11月30日(火)

 毎月、月末最終日は経理の日。今日も午前中は支払いに、午後は帳簿の整理に追われた。ただ、昨日少し準備しておいたので、午後は早めに終了。ここのところ休んでいないので、夕方は家でゆっくり過ごさせてもらうことにした。と言っても、結局は新着サンプルをあれこれ試聴して終わってしまったのだけど…。

 会社のコンピュータが不調で、最近は原稿を自宅で書いている。そうなると自宅が仕事部屋みたいになってしまい、仕事のための資料が並んでしまって、まったくくつろげない。ゆっくり休もうと思っても、手元にある試聴サンプルを聞いてしまうのはそのせいだ。レンタルしていた自宅のCDラックを返却してしまってからは、CDはダンボールの中で、探すのも一苦労。リラックスしたいときに聞きたい1枚が見つからないのも、新作サンプルばかりを聞いてしまう理由のひとつだ。ここはひとつ気合を入れて、年内にはCDラックをちゃんと買って、整理することにしないと…。

 夜は英スターンズから出たばかりのベンベヤ・ジャズの2枚組リイシューをじっくり聞いた。これは当社で配給する予定がないので、仕事抜きに楽しめる。ブックレットもすばらしいし、音も良くなった。LPやCDで聞けなかった珍しいテイクも入っているらしい。アフリカ音楽のリイシューものでこれほど手がかかった作品も珍しいだろう。しばらく時間をかけてじっくり楽しみたい2枚組だ。

 

11月29日(月)

 今日も早起き。5時には起きて、解説原稿を1本仕上げて事務所に向かった。事務所でもう1本解説を書いて、明日の支払いの準備。その後は自宅に戻って、昨日の続きでサンプルをチェックしたり、メールを打ったり…。

 来月の当社は、年末らしく、重要アイテムのリリースが多くなりそうだ。ライスからは、まず当社の独占リイシューでブラジルのラエルシオ・ジ・フレイタスが12日。そして19日にはマレイシアの歌姫シティ・ヌールハリザの新作ライヴが登場する(2枚組なのに定価2500円!!)。さらに年末の26日には、トルコのダブルムーンの看板アーティスト、ブルハン・オチャルの新作という感じ。ほかにもサンビーニャ・シリーズにも面白そうなものが揃いそうだし、ブラジルからも注目の新作が入りそう。そうそう、イヴァン・リンスの新作は今週あたりに入荷することになっているし…。
 ただ、ぼくが解説などを担当する作品はひとつもないので、12月はじっくりと来年のはじめに出す作品を作ってゆこうと思っている。このあたりの通好みのアルバムは来年の1月から3月あたりに続けて出してゆく予定。

 疲れがたまっているので、どこかで一息ついて温泉にでも、なんて考えていたけど、どうもそんな余裕は当分なさそうです。

 

11月28日(日)

 朝6時に起きて、ひたすらサンプルのチェックとメール打ち。先週は休みが取れなかったので今日あたり休みたかったが、この仕事を終わらせないと、どうにも先に進めない。結局、夜8時まで、14時間もかかってしまった。

 

11月27日(土)

 朝8時に会社に。10時から税理士さんと打ち合わせ。午後には自宅に戻って、ひたすらサンプル・チェック。ウォーメックス以後もサンプルは続々と送られてくるが、聞くよりも新しく来るもののほうが多くて、全然終わらない。それに、面白いものはあるにはあるんだけど、飛びぬけて優れたものがないのが、いまのワールド状況。いや、ワールドに限らず、どのジャンルも同じような感じかな。だから、サンプル・チェックもいまいち張り合いがない。

 今週はフランスのレコード会社のコンファレンスがあったのだが、そのうちの何社かがぼくと会いたいというので、夕方から都内で彼らと打ち合わせ。そのうちの1社がティナリウェンの制作会社の知り合いだとかで、持ってきた作品も面白そうだったので、夜は彼と日本酒を飲むことに。偶然、上野近くで日本酒の美味しいお店を見つけたので、彼は大喜び。ふたりで6合ほど飲んで、ほろ酔い加減で10時に散会。

 

11月26日(金)

 いつもとおり、金曜日は残務処理の日。朝からひたすらメールの返事を書いて、お昼に都内で打ち合わせをひとつ。午後遅い時間から夕方にかけては事務所に戻って、ひたすら帳簿の整理。お金の計算をはじめるとアタマが痛くなる。単に会計仕事が嫌いなだけじゃなくて、いまの会社の経理状況もあるからだが…。

 

11月25日(木)

 昨日の日記、いま読み返したら、かなり困ったこと書いている。いろいろあって、きっと疲れているのでしょう。でも、消したりするのもセコいから、このままにしておこう。こんなことを思うときもあるということです。
 でも、プロデューサーの言うことを信じちゃいけないというのは、本当かも。いや、一般論として。

 お詫びがひとつ。今月28日にライスから発売する予定だったアマリア・ロドリゲスの2枚組アルバムは、ひとまず発売中止にさせてもらった。事情はいろいろあって、ここで説明できることばかりではないのだが、当社ですでに発売しているアマリアの『ファドの貴婦人』との曲目の重複があるアルバムを同じライスから出したらお客さまを混乱させてしまう、というのが一番大きい理由だ。もちろん、1945年の初録音全16曲をすべて収録するなど、貴重な内容であることは間違いない。『貴婦人』を気に入っていただけた方には楽しんでいただける内容だ。だからライスではなく、サンビーニャの解説付きシリーズとして配給することにした。来週あたりにはお店に並ぶことになると思う。

 今日も原稿書きと海外とのメールのやりとりで一日が終わってしまった。年末はどの国でもプレス工場が忙しいのか、外国の取り引き先から発売予定の変更の知らせが増えているのが困りもの。かと思ったら、予定に入っていなかった強力新譜がいきなり登場していたりして、ますます混乱させられる。少し予定を組みなおさないといけないかもしれない。

 

11月24日(水)

 今日も朝から解説原稿書き。ただ、昼間に打ち合わせがあったので、仕事に集中できない消化不良の一日だった。夕方は会社に行って、明日のリストの打ち合わせ。最近はぼくが決めるのはリスト・アップするアルバムのタイトルだけで、あとは出来るだけ社員のみんなに作ってもらうことにしているのだが、今週もそんな形でリストを作れそうだ。

 夕方、帰宅して解説原稿を書きながら思ったことがひとつ。ぼくがあまり多くの解説を書くというのも、良くないのかな、ということだ。
 当社のような弱小会社は、解説のような仕事を外注する力はもちろんない。できるだけ社内でまかなわないといけないのは言うまでもなく、だからぼく自身が書くものがどうしても増えてしまっているのだが、でも一方で、ぼくのように昔からワールド・ミュージックを聞いてきた人が書いた原稿というのは、文章の内容以上の影響力も持ってしまう。それがどうにもまどろっこしく思えてきたのだ。
 例えばそれが感じられるのが、雑誌などに載っている当社のアルバムのレビューを読ませていただいたときだ。ぼくがプロデュースしたり、あるいは力を込めて解説を書いているアルバムのレビューを呼んでいると、ぼくが解説に書いたのと同じような聞き方をしようとするか、あるいは(その解説が嫌いで)反発してわざと違う聞き方をしようとするか、どちらの場合が多い。そんな聞き方もできるのかと、レビューを読んで驚かされることは、ほとんどない。どっちに転んでも、ぼくが書く解説にかなり左右されてしまっていることを感じてしまう。
 ぼくより先輩の方々は、時には(?)ぼくだってイイカゲンなことを書くことがあることを知っているから、そんな読み方をする人はいない。でも、ぼくより若い人は、長く原稿を書いているぼくのような人間の原稿に対して、どこかで意識する気持ちが働いてしまうのだろう。

 ここだけの話だけど、解説原稿なんてのは、ぼくにとってひとつのエンタテインメントみたいなもので、あまり厳密に読まれても困ることが多い。例えばぼくがプロデュースしたアルバムについて書くとき、実はアルバムを作りはじめたときにはありもしなかった構成が偶然出来上がってしまったのに、それは最初から持っていたコンセプトだ、なんて書き方をすることがある。そんなの大ウソだと知っているのは、当社の社員と参加ミュージシャンくらいだ。無責任な話だが、解説なんてものはあくまでオマケであって、CDを聞いてから読めばよいと思っているから、オマケとしてならそんな話も面白いと思っちゃうのだ。
 だから、そんな原稿を大マジメに読んで、それについて賞賛されたり批判されたりすると、すごく困った気分になってしまう。だいたい、レコード作りなんてのは、けっこうイイカゲンなもので、それほどコンセプトにこだわって作っている人なんて、いない。ぼくが作ったアルバムがコンセプチュアルに感じられるとしたら、それはぼくが解説でそう書いているからだ。ミュージシャンのインタビュー記事を完全には信じられないのと一緒で、プロデューサーが書く解説なんかもすべてを信じてもらっては困るのです。

 自分で解説を書くのは考えものだとか書いておきながらも、ぼくが当社のアルバム解説を書かなきゃいけない日々は、当社がよほど儲からない限り続く。これまたここだけの話だが、いまは昔と違って、解説もついていないハダカの輸入盤は(少なくともワールドに関しては)全然売れない。だから、お店もあまり注文してくれなくなってしまっている。当社が解説付きのアルバムをたくさん出しているのは、そのせいだ。そうじゃないと、いくら内容の良いアルバムでも、誰も買ってくれないのだ。
 ぼくがワールド・ミュージックを聞きはじめたころは、このジャンルの日本盤は本当に少なくて、ほとんど輸入盤ばかりを買っていた。それが当たり前のことだと思っていた。でも、解説なんかついてなかったからこそだろう、必死になっていろいろな文献を漁った。ぼくがライスで出している復刻シリーズで、誰も書かなかったような詳しい解説を書けるのは、その頃に集めた資料のおかげだ。
 そんな自分の経験から考えあわせると、丁寧で詳しい解説なんてものは、本質的に何の役にも立っていないんじゃないかと思えてくるから、ますます困ってしまう。音楽は、情報が少なくて良くわからないくらいの状態のほうが、ずっと面白い。情報が全部公開されてしまったら、それで納得させられた気分になってしまう。ライスで出している復刻シリーズなんて、お買い求めいただいている方々にとって、結局そんなものなのだろうか…。

 こんなことを考えてしまうのは、疲れている証拠だ。今日のぼくはちょっとおかしいのかもしれない。それにしても、仕事が忙しいだけでなく、何もかもがうまく回らなかった2004年。少なくともワールド・ミュージックにとってはヒドい状況が続いた1年だった。2005年はもっと良い年であって欲しいです。

 

11月23日(火)

 勤労感謝の日くらいは休みたい気分だったが、仕事がたまっていてとても休めない。今日も朝早く起きて原稿書き。在仏コロンビア人歌手ジューリ・ブエナベントゥーラの解説をなんとか仕上げ、午後は事務所で雑用を少しやっつけた。ただ、天気も良かったので、事務所への往復がちょうど散歩代わり。気持ち良い汗を流すことができた。
 午後はJリーグの試合をテレビで見た後に早めの夕食。そして夜はポルトガルから送られてきたジョアナ・アメンドエイラのDVDをチェック。このDVDは市販されるためのものではなく、あくまでプロモート用。だから映像は粗雑だが、それでも彼女がすばらしいライヴ・シンガーであることは伝わってきた。今週はこのDVDをプロモーターさんたちに配って、彼女の来日公演をけしかけようという算段だが、さて上手くゆくかどうか。

 

11月22日(月)

 いつもとおり、朝5時に起きて解説原稿書き。最近気になっているアンゴーラ音楽最前線キンタール・ド・センバのライヴ・アルバムの解説をなんとか書き上げた。
 アンゴーラ音楽の最近の音源なんて、これまで全然入って来なかったが、ジョアナ・アメンドエイラらのアルバムを出しているポルトガルのCNMから送られてきたサンプルでずいぶん状況がわかってきた。このキンタール・ド・センバもそのうちの1枚だ。なんでも、最近はリスボンでもアンゴーラ人コミュニティが巨大化したらしく、そこから新進アーティストが出現しているのだとか。このキンタール・ド・センバというグループも、そんなポルトガル在住のアンゴーラ人たちが中心になっているらしい。
 実はファドという音楽が生まれた18世紀から19世紀にかけてもリスボンにはアフリカ人たちがたくさん住んでいた。そんな彼らのダンス音楽がファドのルーツのひとつになったという説すらある。リスボンにアフリカ人たちが増えたらファドがリヴァイヴァルした、なんて言ったら、話が出来すぎている気もしないでないが、かといって二つの現象はまったく無関係とも思えない。今度ポルトガルに行く機会があったら、リスボンのアンゴーラ人コミュニティもぜひ訪れてみることにしよう。

 

11月21日(日)

 昨晩、浦和はすごい盛り上がり。ぼくは久しぶりにハジケて、とことん飲んでしまった。なので、今朝起きたのはお昼近く。アタマがガンガンする。こんな朝は久しぶりだ。
 それでも午後から原稿書きの準備やサンプルのチェックなど。二日酔いのアタマではなかなか作業が進まないけど、頑張るしかない。結局、終わったのは夜の10時。明日はまた早いので、もう寝る時間になってしまった。
 なんとも短い日曜日。

 

11月20日(土)

 祝浦和レッズ優勝!!

 土曜日は唯一の完全休養日。タイミング良くレッズの優勝が決まったので、飲みに行く理由が出来てしまった。今晩は久しぶりにハジケてしまいそうです。

 

11月19日(金)

 金曜日はいつも雑務整理に負われる。経理など、後回しにしてしまった仕事をまとめて処理するのが金曜日なわけだけど、後回しになるのはその仕事があまり好きでないからであって、そんな仕事ばかりがたまっている金曜日は本当に憂鬱だ。

 午後からミーティングが2本。夜はプロマックスの早川さんと新宿で韓国料理を食べながらゆっくり打ち合わせを。ここでほぼ決まったことがひとつ。まだ名前を明かすわけにはゆかないけど、当社で配給しているアーティスト(またはグループ)のひとりが、来年あたり、来日公演をすることになりそう。アフリカ音楽ファンの皆さん、お楽しみに、とだけ書いておこう。

 

11月18日(木)

 朝早く起きてリストの準備。今週は内容の濃いアルバムが多くて、充実したリストになった。なんといってもすばらしいのが、トルコのダブルムーンの新作。同レーベルの看板アーティストであるブルハン・オチャルがまたまたユニークな仕事をやってくれた。詳しくは<ライス>の新作予定を見てもらいたいけど、これで年末の当社の新作リリースもぐっと締まった感じだ。

 午後から打ち合わせで外出。帰宅は夜遅く。最近早起きが続いているので、夜9時を過ぎると眠たくなる。

 

11月17日(水)

 朝は病院で定期健診。先に2度も倒れて以来、本当はもっとマメに検査しなければいけないと医者から言われていたのを、今朝になって思い出した。ちょうど少し風邪気味だし、ついでにそちらの検査もしてもらおうと病院に行った次第。ただ、そこでもらった薬が妙に効いて、帰宅したら眠たくて仕方がない。普段薬を飲みなれていない人は、ちょっとの量でも効いてしまうのだ。結局、ご飯の後は少しお昼寝。2時半に目が覚めて、慌ててムニール・バシールの解説原稿に取り掛かった。なんとか夕方には書き上げることができたが、こういう綱渡りの仕事はよくないと反省。

 イギリスの某有名レーベルから取り引きの申し込みがあってビックリ。『fルーツ』最新号にぼくの紹介記事が出てから、当社はイギリスですっかり有名になってしまったみたいだ。

 

11月16日(火)

 違った仕事を一度にこなそうと思うと、どうしても集中できない。そこで今週からは、一日にひとつの仕事だけを、出来るだけ場所を移動せずにやることに決めた。今日はひたすら解説原稿書きの一日。そう決めたからにはたくさん書かないといけない。朝5時に起きて、午後5時過ぎまで頑張る。集中できたおかげで、3本脱稿。

 夕方は簡単な打ち合わせの後、久しぶりに銀座のダルトンへ。マスターが作る世界最高のマティーニをゆっくり楽しむ。仕事がはかどった後のお酒は本当に美味しい。

 

11月15日(月)

 ウォーメックス関係の残務仕事に集中した一日。自宅を一歩も出ず、会社の仕事は一切せず、ただひたすらサンプルを聞き、インターネットをチェック。取り引き先にメールを打った。12時間、コンピュータの前で仕事をしたせいで、目が疲れて仕方がない。

 

11月14日(日)

 今日も6時に起床。昨日の続きでウォーメックス関係の残務処理。サンプルを聞きながら、あちこちにメールを打つ。本当は書かないといけない原稿など、他の会社仕事も多いのだが、こちらが終わらないとどうも他の仕事をする気になれない。ただ、サンプルのチェックというのは、それほどスピーディーにできるわけではない。面白いものがあると、つい聞き込んでしまったりして、どんどん時間がたってしまう。
 それに今日は、3年前に亡くなった父の命日。午後からは実家に行って、母と一緒にお墓参りをしないといけない。そこで午後2時には仕事を切り上げ、松戸に向かった。しかし、あれからもう3年。月日が経つのは早いものだ。

 

11月13日(土)

 午前5時に起床。6時には事務所に行って帳簿整理。10時から税理士さんが来るので、それまでに終わらせないといけないから、大慌てだ。無事お昼過ぎに税理士さんとの打ち合わせが終わって、午後は帰宅。たっぷりたまっていたメールの返信作業に集中した。ウォーメックス関係の残務処理は、毎日少しずつやっているのだが、なかなか進まない。今日も夜遅くまで頑張ったが、まだまだ半分くらいのサンプルを聞いただけだ。明日で少しでも進めば良いのだが。

 

11月12日(金)

 今度の週末は仕事がたまっているのでとても休めそうもない。そこで今日を完全休養日に。いつもの休みと同様、掃除と洗濯、食料買出し、そして読書。1日だけの休みでは大したことができない。

 

11月11日(木)

 リスト作成日。ただし、大方の部分は昨日までに空いている時間に作っておいたので、今日は午前中に少し手直ししただけで終了してしまった。そこで午後は帳簿の整理など、経理仕事に。夕方は打ち合わせが2件。場所が上野だったので、帰りに<あらまさ>で一杯。

 

11月10日(水)

 昨日ほぼ書き上げた解説原稿を少し手直しして脱稿。昨日やるつもりだった経理仕事を片付けてから事務所へ。さらに夕方は打ち合わせが2本続く。どれもたいした仕事ではないのだが、移動が多かったせいで、なんとなく慌しい一日だ。電車に乗るときは本を持ってゆくのだが、長く乗るわけではないので、なかなか読み進まない。一週間くらい休みを取って、じっくり本を読める日がきたらと、いつも思う。

 夜は久しぶりに実家に行って母親と食事。母は犬を飼っていて、名前は<イチロー>というのだが、そのイチローくんがぼくにすっかりなついていて、家に入るなり飛びついてきた。無視するのもかわいそうなので遊んであげたが、これが意外と楽しい。疲れが吹き飛んだ気分だ。

 夜遅くに帰宅。明日のリストのためのアイテムを揃えてから就寝。

 

11月9日(火)

 一日中自宅にこもって解説原稿書き。朝早くから頑張ったのに、ほぼ完成したのはやっと夜の10時。久しぶりに手間がかかってしまった。気持ちが高ぶっているせいか、すぐには眠れず、ちょっとアルコールを飲みながらアマリア・ロドリゲスの初期録音集2枚組(近々ライスで発売)を楽しむことに。

 

11月8日(月)

 朝早く起きて経理仕事を終わらせて銀行へ。午後は自宅に戻って、サンプル・チェックと取り引き先へのメール送信。夕方からは打ち合わせでまた外出と、なんとも慌しい一日だった。帰宅したのは、久しぶりに夜の12時過ぎ。人ごみを歩いたせいか、疲れがドッと出た。
 夜のBGMはブラジルの親友エンリッキ・カゼスの新作『ショーロ・アラウンド・ザ・ワールド』(ライス OSR-707)。自分でプロデュースしたアルバムで、録音からミックス、マスタリングと何度も聞いているはずなのに、意外なくらい飽きない。疲れたときには特に効果的。自然にリラックスできる1枚だ。

 

11月7日(日)

 日曜日だけど、今日は朝から仕事。月曜日に外出しないといけない用事が多いので、今日は自宅で解説原稿書きやサンプルのチェックに没頭した。ただ、今日だけでもずいぶんたくさんのサンプルを聞いたものの、それでもウォーメックスでもらったうちの2割ほど。全部聞き終えるにはまだかなり時間がかかりそうだ。
 夜は久しぶりに浅草に出て<あらまさ>で夕食。

 

11月6日(土)

 やっと時差ぼけが治ってきた。朝はしっかり早起き。日が昇ってきたら、すごく良い天気。週に1度は完全休養日がこうだとすごく気持ちが良い。
 さっそく布団を干したり、洗濯したり、掃除をしたり。午後には久しぶりに食材をあれこれ買い込んで、やっと自宅での生活のパターンに戻ってきた感じだ。また今月か来月に海外出張がありそうだが、日本にいる間はできるだけ自宅で過ごせる時間を増やしたい。聞きたいレコードや読みたい本もたくさんあるし…。
 夕方からは買ってきた生ハムをつまみに、ワインを少し。ウォーメックスでもらったサンプル盤を聞きながら、ドイツから帰ってくる機内で半分読んだ『評伝古賀政夫』を読了。

 

11月5日(金)

 朝からひたすらウォーメックスの残務仕事。もらったCDを聞いたり、取り引き先にメールで確認したり…。気がついたら、もう夕方になってしまった。昨日あたりから、ウォーメックスで出会った新しい会社からもメールがたくさん届きはじめている。それらにも早く返事を送らないといけない。そのうちどこと新たに仕事をはじめるかはまだわからないが、いずれにしてもこれから2週間くらいの間に決めないといけないだろう。まだ山と積まれているサンプル盤の中から面白い音楽を発見できると良いのだが…。また忙しくなりそうだ。

 

11月4日(木)

 昨晩は電車のあるうちに帰宅したのだが、なかなか眠たくならず、やっと朝5時に就寝。それでも8時半には起きて、会社の経理仕事を進める。今日はリスト作成日だが、そちらは社員のみんなにお任せすることに。最近、ぼくが海外に出ることが多いので、ぼくがいなくても社員たちだけでリストができるようになってきた。
 午後には事務所に行って、彼らが作ったリストを少しチェックしながら、経理関係の仕事の続き。夕方には自宅に戻って、ウォーメックスでもらったサンプルCDを聞きはじめる。

 

11月3日(水)

 昨日は早く寝すぎたのか、午前2時に目が覚めてしまった。少し本を読んでまた寝ようと思ったけど、やっぱり眠れない。今回も時差ぼけだ。若い頃は一晩寝ればすぐに対応できたのに、いまでは1日や2日は必ずこういう状態になってしまう。
 午前中にもう一度寝て、夕方には山内雄喜さんのアルバム『ハワイアン・マスターピーセズ』(ライス OSR-706)の打ち上げパーティに出席。山内さんの家の近くのお好み焼き屋さんで、アルバムに参加してくれたメンバーたちと楽しく飲んだ。
 山内さんとは、年内にもう一枚のアルバムの録音をスタートさせる予定。こちらは夏前には出すつもりだ。内容はもちろん、まだまだ社外秘。そのうちレコーディングが進んできたら、このページで紹介することにしよう。

 

11月2日(火)

 午前中に帰国。飛行機が満員でゆっくり眠れなかったせいで、疲労困憊だ。それでも支払いだけは済ませて、自宅に直行。荷を解いて、洗濯だけすませて、とにかく爆睡。

 

11月1日(月)

 昨日早く寝てしまったせいで、今日は朝早く目が覚めた。6時には朝食をとって、ハロウィン明けのケルンの街を散歩する。今日もドイツは祭日。街にはほとんど人が歩いていない。路面電車の駅の近くに少し人がいるだけだ。まだパーティ帰りと思われる若者たちがたむろしているわきで清掃の仕事をしている老人やトルコやアフリカから来たと思われる人たち。さらにその横でゲイのカップルが熱烈なキスをしている。ケルンの朝はなかなかに多彩な顔を持っている。

 朝9時にホテルを出発。ケルン・ボン空港に向かう。ここで空港に連れて行ってくれたタクシーの運転手さんは、なんとイラク人。ドイツには本当にさまざまな国からたくさんの人たちがやってきているようだ。
 ちょうど日本人がイラクの武装組織に殺されたニュースが新聞に出た日だったせいで、彼はぼくが日本人だと知り、非常に困った顔をしながら、まずお詫びの言葉を口にした。ああいうことがあると、日本人のすべてがイラク人を嫌いになると思ったようだ。ただ、ぼくが着ていたチェ・ゲバーラのTシャツを見て安心したようで、今度はアメリカの悪口がはじまった。サダム・フセインは嫌いだったけど、アメリカがイラクにいるうちは危なくて国には帰れないよ、これまでサダムをさんざん利用したくせに、そのサダムをやっつけてイラクを解放したと言っているアメリカなんて、絶対に信じられない、サダムは嫌いだが、アメリカはもっともっと大嫌いだ…。
 そんな彼がすごく嬉しそうな顔を見せたのがサッカーの話。ドイツにやってきて唯一嬉しかったのが、レベルの高いサッカーを毎週テレビで見れることなのだそうで、ドイツの各チームの話や、いまのイラク代表の話をすごく楽しそうに話してくれた。前々回のワールドカップ予選で日本がイラクと引き分けたせいでワールドカップに行けなかったことや、日本人の高原がドイツでやっていることも知っていた。再来年はドイツでワールドカップが開かれるので、それまではドイツに住むことにしよう、なんてことも言う。どうもイラク人は、平均的な日本人よりずっとずっとサッカーが好きなようだ。
 その運転手さんとは、再来年のワールドカップでの再会を約束して別れたのだが、空港の中に入って振り返ってみたら、彼はまだ手を振ってくれていた。すごく嬉しい気分でゲートに。
 ケルンからアムステルダムに向かい、そこで日本への飛行機に乗り継いで帰国の途に。

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