ア−ティスト

ヴァリアス

タイトル
バグダッドの恋歌 1925−1929
オ−ダ−番号
INR-3021
定価(税込
3,150円
         

コブシ好きは必聴! 1920年代のバグダッドに花開いた恋の歌の数々!!


 なんともスゴいアルバムが登場することになりました。
 これまで誰も聞いたことがなかった1920年代のイラク音楽。そんな貴重な音源がCD1枚まるまる楽しめてしまうのですから、すごい時代になったものです。
 イラクの首都バグダッドと言えば、イスラーム帝国の勢力がもっとも大きかった時代の中心地。8世紀の時点で100万都市だったそうですから、都市としての歴史の深さが違います。最近話題になっているアラブ・アンダルース音楽の始祖と呼ばれるジルヤーブにしても、もともとはこのバグダッドの出身。早くからアラブ音楽の中心地として栄えたのがバグダッドでした。
 そんなバグダッドに優れた音楽伝統が受け継がれていないわけがありません。特に20世紀の初頭は、激動の中ですばらしい音楽が生まれていたことを知らせてくれるのが、このアルバムです。
 20世紀初頭のアラブ音楽と言っても、おごそかで伝統的古典音楽ばかりが収録されていると思ってはいけません。それどころか、どの曲もナマナマしい感覚がいっぱいの熱いストリート・エンタティンメント! というか、これはもうほとんどポピュラー音楽です。
 盲目のクルド人ヴァイオリン奏者がジャケットに映し出されていますが、アルバムは彼の艶やかなソロでスタート。インストものだけではなく、ウードやカヌーンなどを伴奏に、男性歌手や女性歌手たちがコブシをいっぱいきかせた歌声も数多く収録しています。特に、思った以上に女性歌手が多く収録され、妖艶な歌声を聞かせてくれているのが魅力。当時のイスラーム世界で女性の芸能人は売春婦と同じ扱いだったはずですが(いまでもアラブ世界の女性歌手の大多数はレバノンのキリスト教徒)、ひょっとしたらここで歌っているのはイスラームではなく、ユダヤ教徒の女性たちなのかもしれません。
 そう、これはまだアラブ人とクルド人とユダヤ人が共存していた時代のバグダッドの音楽、ということになります。そういう意味で、ライスから出た『マグレブ音楽紀行 第1集〜アラブ・アンダルース音楽歴史物語』(ライス ARSR-4302)と姉妹品と言えるかも。
 古い時代の音源ですので、誰にもお勧めできる内容ではありません。でも、コブシ系音楽やアラブ〜アジアの音楽に興味をお持ちの方には、強力にお勧めいたします。
 間違いありません。

戻る