8月31日(日) 今日も朝からサンプル・チェック。昨日アリオンからも新作のサンプルが来たし、他にもこれまで時間がなくて聞けなかったものがたくさんあったので、まとめてチェックしてみた。ただ、これが大変な量。聞くだけで疲れてしまった。 でも収穫はいくつかありました。そのうち、ちゃんとリリースが決まったらお知らせしましょう。 昨日書くはずだったハルナ・イショラの解説を午後から書きはじめる。ハルナ・イショラをはじめて聞いたのは、たしか1980年頃。サニー・アデがワールド・デビューを果たしたおかげで、ナイジェリア盤LPが大量入荷したのだが、その時に買ったLPのひとつが彼のものだった。これがぼくの最初のアパラ体験だ。 アフリカ音楽に詳しい人はご存知のように、アパラはフジなどと同様、ナイジェリアのイスラム系音楽。基本的にはパーカッションと歌とコーラスだけで演奏される。ナイジェリアの貧しい階層に人気のあった音楽で、当時はすごくザワザワした、いかにも下町の庶民のための音楽のように思えた。 ただ、いまになって聞くと、ハルナ・イショラのアパラには、ストリート感覚より、むしろ独特の優雅さのようなものを感じてしまう。記憶の中にあるアパラよりもユルいというか、あまりザワザワして感じられない。 今回ディストリビュートすることになったCDの英文解説によると、ナイジェリアのラゴス(レゴスと発音するらしい)は、いまでは犯罪の多いハードな街らしいが、60年代くらいまではもっと落ち着いたところだったのだそうだ。独立直後のナイジェリアには、未来への希望が溢れていた。誇りもあった。ハルナ・イショラのアパラは、そんな良き時代の優雅さというか、落ち着きのようなものを伝えているらしい。 イショラのアパラでは、バックに小さくベースの親指ピアノの音が聞こえる。こんな楽器が入っているところが、イショラの時代のアパラの魅力だ。シキル・アインデ・バリスターら後輩のフジの音楽家たちになると、もっとスピード感が加わって、いわゆるストリートっぽさが増すのだが、ベースの親指ピアノは使われなくなってしまった(その分、打楽器の数が増した)。 イショラの音楽を久しぶりに聞きなおして、ナイジェリアのイスラム系音楽の歴史の流れももう一度追いなおしてみたくなった。 |
8月30日(土) 午前中は税理士さんがやってきて、帳簿の確認。午後は、昨日送られてきたサンプル盤をチェックする。夕方からは解説原稿をまとめる予定だったが、サンプル盤があまりに多くて手間取ってしまい、結局これだけで終わってしまった。 もちろん今日はサンビーニャはお休み。でも、静かな土曜日と日曜日の方が仕事がはかどるので、いつもぼくは仕事になってしまう。ウィークデイは朝10時以降になると電話が鳴って、とても落ち着いてサンプルを聞いたり原稿書きしたりできない。他にも会社仕事でやることがいっぱいあるし…。 それにしても、この夏は本当に仕事ばかり。7月末にロンドン出張があったせいで、そのしわ寄せから旅行前も後も異常に忙しくなり、結局2ヶ月くらいまともに休んでない感じだ。昨晩も肩こりがヒドくて、なかなか寝つかれなかった。本当は温泉にでも行きたい気分だけど、そんな時間、いつになったら取れるのやら…。 |
8月29日(金) 今日はフランスのブダ(BUDA)・レーベルと、トリニダードものが入荷。いま仕分け作業をしたところだけど、ともにニュー・リリースのサンプルを同封してくれたみたいなので、後で聞くのが楽しみだ。 ちなみに、本当は両方とももう少し早く入ってくるはずだったのだが、8月は世界的に夏休みシーズン。遅れた荷物が多いのも仕方がない。ブダなんて、1ヶ月近く休んでいた。ちなみにサンビーニャは、8月は休みなし。9月に代休を取ることになっているけど、1ヶ月なんてとんでもないよね。羨ましい限りです。 そうそう、ブダから届いた荷物の多くは、<アラブの歌声>シリーズの追加注文。アスマハーン、モハメッド・アブドゥル=ワハーブ、ウム・クルスームと、ブダが出してきたアラブ歌謡の古典録音のアルバムを当社がディストリビュートしてきたわけだが、これが世間の予想に反して(?)、けっこう着実に売れている。毎月、追加注文してるくらいですからね。サンビーニャがああいうアイテム出すのは、慈善事業みたいなもんだと思われてるみたいだけど、違うんです。あまり大きなこと期待しなければ、立派に商売になるんですね、これが。 良いものを出してゆけば、必ず買ってくれる人がいる。<アラブの歌声>シリーズをやっていると、つくづくそう思います。 さあ、あと2日で8月も終わり。取引先各社も夏休みボケの時期は終わって、どんどん新作を出してくれるだろう。サンビーニャも独自企画の注目作が目白押し。これから忙しくなるぞ。 |
8月28日(木) サンビーニャは基本的に土曜日と日曜日がお休み。ただ、会社は休んでも、ぼく自身は仕事をしていることが多い。今週はトルコの他に、イギリスのスターンズやラス(WRASSE)、ワールド・ミュージック・ネットワークからも荷物が届いたので、早くお店に出せるように解説書きをしないといけないのだ。 さらに今週は、アメリカのアフリカン・ミュージック・ネットワークからも荷物が届いた。先にキング・サニー・アデのナイジェリア録音『シンクロ・シリーズ』(ライス ANR-428)を出した会社だが、今度は同じナイジェリア音楽から、アパラのハルナ・イショラとハイライフのオシタ・オサデベのLP時代の録音を復刻してくれた。 このレーベルのオーナーであるアンディ・フランクルさんは、1980年代にナイジェリアのヨルバランドに住んでいたそうで、だからナイジェリア音楽には深い思い入れがある。アメリカでアフリカ音楽を出しているレーベルは非常に少ないが、それはマーケットが小さいからだろう。アンディさんも、あるいは当社で配給しているトーマス・マプフーモの近作を出しているアニョニムス・レーベルのアル・グリーンさんも、他に仕事を持ちながら、採算など考えずにアルバムを出しているようだ。サンビーニャはこういった世界の<同志>たちとの交流を大事にしたいと思う。 ハルナ・イショラも今週末か来週中には店頭に並びます。どうぞお楽しみに。 |
8月27日(水) 今週はトルコ盤が大量に入荷。昨日今日とその出荷作業をしているので、きっと週末からお店に並ぶはずだ。 中でもイチオシなのが、ババズーラ&マッド・プロフェッサーの『サイケベリーダンス・ミュージック』(サンビーニャ TS-23087)。トルコの新しいインスト音楽に注目しているファンには絶対に楽しんでもらえそうな内容なのだ。解説は『エキゾ音楽超特急』(双葉社)を出したばかりのサラーム海上。昨日も書いたように、当社の商品のほとんどはぼく自身が解説を書いているが、今回はサラームさんにお願いしてみた。こういう音楽、得意ですからね、彼は。 ちなみに、当社商品の解説の多くをぼくが書いているのは、ぼくが原稿書きを好きだからではなく、単にお支払いできる原稿料が少ないから。自分で書くしかないんです。弱小レーベルの悲しさ…。 今週はもうひとつ、ニーニャ・デ・ロス・ペイネスの『カンテ・フラメンコの女王』(ライス SSR-432)も出る。こちらは、ぼく自身の選曲解説で、自社プレス。フラメンコ史上最高の女性歌手ニーニャ・デ・ロス・ペイネスが残した貴重音源を、いつも通りクロノジカルにまとめてみた。すごく珍しい音源も入ってますよ。 こちらも週末には店頭に並ぶはず。もしも並んでいなかったら、お店の人に催促してくださいね。 |
8月26日(火) オフィス・サンビーニャのホームページをやっとアップすることができた。準備をはじめたのが今年のはじめ頃。でも、日常業務をこなしながらの作業だから、なかなか進まない。結局8ヶ月もかかってしまった。 田中勝則 |