混迷するパレスティナからジプシー音楽の影響も感じさせるリリカルな新世代インストルメンタリストが登場!
ライス・レコードからは、アラブ人とユダヤ人が共存していた時代を象徴するアラブ・アンダルース音楽を多く紹介し、その中には混乱のさなかにあるイスラエルの楽団も含まれ、多くの驚きと評価をいただいてきました。また、3兄弟でウードを演奏する“ル・トリオ・ジュブラン”は、情報が少ないパレスティナ音楽のいまを伝え、さまざまな方面からの反響をいただきました。そして今回、またパレスティナの音楽の現在を教えてくれる貴重なアーティストを紹介できることとなりました。
ラムジ・アブレドワンは1979年、ベツレへム生まれ。しかし幼少のころは戦火を避けるためにベツレヘムから離れた町ラマッラーの難民キャンプで過ごすことになります。そこで1987年、彼が8歳だったときに悲劇が襲います。イスラエルの軍事作戦によってラムジの一番の親友が死亡。その怒りに燃えた幼いラムジは、石を手にして同年に起こった第一次インティファーダ(民衆蜂起)に参加したのです。その時の写真(投石しようとしている)が上に掲載されているものですが、この写真はインティファーダの象徴としてポスターにもなったそうです。
しかしそんな彼が17歳のとき、たまたま誘われて行ったワークショップで音楽に開眼。そこでヴィオラを演奏するようになり、すぐに才能を開花させた彼はフランスに音楽留学し、優秀な成績をおさめて卒業しました。その後、自身の経験を昇華するように西洋と中東の音楽を融合させる楽団を結成し、ヨーロッパを中心に高い評価を獲得。また、著明指揮者のバレンボイムと、こちらも有名な思想家サイードが設立したウェスト=イースタン・ディヴァン管弦楽団にも在籍。この楽団はイスラエルのユダヤ人と、それと対抗するアラブ人で構成され、世界的にも高い評価を受けています。
そのようなキャリアを積んできたラムジが初めてソロ名義でリリースしたアルバムがこちら。ここで彼が演奏しているのはバルカン半島やアイルランドで使用される弦楽器ブズーキのみ。伴奏はアコーディオン、クラリネット、ウード、パーカッションというシンプルでも一癖ある編成でインストルメンタル音楽を聴かせます。これがまたアラブ音楽とは思えない軽快さで、ときにジプシー音楽やクレツマー、また南米あたりのストリングス・バンドまでを想起させるのですからユニーク。でもメロディはやはりアラブ風という不思議なテイストです。しかしそのサウンドの奥に潜む、平和への強い思いを感じずにはいられないリリカルさが胸を打ちます。ブラジルのショーロやイタリアのマンドリン・バンド・ファンもぜひ!
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トラックリスト
1. Rahil
2. Sans Adresse
3. Sodfa
4. Bahar
5. Raja
6. Tahrir
7. Samai Farah Faza
8. Bordeaux
9. Andalus
10. Gitans En Orient