“エジプトのライオン”ハキム ファンキーなエジプシャン・シャアビが炸裂!
今のエジプトを代表する男性歌手と言えば、先週のリストで新作をご紹介した“エジプシャン・ポップスの貴公子”アムル・ディアーブと、この人“シャアビの王者”ハキムでしょう。アムルが正義のヒーローなら、ハキムはちょっと悪な兄貴といった感じ。そして泥臭さ/大衆性をより強く感じさせるのは、もちろんこのハキムと言えるでしょう。そのハキムが久々に新作をリリースしてくれました。
1962年生まれのハキムは“エジプトのライオン”とも呼ばれ、エジプトだけでなく汎アラブ世界で現在大人気の男性歌手。欧米デビューも果たしていて、日本でもビーンズ・レコードから以前にベスト盤がリリースされたほか、弊社からも4年ほど前に『コロ・ヨロス』(TS-6029)というアルバムを解説付きシリーズでご紹介し、ファンの間で話題となりました。
そんなハキムが歌うのは、“シャアビ”と呼ばれるエジプト産の大衆ダンス歌謡音楽。アルジェリアなどで親しまれている歌謡音楽と同名ですが、音楽そのものは異なる性質を持っています。いわゆるダンスを目的にしたファンキーで下世話な音楽がエジプトのシャアビで、例えて言うならコロンビアのクンビアやインドネシアのダンドゥット、トルコのアラベスクなどと同系統の、ちょっとヤバい香りのするストリートな音楽と言えるかもしれません。そんないかがわしさこそがこの音楽の最大の魅力であり、逞しさの源となっているのです。
プログラミングされたリズム・トラックと、ダルブッカを中心としたエジプトの伝統打楽器とが作り出す強烈なアラビック・グルーヴをバックに、ハキムは甲高くも線の太い歌声をタップリと披露してくれます。そしてそんなサウンドはベリーダンスにもピッタリ合うと、日本のベリーダンサーたちからも秘かに注目されている模様
! つまりハキムの歌うエジプシャン・シャアビは、アラブ音楽が持つ淫靡なテイストを多分に持ち合わせているのです。
ちょっと濃すぎて初心者には刺激が強すぎるかも!? 心して聞いて欲しいディープなアラビック・ハードコア・ダンス歌謡です!
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(youtube)