩していたら、蜂に刺されてしまった。それが今日になって腫れてきて、朝からズキズキと痛い。あまり楽しんできたものだから、バチが当たったのだろうか。 夜のニュース番組によると、脱法ドラッグというのが問題になっているのだとか。本来はドラッグなのだが、法制化されていないから、警察は取り締まれないらしい。でも、脱法だからってそんなドラッグを使うなんて、ちょっと根性がない。どうせ悪いことをするなら、警察に捕まる覚悟でやるべきだ、なんて思うのは、ぼくだけだろうか。 実はぼく自身、過去にドラッグに狂っていた時代があった。あれは87年から88年あたりだっただろうか。当時ぼくはほとんどコカイン中毒だった。覚えたのは、ブラジル。その後ニューヨークにはもっと良質のものがあることも知った。日本で売人がどこで売っているのかも知っていたくらいだから、きっとずいぶん買ったのだろう。それでも最終的に止めることができたのは、日本のそれがあまりに高額だったからだ。 そんなものをはじめた理由は単純。ブラジルでレコード・プロデュースなんてことをはじめたせいだ。だいたい、日本人がたったひとりで乗り込んでブラジル音楽のアルバムを作る、なんてこと自体、いまから思えば尋常じゃなかった。当時ぼくは、ブラジル人、それもサンバの世界に生まれ育った人たちに向かって、サンバはこうあるべきだ、なんてことを言いながら、アルバムを作っていたのだ。もちろん、クスリの力を借りてそんなことを言っていたわけではない。そんな仕事をしているプレッシャーに耐え切れなくなった夜に、ちょっと手が出たのがクスリだった。 そんなプレッシャーのなかでプロデューサーという仕事をはじめて、今年でちょうど20年。ブラジルからインドネシア、マレイシア、山内雄喜さんとのハワイ音楽、ずいぶんいろいろな音楽のアルバムを作ってきたと思う。20年といえば、いちおう一区切り。今年中にそれらを整理して、リストにまとめておくのもいいかもしれない。本当は、忘れないうちに、思い出話も書きとめておきたいと思うのだが…。 |
8月20日(日)〜22日(火)
1986年にブラジルでプロデュースという仕事をはじめてやって以来、今日まで20年間、旅行はすべて仕事がらみ。観光や休暇のための旅行なんてまったくしたことがなかった。しかも、仕事の旅行のほとんどは海外。日本国内の旅行はやはり仕事がらみの出張で関西(と名古屋)方面に2回か3回行ったくらいで、ひょっとして最後に行った国内の観光旅行は、高校の卒業旅行だったかもしれない。 そんなわけで、久しぶりにディスカヴァー・ジャパンしてきました。 場所は長野県松本市の奈川村。あの野麦峠に近い渋沢温泉だ。ペンションにお世話になって、3日間リラックス状態。完全に仕事を忘れさせてもらった。 観光と言っても、別に名所歩きをしたわけではない。行ったのは野麦峠の旧街道くらい。これが大変な山道で、ハイキングと呼ぶにはちょっと厳しすぎる山歩きだったが、昔の人がものを運んで上った道を歩けたのだから、楽しい体験だ。途中で沢から引いた水のみ場があり、そこで冷たい水を飲めただけでも大感激。 このあたりの交通はほとんど車のみ。電車もないし、バスも1日3本か4本くらいらしい。だから観光客たちはほとんど自家用車でやってくるようだが、でも野麦峠なんて車で登ってしまったら、面白くもなんともない。登ってみて、そう確信させられた。ときどき熊が出ると聞いたときにはちょっと緊張したが、それでも他に誰も歩いていない山道を歩き(ほんとに行きも帰りも誰とも出会わなかった)、石に付いたコケに滑って転んだり、虫にさされながら峠を目指すというのは、悪くない。他の人と同じことをしたくないというかたくなな性格は、山に行っても出てしまいました(笑)。 午後からはペンションにこもって、ひたすら温泉と読書。4冊ほど持っていったのだが、すべてイスラーム関係の本だ。お盆後ということで、宿泊しているのはぼくだけらしく、本当に静かだ。沢の音や鳥のさえずりだけをBGMに本に集中できた。それに標高は1300メートル。すごく涼しくて、ペンションには冷房もなく、夜は布団をかぶって寝ないと寒いくらいだ。この時期にこんなにすばらしい読書環境は、東京周辺ではちょっと考えられないだろう。そんな中で、ムハンマドやハーディージャ、そしてアリーと、さまざまな人物が登場してくるイスラームの歴史物語は、本当に楽しい。3日間ですっかりイスラーム通になってしまった気分。 英気を養う旅というのも悪くない。そんなことを、47歳にしてはじめて知った至福の3日間でした。さあ、明日から、また仕事を頑張ろう。 |
8月19日(土) 夏休み2日め。昨日と同様、午前中からスポーツクラブへ。再びしっかり汗をかいてマッサージだ。土曜日の割には空いていたので、マッサージ器で読書までしてしまった。午後は自宅に戻って、再びゆっくり読書。 |
8月18日(金) 夏休み初日。午前中からスポーツクラブに行けるなんて、はじめてだ。汗をしっかりかいた後にマッサージ。昨日より肩や腰がほぐれて、ずいぶん楽になってきた。帰り道で食材を買い込んで、午後は自宅で読書。 |
8月17日(木) リスト作成日。今週のメインは『アフリカ音楽の黄金時代〜南部アフリカ篇』(ライス NWR-4006)だ。おかげさまで、西アフリカ篇とコンゴ篇がご好評いただいている独ネットワーク社の<ゴールデン・アフリック>シリーズだが、ついに新作が登場。予想した通り南部アフリカ篇で、やはりすばらしい内容に仕上がったようだ。南アフリカ音楽の古い時代の音源が入ったアルバムで、いま入手しやすいものと言えば、当社が配給させていただいている英ラスの『南アフリカ音楽の歴史』(サンビーニャ TS-23046)くらい。そういう意味で、待望のリリースということになるだろう。9月10日発売予定です。どうぞ、よろしくお願いいたします。 そうそう、ブラジルの友人エンリッキ・カゼスくんが芸歴30周年を迎えたとかで、80年代に作ったソロ・アルバム2枚を復刻することになった。こちらも9月10日には発売したいと思っています。 |
8月16日(水) 昨日はあまりに疲れを感じたのと、お墓参りをする都合もあったので、2週間ぶりに休ませてもらった。本当は解説原稿を1本書き上げようと思っていたのだが、それができなかったので、今日は予定を変更して原稿書き。まだ疲れが抜けていないのか、なかなか筆が進まなかったが、なんとか夕方までに書き上げることができた。 夕方は、上野でミーティングを1本。その後は久しぶりに浅草に繰り出して、荻原和也さんと一緒にあらまさで美味しい日本酒を楽しんだ。荻原さんは、グーグルなどで海外の珍しい通販サイトを検索するときに、アタマからではなく、一番最後から見はじめるというくらいの超マニア。みんなが簡単に見つけられるようなサイトはもちろん、誰も知らないような海外のサイトからも大量にCDを買われている。スダ・ラグナタンの珍しいアルバムをサイトだけでこれほどたくさん集められているのは、荻原さんくらいだろう。せっかくだから今日は、そんな情報を少しでも収集しようと思ってお会いしたのだが…でもお酒を飲んじゃったらダメですね、そんな話は全部忘れて、音楽雑談に終始してしまいました(笑)。でも、久しぶりに仕事を忘れて、楽しい一夜だった。 |
8月15日(火) 61回目の終戦記念日。あの人は朝早くに九段の神社にお参りしたのだそうだ。何をやっても頑固というか、いわゆる<対抗勢力>に対する敵意をむき出しにやってきた人で、しかもそれで成功してきたのだから、今回もきっとこうなるとは予想していたが…。 そんな靖国一色の一日。夜にはNHKで終戦特集番組をやっていたが、ここでも話題の中心は靖国だった。ただ、出てくるパネラーはおなじみの先生方。しかもそれぞれがこれまで言ったり書いたりしてきた意見を言うだけで、これじゃ<討論>にはならないし、結論も出ない。結局こういう番組をやればやるほど、世の中にはいろいろな意見があって、やっぱり難しい問題だ、という印象を強めることになるのだろう。そしてそんなややこしいことなんて知りたくないと思う人は、小泉さんの<心の問題>の一言に、何も考えず賛同してしまう。本当に困った構造だ。 8月15日でスゴくイヤなことがひとつ。靖国問題が語られるときに、戦争で亡くなった方々のおかげで、いまの日本の繁栄がある、なんてことを言う奴が必ず出てくるが、こんなウソッパチをよくも61回も語れたものだと呆れてしまう。誰だって、わかっていることだろう。彼らがもし戦争なんかに行かないで、その後も生きて仕事をしてくれたら、もっとずっと日本のためになったことは。結局、戦争に行って死んだ人たちは、国に騙されて、犬死させられた、というのが事実であって、彼らがあの世から戦後を見たら、すごく無念に思うのが当然だ。それをこんな風に美化してしまっては、本当にかわいそう過ぎる。 ぼくのほうは、もちろん靖国なんかに行っているヒマはない。午前中は雑用を片付けて、午後は父と祖父祖母のお墓参りだ。お盆にお参りしなければ、あの世の父たちが怒るとは思えないが、それこそ<心の問題>。ご先祖様たちを大切にする気持ちは、世界中の誰しもが持っているし、ぼくも同様だ。そんな人間の素朴な感情を政治的に利用しようという奴は、やっぱり許せない。 |
8月14日(月) 朝早く起きて解説原稿2本を脱稿。ここのところ週末には別プロジェクトの原稿を書いているので、月曜日はどうしても会社関係の解説原稿を書くことになる。本当はもう1本解説原稿を書かないといけなかったのだが、さすがに2週間休んでいないので、疲労困憊。もう、今日はこれ以上書きもの仕事はできそうもない。 そこで午後は事務所に行って雑用仕事。フランスからサンプルが大量に届いたので、持ち帰って少しチェックしてみた。まだ新作のサンプルは皆無。カタログもののサンプルを送ってくれたようだが、日本のレコード店では見かけたことがないものばかりだったものの、内容はどれもイマイチ。ちょっとガッカリだ。この仕事をはじめてから、つまらないサンプルをいったいどれくらい聞いてきたことか…。ライターをやっていたときにレコード会社からもらったサンプルの数の比じゃないような気がしてきた。 |
8月13日(日) 長い原稿をやっと1本書き終えたので、デザイナーさんに仮入稿。16日まで印刷所がお盆休みなので、それまで正式な入稿は出来ないのだが、印刷所のお盆休みが明けた直後に、今度はぼくが休みに入ってしまう。それまでには何としても片付けないと思い、ちょっと早めに入稿してしまった。 そんなわけで、夜は少し気が楽に。昨日に続いてスポーツクラブに行って、今日はじっくり時間をかけて各種のストレッチをやることにした。ずっとパソコンに向かっていると、肩はこるし、腰も痛くなるが、スポーツクラブで汗を流すと、不思議と痛みが治まる。肩こりが治るというストレッチ、本当に効いているようだ。 |
8月12日(土) 朝5時に起きて、ひたすら原稿書き。夕方5時まで、12時間頑張った。 そんな感じで夕方にはだいたい仕事が見えてきたので、ひと休みがてら、スポーツクラブで汗を流すことに。夏になっても食欲減退なんてことは絶対に起きない体質なので、いくら暑くなっても痩せることはない。せめてスポーツクラブで汗を流さないと、お腹が目立って仕方がない。これで終わった後にビールを飲まなければもっと良いことはわかっているのだが…。 夜はテレビでJリーグ観戦。オシム監督に鍛えられたせいか、浦和の代表組がやけに調子がいい。アレックスなんて、まるで別人のような動きだ。この調子だと、リーグ優勝も夢じゃなさそうだ。 |
8月11日(金) いつものように金曜日は雑務仕事。そして夕方は打ち合わせが1本。慌しく動き回ったせいで、夕方はちょっと疲れ気味。珍しく夕食は外で済ませることにした。たまに食べるお刺身は、やっぱり美味しいです。 帰宅後、メールをチェックしていたら、取引先の各社から秋の新譜情報がまとめて届いていたのでビックリ。通常、ヨーロッパでは夏に新譜はほとんどなしで、いつも秋にまとまってしまうのだが、今年もそんな感じ。9月末から10月にかけては、注目新譜がけっこう出揃いそうだ。内容はまだまだ秘密。でも、その頃には自社制作ものもいくつか出せそうだし、やっと本来のペースを取り戻せそうだ。どうぞ、ご期待ください。 |
8月10日(木) ブラジル音楽の新作のインフォをチェックしていたら、カエターノ・ヴェローゾの新作が近々発売されるというニュースが飛び込んできた。今度は新曲ばかりが入った、いわゆるまっさらの新作なのだそうだ。その記事によると、カエターノは2000年作『ノイチス・ド・ノルチ』以来、自作の新曲を入った新作アルバムを作っていない。今度の作品は、実に6年ぶり。本当に久しぶりの本格的な新作アルバムだ。 カエターノが他の人の作品ばかりを歌ってファンを驚かせたのは『粋な男(フィナ・エスタンパ)』だったが、いま思えば、その頃から他の歌手にも新作を提供することが少なくなった。曲が簡単に出来なくなったということなのだろう。だから外国曲を歌うアルバムを作ったのか、なんてイヤミなことを言いたいわけではない。カエターノだけでなく、同年輩のシコ・ブアルキだって、新曲ばかりの新作アルバムを作るのは数年に一回。しかも、スタジオ入りする日になっても、まだレパートリーの半分しか完成させることができなかったなんて話もしょっちゅうらしい。他の人に曲を依頼できる歌手と違って、シンガーソングライターは大変だということだ。そんなカエターノの新作は、9月の発売予定。どんな作品になっているか、ファンの皆さんは楽しみにしていてください。 そんな記事を読んだ後に、パティ・ペイジの全盛期の映像を集めたDVDを見た。ずいぶん前に購入したのに、なかなか見る時間が作れなかったのだが、そんな作品を見て印象的に思ったことがひとつ。パティが歌っていた50年代には、シンプルなのに心に残る旋律がたくさんあったということだ。それも、作るのに苦労したと感じさせる曲がほとんどないのが衝撃的だ。しかもパティは、そういった作品を、素直に何の作為も加えず歌っている。これまたまったくの自然体。それでこんなにすばらしいものが出来てしまうのだから、うらやましいと言うか、眩しさすら感じてしまう。 旋律だけで心を動かされることがあることは、世界のさまざまな国の音楽で体験してきた。でも、そんな心に残るまっさらの新曲に、ぼくはもうしばらく出会ったことがない。そのことをパティのDVDを見て思い出した。 |
8月9日(水)
今日も解説原稿を1本脱稿。いつもは朝早く起きて書きはじめると、午前中にはだいたい1本書き終えるのだが、今日はちょっと時間をオーヴァーして、午後2時頃になってしまった。というのも、今日書いたのは『カリブ音楽の秘境ABCアイランド』(ライス NWR-326)の解説原稿で、カリブ海の浮かぶオランダ領の島々の新しいポピュラー音楽を集めた貴重な編集盤なのだが、どうもその曲順が気に入らなくなって、自分なりに並べ替えてしまおうと思ったからだ。せっかく知られざる音楽を集めたユニークな内容なのに、古いスタイルの音楽と新しい音楽がゴッチャになって並んでいて、なんとも聞きづらい。それを少し整理させていただいた次第だ。解説で、こうあるべきだという曲順を書いておいたので、ぜひ並べ替えて聞いてみてください。今週末の発売です。 午後は会社で今週のリストのための打ち合わせ。今週のメインは、先週ご紹介した南インドのスダ・ラグナタンと同じく、フランスのアコル・クロワゼというレーベルの作品で、アビダ・パルヴィーンというパキスタンの女性歌手のアルバムになった。スダ・ラグナタンと同じ9月3日に発売する予定だ。 アビダ・パルヴィーンは、本国パキスタンでもヨーロッパでも<ヌスラットの後継者>と呼ばれているようだが、確かに迫力のある歌声は似ているものの、ぼくはヌスラットとは違った魅力を感じる。彼女を聞いていてぼくが思い出したのが、かつてよくわからないながらに聞き込んだベグム・アフタールという女性歌手だ。節回しなんて、本当にソックリ。もちろん迫力はアビダ・パルヴィーンさんのが上だろうが。 パンカジ・ウダースやジャグジット&チトラらのガザルが日本で話題になったときに、彼らの先輩女性歌手だと言われたので聞いてみたのがアフタールさんで、ぼくはCDを数枚持っている。でも、それらを買ったのは、もう10数年も前のこと。それをいまでも覚えていたなんて、当時それほど聞き込んだということだろう。 ちなみにアビダ・パルヴィーンのタイトルは『イシュク』で、これは<至上の愛>のような意味なのだそうだ。ただ、これだとジャズのエラい人のアルバムと同じタイトルになってしまうので、<神に捧げる愛>と訳そうかと思っている。もちろん愛と言っても、セックスをともなうそれではない。ヌスラットと同様、彼女もこのアルバムではスーフィー詩人たちが残した古い時代の詩を歌っているようだが、この場合はむしろそんな宗教的な意味における<愛>を意味しているのだと思う。 スーフィーについては、当社でもアルバムをいくつか出しているものの、ぼくはまだまだ勉強不足だ。そう思って、最近になって本をせっせと買い込んでいる。来週からの夏休みには、そんなイスラーム関係の本をたくさん読むことになりそうだ。 |
8月8日(火) 今日は一週間ぶりのお休みの予定だったが、昨日あまりに仕事が進まなかったので、早く起きて午前中だけ仕事をすることに。解説原稿を1本脱稿。その後、たまっていたメールの返事を全部出し終えて、やっと午後からお休みだ。掃除とか洗濯とか食料買出しに時間を使ってしまい、ゆっくり本を読む時間を取れなかったのが残念。 |
8月7日(月) 昨日の午後をモリさんの接待でつぶしてしまったので、今日は仕事を頑張らないと。そう思って早起きしたのだが、きっと昨日暑い中をさんざん歩いたせいなのだろう。どっと疲れが出て、思ったほど仕事がはかどらない。いくら気合を入れて頑張っても、一向に進まない仕事。こういうときは本当に困ったものです。 |
8月6日(日) 朝早く起きして、やるべき書き物仕事を終わらせる。そして午後はモリ・カンテさんに会いにホテル・オークラへ。マネージャーのフアンさんと3人で外に繰り出すことになった。せっかくの来日だから、これくらいのサーヴィスは仕方ない。モリさんが秋葉原で買い物をしたいと言うので、連れて行ったのだが、お店をひとつ見ただけで、もういい、とつれない表情。どうも値段がフランスとさほど変わらないので、わざわざ買う気にならなくなったようだ。 でも、その後は元気いっぱい。コレアン・バーベキューを食べたいというので連れて行ったら、お肉や魚介類を8人前も注文(食べるのは3人なのに)して、56歳とは思えない旺盛な食欲を見せてくれた。ステージでは満面の笑顔を見せるモリさんだが、あれはあくまでお客様に対してのもので、普段はいつも不機嫌かつ非常に眠たそうな顔をしている。そんな今日、唯一ご機嫌になってくれたのが、食事をしているとき。本当に食べることがお好きなようだ。そして食べはじまると機嫌が良くなり、いろいろなことをお話してくれる。今日はカンテ・ファミリーの歴史を詳しく話してくれた。さすがにグリーオ。歴史もののお話は、非常にわかりやすく、かつ面白い。たぶんに脚色されたお話なのだろうが、こんな話を本にしたら面白いのかもしれない。 |
8月5日(土) 昨晩は帰宅が遅かったので、今日は珍しく遅いお目覚め。お酒が残っているのか、どうもアタマがスッキリしない。そこでスポーツクラブで一汗かいて、仕事は午後からはじめることに。先月、運動を再開したときは、5分走ったら疲れてしまったが、いまは20分くらい走っても大丈夫。この調子でどんどん体調を上げてゆかないと(と同時に、お腹も引っ込めるようにしないと)。 そんなわけで、午後はひたすら原稿書き。 |
8月4日(金) 金曜日はいつも通り、雑用仕事が中心。会社をやっていると、どうしてもどうでもよい用事がたまってしまう。経理部とかがある大会社がうらやましい。 そして夜は、青山のブルーノートでモリ・カンテの来日公演初日を見る。これが予想した以上にすばらしい内容で、嬉しくなった。もちろん今回は、当社で配給させていただいている新作アルバムと同様、アクースティック・セット。モリはギターとコラを演奏し、他にもバラフォンやパーカッションなどの伝統楽器が入る。伝統楽器を演奏しているのは、モリも含めて全員グリーオなのだそうだ。ただしリズム・ギターと笛は白人。ギターはフランス人だが、笛を演奏するのはヴァージニア出身のアメリカ人らしい。いつもモリと一緒にやっている演奏家に習った人だそうで、その先生が急遽ツアーに参加できなくなってしまい、代わりに来日したらしい。 でも、そんな彼も含めて、演奏に乱れはない。というか、モリ自身が演奏するギターかコラと、バラフォン、パーカッションだけで、音楽の骨格の部分は完成されている。それをちょっとだけポップにしてくれているのが、コンガや笛などで、だから味付けみたいなものだ。新作のレパートリーを中心に歌って、最後に20年前の大ヒット曲「イェケ・イェケ」もやってくれたが、やっぱりこうして伝統的なスタイルで歌ったほうが、モリの音楽性の良い部分が素直に出る。そして曲が終わると、あの満面の笑顔だ。北中正和さんのサイトでは<お客様は神様感、ただよってますね>と書かれていたが、本当にそんな感じ。 そうそう、ぼくより前の方で見ていたピーター・バラカンさんも大喜び。公演の後はバラカンさんの奥様も含めて3人で楽屋を訪れることにした。 そこで嬉しかったのが、モリさんが昨年のウォーメックスで会ったことを覚えてくれたこと。メンバーには<俺のお袋のアルバムをプロデュースしたいと言っている日本人だ>と紹介してくれた。モリさんのご母堂は、今年89歳。まだまだ元気で、すばらしい歌声の持ち主らしい。また、モリさんはステージではコラを演奏するが、カンテ一族のもともとの楽器はバラフォンで、そのカンテ一族最高のバラフォン奏者は、今年で90歳になるのだとか。だから、89歳のご母堂と90歳のバラフォン名手の共演アルバムを作らなくちゃ、と、昨年モリさんと知り合ったときに盛り上がったのだ。なんでもモリさんはコナクリに新しいスタジオを作っている最中らしく、10月にはオープンできるのだとか。そこで自身の新作アルバムをさっそく録音するのだそうだが、その後くらいにはお母様のアルバムのことを真剣に考えるらしい。ひょっとして、そのときはぼくもコナクリに行かないといけないのだろうか。 そんなモリさんとの雑談を少し楽しんだ後、せっかく久しぶりに青山に来たので、引越しして新しい場所でリスタートしたエル・スール・レコードを覗いてみることに。古いビルの10階で、前とはずいぶんイメージが違う場所にあるが、中に入ってみてビックリ。以前使っていた棚もしっかり収まって、思った以上にきれいに整理されていた。ギックリ腰になって再開が遅れたという原田さんだが、いまはもう元気いっぱい。ぼくが行ったときには、エル・スール名物の飲み会が繰り広げられていました。 |
8月3日(木) 明日からモリ・カンテのブルーノート公演がスタート。そんなカンテさんご一行が今日日本に到着したのだそうだ。原稿書きの仕事をしている最中に、いきなり成田からお電話をもらって、恐縮してしまった。ぼくは明日の初日にご挨拶がてらブルーノートに行く予定だが、今回は日本でも好評だった新作『サブ』と同じくアクースティック・セットで聞かせてくれるそうだから、きっとすばらしい公演になるはずだ。ユッスー・ンドゥールも週末に公演があるので、アフリカ音楽ファンの皆さんはお忙しいかもしれないけど、ぜひモリ・カンテのほうもお忘れなく。ひょっとしてユッスーより面白いかもしれませんよ。 今日は他にも重要な用件の電話が入ることになっていたので、予定されていた午後の打ち合わせをわざわざキャンセル。ずっと電話を待っていたのだが、結局は見事にスッポかされてしまった。ブラジルあたりではこんなことは日常茶飯事だが、まさか日本にもこんなに簡単に約束をスッポかす人がいたなんてと、ちょっとビックリ。ぼくは諦めが早いほうだから、怒って抗議の電話なんかはしなかったけど…。こういうときは、イライラするより、さっさと忘れるべきなのでしょうね。 そんなこともあって、夜は仕事をする気分にならず、新しく入手したSPレコードを聞くことに。レコードの手入れをしているときが、一番気持ちが落ち着くというのも、なんか困ったものです。そういえば、エル・スール・レコードがとうとう新しい店舗で再開したのだとか。まだ珍しいものが入っているとは思えないけど、いちおう今週末にでも顔を出してみることにしよう。 |
8月2日(水)
水曜日にリストを作ることに決めたので、今日は会社でリスト原稿書き。ただ、そんな仕事をしている横で社員たちは今日入荷したブラジル盤の仕分け作業をしている。また仕事が完全に前倒しできていないようだ。来週くらいにはなんとかしないと。 さて、今週のイチオシだが、ここのところ自宅にサンプルを持ち帰って何度も聞いているスダ・ラグナタンという女性歌手のアルバムになった。南インドの歌手で、当社が配給させていただいているスブラクシュミさんの後輩と思ってもらえばいいのだろう。スダ・ラグナタンは地元ではアルバム20枚以上を発表している実力者のようだが、当社が配給するのは2004年のフランス録音。もちろんスブラクシュミさんもすばらしいが、スダ・ラグナタンの良さは、何と言っても独特の女性らしさ・可愛らしさで、ヘタくそで可愛らしい歌手はたくさんいるが、古典音楽のコブシを多用した超絶技巧をバリバリに使いながら、しかも可愛らしい人はまずいない。発売は9月3日。店頭に並んだら。ぜひ聞いてみてください。 そうそう、エル・スールのサイトを見たら、現地プレスのアルバムも入ったことがあるようだ。今度入ってきたらぜひまとめて入手したい。いや、自分でインドまで買いに行くほうがよいのかも。 コブシといえば、実はいま自宅で一番聞いているのが、『世界こぶしめぐり』と『こぶし地帯を行く』の2枚。ともに11年前に発売されたアルバムで、とっくに廃盤だが、CD棚を整理したときに引っ張り出して聞いてみたら、すごく良くて、以来約2ヶ月間、3日おきくらいに聞いている。発売されて10年たって、この2枚の良さがようやくわかってきた感じだ。 そうそう、昨日読んだ2冊のうちの1冊も、実は古い本。猪俣良樹さんという方が書かれた『日本占領下・インドネシア旅芸人の記録』(めこん)で、これも96年発売だから10年前のものだ。当時、出てすぐに買って読んだはずだが、パラパラと読み返してみたら、忘れていたことがあまりに多く、結局アタマから読み返してしまった。「ブンガワン・ソロ」のグサンさんも参加した大衆劇団ビンタン・スラバヤについて詳しく書かれた内容だが、クロンチョンに興味をお持ちのファンには興味深いはず。この本はまだ入手できるはずだ。 10年前といえば、『インドネシア音楽の本』(北沢図書出版)を書かせていただいた年で、それもあってあの前後はかなり忙しく、本やCDに費やす時間をなかな確保できなかった。当時発売されたCDや本がいまになって面白く感じるのは、そのせいかもしれない。他にもまだ、持っているだけでちゃんと読んでない本や、聞いていないCDもあるかも。夏休みに入る前に、そのあたりをじっくり整理してみるのもいいだろう。 |
8月1日(火) ぼくは今週から毎週火曜日に休ませてもらうことになった。土日は書きもの仕事や制作仕事に集中しないといけないから、ほとんど休めない。週日は週日で、会社をやっているのでなかなか休めない。そんな感じでズルズルと2週間も3週間も休みなしで働くことが多かったが、それじゃやっぱり疲れがたまってしまう。もういい年なんだから、週に一日くらいは完全休養を取らないと体が持たない。そこで、一番仕事が少ない火曜日に休ませてもらうことになった次第。 休みと言っても、普段の生活とさほど変わりがあるわけではない。洗濯して掃除をして食料を買いだして、なんてことは、仕事をする日にもやっている。ただひとつ違うのは、本をゆっくり読む時間があること。そしてスポーツクラブでゆっくり汗を流せることだ。今日は朝からCDを聞きながらひたすら読書。一日で2冊読了した。さらに夕方にはスポーツクラブで2時間かけてランニングやストレッチをみっちり。たっぷり汗をかいた。おかげで思い切りストレスを発散。やっぱりたまには体を動かさないといけない。この調子で毎週しっかり休みを取れたら、秋口あたりにはすこしスマートになっているかも、なんて思ったが、汗をかいた後のビールは美味しすぎなので、やっぱり無理ですね。 そんなわけで、これから毎週火曜日は、電話はもちろん、メールのチェックもしません。打ち合わせや飲み会もパス。この日だけはひとりでゆっくりさせてください。 ついでに休み関係の報告がひとつ。週一日の休みのほかに、この8月にはじめて夏休みというものを取ることにした。社員たちは毎年取っているのだが、ぼく自身は会社創立8年めにしてはじめて。思い出してみれば、夏休みなんて、学生時代以来だ。音楽の仕事をするようになって20年、外国に行くときはいつも仕事がらみだし、国内旅行も仕事の出張ばかり。たまにはCDショップやレコーディング・スタジオのないところに旅行をしてみたいと思っていたが、やっと実現できそうだ。会社の都合ばかりを考えていたら、いつまでたっても休みなんて取れない。そこで今年は、会社の予定を考える前に、自分で勝手に休みを決めてしまった。そんなわけで、17日の夜から22日まで、音信不通になります。ああ、楽しみだなあ。 |