大ヒット作『メスク・エリル』から5年 豪華ゲストを交えた久々の新作を発表!
アルジェリア出身の女性シンガー・ソングライター、スアド・マシ。2005年にリリースされたサード・アルバム『メスク・エリル』(ライス
WRR-588)が大きなヒットを記録、アラブ世界から登場した若き才能に世界中が大きく注目しました。ただ彼女はその後2007年にライヴ盤『アクースティック・ライヴ』(ライス
WRR-805)をリリースするも、オリジナル作品に関してはしばらく音沙汰がありませんでしたが、5年の歳月を経て新録音作をようやく発表してくれました。
スアド・マシは1972年にアルジェリアの首都アルジェ近郊で生まれました。家族全員音楽家という恵まれた環境で育った彼女は子供の頃から音楽に親しみ、いつしか自らも音楽家を目指すようになりました。彼女はアラブ古典音楽を学ぶ傍ら、西洋のクラシック音楽やフラメンコなどにも興味を持つなど、幅広い音楽性を若い頃に身に付けました。そして大人になった彼女はロックやフォーク、アルジェリア歌謡シャアビなどをブレンドした音楽性を持つバンドを結成。紆余曲折の後2001年にアルバム『語り部』(ライス
WRR-318)でソロ・デビューを果たしました。その後2003年にはセカンド作『デブ』(ライス
WRR-763)を発表し、ここ日本でも広く知られるようになりました。
スアド・マシの音楽性の特徴はなんといってもそのフォーキーなサウンドにあります。「アルジェリアのジョーン・バエズ」、もしくは「アルジェリアのトレイシー・チャップマン」などと呼ばれるのもそういった音楽性が影響しています。またシャアビを基調としつつも彼女らしい個性的なフィーリングを感じさせる点が、その人気の秘訣。さらに彼女はアルジェリアでも虐げられた歴史を持つカビール人の血筋ということもあり、そういった意味では1998年に暗殺されたアルジェリア人男性歌手ルネース・マトゥーブとも共通する部分を持っていると言えるでしょう。
そんな彼女の4作目となる本作では、これまでの路線をさらに強めたアラビックでフォーキーなサウンドを追求。曲作りには社会問題を大いに取り入れるなど、プロテスト・ソングとしての方向性をさらに突き進みました。またゲストにはデュオウードやスピード・キャラヴァンなどで活躍するウード奏者メーディ・ハダブが参加。テクニカルなウード演奏でアラブ色を際立たせてくれます。さらに最大の注目はデュエット・ヴォーカリストとしてポール・ウェラーとフランシス・カブレルが参加している点。それぞれ英・仏を代表するヴェテラン男性歌手の二人ですが、共に彼女のファンということもあり、このデュエットが実現した模様です。
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