5月31日(月)

 一月で一番忙しい支払日。支払いをしたり、立て替え金の清算したり、帳簿を締めたり…。今日は銀行がいつもの末日よりずっと空いていたので、けっこう早く帰ってこれたが。それにもうひとつ、良かったのが、今日になってドルが少し安くなってくれたこと。ブラジルへの送金がドル建てなので、先週大幅に上がったときはどうしようと思ったが、今日はまあまあのところで落ち着いてくれたのでホッとした。ただしポンドが異常に高くなっていたのは困りもの。こんな調子だと、イギリス盤は来月あたりから少し値上げしないといけなるかもしれない…。
 なんてことを、支払日には考えるんだけど、値下げはともかく、値上げ話はなかなか切り出せるものではない。例えばカエターノ・ヴェローゾの新作なんて、ブラジルではインタナショナル・アーティストの定価設定。通常のブラジル盤よりも全然高いのに、当社はずっと通常価格で卸している。これじゃまったく儲けなんか出ないのに、値上げ宣言をすることもなくもう何枚出荷してしまったことか…。こんなことやってるからサンビーニャはいつまでたっても儲からないのだ…。
 とかなんとか悩みごとはあるものの、なんとか5月も無事仕事を終えることができた。それを記念して?今日は久しぶりに社員全員で飲みに行くことにした。ゲストはデザイナーの吉岡さん。ぼくは飲み会で仕事の話をするのはあまり好きではないし、今日のゲストはインドネシア音楽としもネタが専門。そっち方面で大きく盛り上がった。

 

5月30日(日)

 今日も朝から事務所に行って仕事。明日が支払日で、帳簿をしめないといけないので、その準備を一日かけて行った。先月はティナリウェンなどがある程度売れたので、今月の入金はいつもよりも多いが、当然出金も断然多い。それらをちゃんと計算してみたら、今月もあまりお金が残らないことがわかってガッカリしてしまった。今年は1月から3月までの落ち込みがヒドかった。それを回復するのは、まだまだ頑張らないといけないようだ。新しいコンピュータを買えるのは来月以降ということになりそうです。
 いきなり真夏がやってきたんじゃないかと思うほどの暑さ。こんな日はビールを飲みたくなるが、ダイエット中なので我慢。今日も会社の帰りにスポーツ・ジムに行って汗を流した(実はもう1ヶ月ほど、時間があればジムに通っている)。30分ほどランニングしただけで汗ビッショリ。

 

5月29日(土)

 会社のコンピュータの調子が度を越えて悪くなってもう半月以上。それ以来、コンピュータを使う作業は自宅ですることになってしまった。新しい事務所に移るときに、基本的に自宅では仕事をしないつもりでいただけに、急に自宅作業をやろうとしても、いろんなところで無理がある。会社でも原稿を書けるように、ある程度資料を持っていっていたのだが、それをまたもって帰らないといけない。それに自宅はあくまで自宅。仕事をするために最低限必要な文具などもそろっていない。この環境で仕事をしようとすると、どうしてもストレスがたまる。本当は新しいコンピュータに買い換えたいのだが、そんなお金は簡単にできそうもないし…。しばらくはこんなストレスの中で仕事をしてゆくしかなさそうだ。
 今日は朝から事務所でトラック・ダウン作業。7月か8月に発売する予定のエンリッキ・カゼスのソロ・アルバムも、とうとう最終段階だ。かなり面白い内容になってきたので、できあがりをお楽しみに。

 

5月28日(金)

 今日も朝から解説原稿書き。先週あたりから会社のパソコンがちゃんと動かなくなってしまったので、今日は事務所にも行かず、ひたすら自宅で仕事した。とりあえず<ラフ・ガイド>シリーズのイタリアン・アンダーグラウンド(イタリアの新世代音楽。けっこう面白い!)の解説を完成。その後、ラスから出たアントニオ・カルロス・ジョビン集など、ブラジルものの解説もいくつか書きはじめたので、これらも夜には終わるだろう。ブラジルものは手元に資料がたくさんあるので、書くことに困らない。こういうときは解説が早く書き上がります。

 

5月27日(木)

 木曜日はリスト作成の日。そのため昨晩帰宅してから少しサンプルのチェックをしたのだが、今朝も早く起きてそれの続きを。というのも、今週は送られてきたサンプルがやたらと多く、しかも内容がすばらしいものがたくさんあったりしたので、聞くのに時間がかかってしまった。
 中でもすばらしかったのが、トルコ歌謡の第一人者ゼキ・ミュレンの76年録音だ。昨年当社で発売した2枚組『トルコ歌謡の遺産』(ライス KLR-3401)もすばらしかったけど、あれはミュレンが正調古典音楽を歌った珍しい録音を集めたものだったのに対して、こちらは完全な商業レコーディングだ。でも、全盛期のそれだけに、大スターならではの華やかな魅力は正調古典を歌った方よりも断然感じられる。トルコの人々が愛するゼキ・ミュレンは、このアルバムのほうだ。こういう商売っ気たっぷりの歌を聞いて生きた古典音楽を感じるのは、ぼくだけじゃないだろう。
 もうひとつ、すばらしかったのが、このページでも以前少し触れたワールド・ミュージック・ネットワークの<イントロデューシング>シリーズ。最初のリリースの3枚のサンプルが届いたのだが、これが3枚ともすばらしい内容でビックリしてしまった。ベン・マンデルソンがプロデュースした南アフリカものもすごく良いけど、それ以上に気に入ったのがマダガスカル・オール・スターズ名義で作られた作品。近頃のマダガスカルものではダントツじゃないかと思うくらいの充実した内容だった。このシリーズは来月、じっくり営業して売ることにしよう。
 ゼキ・ミュレンも含めて、すべて6月後半の発売。店頭に並んだら、ぜひチェックしてみてください。

 

5月26日(水)

 今日も午前中はひたすら原稿書き。サンビーニャ印のアルバム解説もここのところ滞っていたので、今日はそちらを少し書き進めることにした。朝の5時から頑張って、お昼までにアフリカ音楽のSP音源をまとめた『アフリカ大衆音楽の夜明け』ジルベルト・ジルの『アーリー・イヤーズ』を完成。
 ただ、先週からロクに休んでいないので、午後は思い切ってお休みにすることに。友人と会って、夕方くらいまで、浅草を歩き回った。そして最後は<あらまさ>で一杯。ここの日本酒はいつ飲んでもフルーティ。食事も美味しいし、とてもリフレッシュされます。
 事務所には『砂漠のフェスティヴァル』の再注文分が到着。ここんところ売れまくっているので、今月だけでももう2度目の注文だ。ありがたい限りです。

 

5月25日(火)

 今日も朝から原稿書き。ギュライをなんとか完成させた。こちらも資料の少なさは昨日のゴンサーロくんと同様。でも、いくら調べてもないものはないのだから仕方がない。サンビーニャの仕事をしてゆく限り、データが少ないことに関しては慣れるしかない。
 ギュライの解説を書いていて、ひとつ思ったのが、ハルクという言葉。トルコ音楽のジャンル名で<民謡>を指す用語のようだが、スペル(HALK)からして、これは英語の<フォーク>が語源だろう。そんなジャンル名の成り立ちからして、この音楽は最初からポピュラー音楽として生まれたものであり、それほど古いものではないことがわかる。トルコ音楽のジャンル名に関しては、まともに取り合っても仕方ないものも多いが、ハルクもフォークだと思えば、なるほどと思う部分も多い。南米のフォルクローレみたいなものですね。
 なんてことは解説原稿に詳しく書いてあるので、ぜひギュライのアルバムを買って読んでみてください。
 そうそう、遅れていたトルコ盤が入ってきて、サンプルも大量入荷。トルコ音楽は相変わらず面白そうなものが多い。

 

5月24日(月)

 朝からひたすら解説原稿書き。ライスから今週発売になるゴンサーロ・サルゲイロとギュライの解説をぜんぜん書いてなくて、今日になってあわてて書きはじめた。本来なら先週には書きあがっていないといけなかったのだが、今月はなぜか外出しないといけない雑用が多い。おかげで書き物仕事がなかなか進まなくて困ってしまった。
 しかしこの2本がともに大苦戦。今日はゴンサーロ・サルゲイロだけ、ほぼ完成したが、ギュライは明日になりそうだ。ライスのアルバム・ガイドのページを見ていただいてもわかるように、ゴンサーロくんは当社がアルバムを出している歌手たちの中では抜群にイケメン。そのせいか、ファド歌手にしては珍しく自分のホームページも持っているのだが、そのホームページというのが、見せるのが本人の写真くらいで、バイオ・データも載っていないからビックリしてしまった。レコード会社に問い合わせみても、大した資料は送られてこないし、こういう時はなかなかペンも進まない。それで大苦戦してしまったわけです。
 それにしても、ゴンサーロくん、顔だけ見るとぜんぜん歌えなさそうだけど、これがしっかり伝統派だったりするから、ポルトガルは不思議だ。こんなにイケメンの男性が伝統歌謡を歌う国なんて、ちょっと他にないのではないだろうか?

 

5月23日(日)

 ゆっくり寝て9時過ぎに起床。朝ごはんを食べたら、また眠くなってソファに横になったら、午後3時まで寝てしまった。それくらい疲れていたということだろう。こういう日はどうあがいても仕方ない。その後は一週間分の食材を買って、掃除をして、洗濯をして、ついでに明日のお弁当を作って、もうおしまい。ゆっくりモードになってしまった。夜はカルトーラなどをLPで聞いて、早めに就寝。昨日と同じで寒いくらいだから、寝るのにはちょうど良い。

 

5月22日(土)

 冬が戻ってきたんじゃないかと思うくらい寒い一日。暖房を入れたくなったくらいだ。でも、こういう日に限って外出しないといけない。午後から再び松戸に行って、父の会社の打ち合わせの続き。これが思い切り長引いて、帰宅したのは午後10時過ぎだった。というわけで、今日も本格的な仕事ができなかった一日。こういう日が続くとフラストレーションがたまる。
 深夜は紙ジャケットで再発されたジャニス・イアンのCDをゆっくり楽しむ。考えてみれば、ジャニスはLPでしか持っていなくて、CDで聞くのははじめてだ。

 

5月21日(金)

 今日は朝から雑務整理。金曜日はいつも残り仕事の整理に追われてしまう。ついでに打ち合わせもあって、忙しい一日。夕方デザイナーの吉岡さんと飲むはずだったのがキャンセルになったおかげで少し早く帰れたけど、なんだか疲れる一日だった。夜は自宅でレコードを聞きながらゆっくり。

 

5月20日(木)

 朝からリスト原稿。ブラジルでは毎年この時期になるとリリース点数がいきなり多くなるが、今回もそんな感じ。だから、まとめるのに時間がかかる。今週はクアルッピなど、インディ系の会社のリリースが多かった。また、ヨーロッパからも新しいリリースの情報が入ってきているが、未確認ものが多くて、今週は紹介できていない。今週のメインは、つい最近このページで紹介した<ラフ・ガイド>シリーズのファド特集。曲目をチェックしたら、本当に幅広い世代の歌手たちを紹介した内容で、まさに入門編には持ってこいの内容だ。6月上旬に入ってくるので、どうぞお楽しみに。

 

5月19日(水)

 昨日休んだおかげで、少しは体調が戻った。まだ少し風邪が残っているけど、体がダルいのだけは治った。そこで朝は早く起きて自宅作業。午後からは外回りの仕事を頑張る。

 最後は上野でミュージック・マガジン編集長の高橋修くんと打ち合わせ。もう夕方だったので、ゆっくりお酒を飲みながらアレコレ話し合った(と言っても、修くんは飲めないので、飲んだのはぼくだけだけど)。思い出してみれば、修くんのことはマガジンに入社したときから知っているのに、こうしてふたりで食事したりするのははじめて。修くんに限らず、サンビーニャを作ってからというのも、ぼくはこれまで雑誌関係の人とあまり積極的に会うことはなかった。でも、先月号の<砂漠のブルース>特集のおかげでCDも売れていることだし、これからはもっと仲良くしてゆかないといけないのかも。そう思っての飲み会でした。
 と言っても、今日の打ち合わせはぼくが営業しようと思ったからではなく、マガジンからの原稿依頼。しばらく雑誌に原稿なんてものを書いていなかったけど、今回は久しぶりにお引き受けすることにした。何について書くかは、いまは秘密。来月発売される7月号をお楽しみに。

 

5月18日(火)

 先週からあまり体調が良くないので、今日は思い切って休んでしまった。ひたすら自宅で休養。本を読んだりCDを聞いたり。これくらい何も仕事をしなかった日も珍しい。

 

5月17日(月)

 朝少しだけ事務所に顔を出して、午後からは父親が社長をやっていた会社の会議に出席。父が3年前に亡くなった後、仕方なくてその会社の取締役を引き継いだのだが、おかげで給料ももらってないのにときたま会議くらいは出ないといけない。今日はどうしてもいないといけない議題だったので、松戸まで行ってきたわけです。
 でも、よくよく考えてみれば、長男であるぼくは、本来なら会社を継がないといけない立場。それなのに、こうしてずっと好きなことをやってきたわけだから、父やその会社には感謝しないといけない。いまだって、こうしてたまに会議に出たくらいで済んでいるのだし。
 ただ、こういう慣れない仕事をすると、どうしても普段よりも疲れる。母親と久しぶりに夕食をしたのだが、眠たくて仕方ないので、早めに帰宅。すぐに布団にもぐりこんでしまった。

 

5月16日(日)

 久しぶりにグッスリ睡眠。10時間くらいは寝てしまったのだろうか。爽快な目覚めだ。こういう日は気持ちが良い。今日は事務所には行かないつもりだったので、午前中は久しぶりに掃除と洗濯。スポーツクラブに行って汗を流して、帰りに一週間分の食材を買い込んだ。いつもならワインとかも買うんだけど、今日はお金がないのでアルコール抜き。今週と来週は節約週間になりそうです。
 午後は自宅でひたすら原稿書き。たまっていた解説原稿をとにかく先に進める。先週先々週といろいろと雑用が多く、解説書きをサボッてしまったので、今週は少し頑張らないといけない。日記なんて書いている場合じゃないみたいです(笑)。

 

5月15日(土)

 朝はプライヴェートな用事で外出。なんてことない、実家に行って母親に頼まれた用事をアレコレとやってきたわけだけど、たまにしか会わないので用事がたまっていて、時間がかかってしまった。でも、父が亡くなってしまったいまとなっては、ぼくが母の言うことを聞いてあげるしかない。今日は全部終えられなかったので、また来週の月曜日に行くことになりそう。
 その後、午後1時に事務所に。先にブラジルでレコーディングしてきたエンリッキ・カゼスのアルバムで、ソロ・パートの録音で遅れていた部分が無事終了。録音データが到着したので、さっそく昌くんと一緒にミックスをやってみた。ぼくが事務所に着いた時には昌くんがだいたいやっておいてくれたのだが、パンやエフェクトを少しだけ直して、いちおう終了。残りは昌くんにまかせることにした。今度の録音は音がスゴく良い。仕上がりはよさそうだ。来週にでもまた改めてチェックすることにしよう。
 ちょっと風邪気味なのか、帰宅後はグッタリ。ソファで少し昼寝して、起きた後はご飯を食べながらテレビで女子バレーボールを見て、11時にはまた寝てしまった。

 

5月14日(金)

 今日は朝から自宅作業。今週中に終わらせないといけない雑務がたくさんあって、それを仕上げることに集中した。その後、夕方6時過ぎから浅草の<あらまさ>で荻原さんと久しぶりに飲み会。最近入手したCDなどの話を肴に、音楽の話で盛り上がった。
 ここでも話題になったのが、例のCDの輸入規制の話。ぼくのところにも音楽評論家の友人たちからこの件に関するメールがたくさん来ていて、意見書を出すので賛同するなら名前を借りたいといわれているのだが、実はぼくはまだこれに返事をしていない。ひとつには、ぼくは音楽評論家ではなく、CDを売る側であり、メイカーに近い立場だからだが、そんなこと以上に、どうもいまのやりとりそのものが問題の本質から離れたところで行われているような気がしてならないからだ。今回の輸入規制が法律化されて儲かるのは、本当にメジャー各社なのかどうか? メジャーが輸入盤を売らなくなってより儲かるような状況がくるとは、ぼくにはどうしても思えなし、そんなことはメジャーの会社だってわかっているように思える。でも、だとしたら、そこで誰が得をするのか? だいたいレコード業界ごときの小さな業界の問題で、法律が改正されるなんてことが起こる方がおかしい。これはもっと巨大な力が動いているか、何か裏があるようにしか思えない。
 なんてことを荻原さんと話しつつ、あらまさではお鍋も食べて、さらに帰りに駅に向かう前に、ワインと焼酎をメインにした焼き鳥屋さんでサイデーラ(ブラジル語で最後の一杯のこと)。今日はちょっと食べすぎだ。この2件目のお店、はじめて来たのだが、若い人がやっているみたいで、けっこう美味しそうな料理が並んでいる。今日はとても食べられないので、次にお腹を減らしてまた来ることにしよう。

 

5月13日(木)
 
 朝は昨日にはほとんど仕上がっていたリスト原稿を確認。さらに事務所で雑用を済ませて、午後からは外出。まず池袋で本を買って、その後に新宿に向かい、タワー新宿店で仕事に使うCDをいくつか購入。その後はプロマックスの早川さんと久しぶりに打ち合わせをした。
 プロマックスは、ご存知のように昨年ジョアン・ジルベルトを招聘。ぼくは見に行けなかったが、ジョアンの舞台裏での奇行ぶりが話題になっていた。そのあたりを早川さんに聞いたところ、実はウワサ以上だったと知ってビックリ。ジョアンのライヴは売れているようだけど、これが発売されるまでの裏話も面白かった。
 早川さんとは以前にインドネシアのワルジーナの日本公演などでご一緒したのだが、こうして久しぶりに会ったのは、もちろん新しい仕事の相談があるからだ。でも、これについてはまだヒミツ。今年の後半、そして来年あたりには、当社がからんで面白いことがありそうだとだけ言っておきましょう。

 

5月12日(水)

 今日は朝からリスト原稿。リリースもとの都合でティナリウェンのファーストの発売日がズレてしまったので、今月のリリース日程はメチャクチャだ。それを整えるのが、今日の仕事。幸い新しいアイテムが見つかったので、なんとかなりそうだが。

 毎年5月から6月になるとヨーロッパでは新作のリリースが多くなるが、なかでも気合が入っているのが今年で10周年を迎えるワールド・ミュージック・ネットワークだ。<ラフ・ガイド>シリーズが良くなってきたことは、この欄でも何度か書いたが、来月の<ラフ・ガイド>は<ファド>とブラジルの<バイーア>。バイーアはともかく、ファドの方は、当社も含めて新しい世代の歌手のアルバムがたくさん出ているときだけに、まさにグッド・タイミングだ。このように聞き手のニーズにぴったり合った企画が出るというのがノッている証拠。こういうときは内容も良くなるものなのだ。
 そしてさらにもうひとつ、ワールド・ミュージック・ネットワークは<イントロデューシング>という新しいシリーズも企画していて、ここからも面白そうなアイテムが出るようだから、ますますすばらしい。第一弾には3枚のアルバムがリストアップされているが、そのうちのひとつの南アフリカ録音盤は、グローブスタイルやピラーニャでの仕事ですっかりおなじみのベン・マンデルソンによるプロデュース。彼のようなベテランまで取り込んで仕事をするなんて、フィル・スタントン社長もスケールの大きな仕事をするようになってきた。どんな内容に仕上がっているか、来週には音を聞けるようなので、楽しみだ。

 

5月11日(火)

 昨日に続いて午前中は経理の仕事。朝の早い時間に終わって、お昼前には会社に出られたのだが、不思議なもので、こうしてお金関係の仕事をしていると、どうしても音楽に集中できない。ニューリリースのアイディアも全然うかばないし、原稿も書けないから不思議なものだ。どんなにアタマを切り替えようとしても、こういう日はダメ。音楽のことを考えるのと、お金の計算をするのは、ぼくの中でまったく相容れないもののようだ。
 まあ、採算のことを考えたら絶対に出さないようなアルバムばかりを出しているのだから、相容れているわけはないのだが…。

 英ラスからティナリウェンのCDが大量入荷。おかげさまで売れ行き好調で、早くもバック・オーダー分だ。そして仏メロディーから今月リリースするケレティギ・トラオレの1960年録音も到着。こちらは今月にライスで発売になるアイテム。ギネア音楽の歴史に残る貴重な録音なので、発売する時にまたじっくりご紹介することにしよう。

 

5月10日(月)

 どんなに長くゴールデン・ウィークしていた人も、今日からは仕事。休み気分を忘れて、改めて気を引き締めないといけない日だ。ただ、休みが続いた後の初日は、どうしても実質的な仕事には手が回らない。今日は銀行での支払いをひとつ済ませてから出社。さらに別の支払いなどをして、帳簿を整理。経理仕事に追われて過ごしてしまった。午後からはサンプル盤をいくつかチェック。これで明日からは本格的に原稿書きをはじめられるだろう。

 ところで、今日はぼくの45回目の誕生日。別にだからどうってことはないのだが、こういう節目の日が好きということもあり、なんとなくいつもと違う気分で過ごした。四捨五入するともう50歳。もうバカなこともやっていられない年だ。社会的にもこれまで以上に責任を持たないといけない。いまさら何言ってんのと言われてしまいそうだが、これからはいままで以上に大人になることを目指さないといけない。

 

5月9日(日)

 朝目が覚めたらすっかり回復。午前中に事務所に来て、雑用をいくつかこなし、午後は音楽評論家の蒲田耕二さんと一緒に中村とうようさんのご自宅を訪ねる。午後2時に到着して、さっそくビールで乾杯。それから夜の9時までビールを飲むという、珍しい展開だ。病み上がりなのに、こんなに飲んで大丈夫かと思ったが、ゆっくり休んで体調万全のせいか、いくらでも入ってしまう。ぼくだけではなく、とうようさんがこんなにお飲みになるのを久しぶりに見た。

 とうようさんが先にプロデュースしたウィリー長崎さんのアルバム『海上の道』は、5.1サーラウンド・システムという形で作られていたのだが、とうようさんがそのサーラウンドをお買いになったので、さっそく聞かせていただいた。通常の2トラック・ミックスでパンを大きく振った部分の音を、さらに後ろのスピーカーから出るくらいまで振れるのだから、そういうワイドなサウンドが好きな人には楽しいだろう。自分でもサーラウンドを買おうかと思う前に、こんなミックスを一度してみたくなった。

 さらに蒲田さんがヨーロッパの歌謡音楽がお好きということから、とうようさん秘蔵のLP棚からスペインやポルトガルなどのアルバムを引っ張り出して、聞かせていただく。久しぶりにとうようさんのレコード棚を見せていただいたが、引越しの時にぼくがお手伝いして棚に収めた後、また整理しなおされたようで、すっかり見つかりやすい形に並べられていた。これだけレコードや本をお持ちなのに、よくもこれだけ几帳面に整理できるものだと、改めて感服した。

 

5月8日(土)

 昨日に続いてお休み。昨日仕事をしなかったせいか、ずいぶん体調が戻ってきた。今朝は10時まで寝たのだが、これくらいゆっくり寝れば疲れも取れる。夕方にはすっかり良くなってきて、食欲もわいてきた。今週分の食材をまとめ買いして、夕飯を作る。きゅうりとナスのヌカ漬けはけっこう上手くいった。

 

5月7日(金)

 一昨日あたりからどうも体調がおかしい。昨日はなんとか我慢して仕事したのだが、今日は熱もあるようだし、お腹の調子もよくない。仕方ないので、自宅で療養することに。ひとつだけ、外国への送金だけはしないといけなかったので、頑張って銀行に行って済ませてきた。こういう日はジタバタしても仕方がない。ゆっくり本でも読んで体を休めよう。きっと疲れがたまっているのだろう。

 

5月6日(木)

 久しぶりに全員出勤。みんなゆっくり休めたのか、スッキリした顔をしている。先月の後半は忙しかったから疲れもたまっただろうけど、もう大丈夫という感じだ。

 日本は連休でも、ほかの国は関係ないわけで、毎日のように仕事のメールが来るのは連休中でも変わらない。毎日変わらず返事を書いてしまっているので、日本が連休だなんて気が付かない取引先も多いことだろう。そんな日常とおりのメール交換の中で、ひとつ嬉しいことがあった。というのも、当社ではポルトガルのCNNという会社と独占契約をして、ジョアナ・アメンドエイラアレシャンドラのアルバムを配給させてもらっているが、そのジョアナ・アメンドエイラ自身が、日本のレコード店に自分のアルバムが並んでいることを日本の知り合いから聞いたらしく(彼女は昨年だかに来日している)、オビと解説がついた当社の装丁をとても気に入ったということをCNNに話したのだそうだ。CNNはさっそくメールしてきて、貴社の扱いに感謝する、ぜひそのオビ付き商品を見せてくれ、これからの海外でのディストリビュートの参考にしたい、もしもよかったら買ってもいい、と言ってきた。もちろん、CNNの商品をCNNに売っても仕方がないのでお断りし、オビと解説を数部ずつ送ってあげたのだが、はじめてお付き合いするポルトガルの会社の素朴なまでの喜びようは、微笑ましかった。

 CNNの人たちとは知り合ったのは、昨年のWOMEX。リオ訛りのブラジル語を話す日本人に驚いたようだが、その後はすっかり仲良くなって、今度ポルトガルに行ったときにはリスボンを案内してくれると言ってくれた。ポルトガル人の知り合いはまだまだ少ないが、ブラジル人以上に素朴で、良い人たちのように思えてきた。

 夜は女性の友人と家の近くの広東料理屋さんで夕食。久しぶりに紹興酒を飲んですっかりゴキゲンに。

 

5月5日(水)

 今日はゴールデン・ウィークもいよいよ最終日。まだ9日まで休む人もいるらしいけど、ほとんどの会社は明日からはじまる。そろそろ気を引き締めなおさないといけない。
 ただ、今日までずっと仕事ばかりだったので、明日からのことを考えて今日だけはお休みにした。朝はゆっくり起きて、午後は浅草へ。夕方から<あらまさ>で一杯という、休みのおきまりのパターンだ。ただ、外があまりに肌寒いので、夜は早めに切り上げることに。結局8時頃には帰宅しちゃったので、自宅で読み直してしまった。

 行き帰りの電車の中で、いま同業者たちの間で議論になっている、いわゆる輸入盤の規制の問題について、これまでネットなどで出ていた記事をプリントアウトしておいたものをまとめて読んだ。ちょうどブラジルに行っていた時に問題がクローズアップされたこともあり、これまで時間が取れなくて、なかなか全体像を把握できなかったが、やっと問題の深さがわかってきた。音楽なんてどうでも良いと思っている人間たちがこういう法律を勝手に決めようというのだから、ロクな結果が出るわけがない。法律がどうなろうと、ぼくは隙間をかいくぐって生きてゆくだけだけど、そんなことをできないであろうデカい会社が心配だ。

 というわけで、いろいろあるけど、もう休みは終わり。明日から、また頑張るぞ。

 

5月4日(火)

 今日もひたすら調べ物と読書。それに音源チェック。読書というのは、ひとつを読み出してしまうと、他にいくつも読みたい本が出てきてしまって、キリがない。そうは思いながらも、午後からは池袋に繰り出してJUNKU堂で本探し。これが楽しくて、また盛り上がってしまった。
 本探しはインターネットで検索した方が簡単だという人もいる。確かにそうだろうけど、ぼくは実物を手に取らないとどうしても買う気がしないので、いまでも本屋さんが大好きだ。インターネットで調べておいて、その本を買いに行くということもあるんだけど、本屋さんでたくさんの本を目の当たりにしてしまうと、他の本にも目が移ってしまって、まったく関係ないものまで買ってしまう。でもですね、こういう本が後になってすごく役立ったりするものだから、楽しいのだ。それにJUNKU堂はゆっくり本を立ち読みできるから、すごく好き。今日も4時間があっという間にたってしまった。

 

5月3日(月)

 昨日に続いて調べ物。ただし午後には早く帰宅して、自宅の掃除と荷物整理をやっつけることにした。実はまだブラジルから持ってきて未整理だった荷物があったのだが、それらを早く片付けないと、次のプロジェクトのためのLPやSPを引っ張り出せない。狭い家だから、ふたつの仕事を同時進行でできないわけです。そんなわけで、午後は必死の片付け。おかげで自宅のリヴィングがやっと整理できた。
 実はブラジルで買ってきたLPのうち、60枚が別送。それがゴールデンウィーク後くらいに着いてしまうのです。そうなると、せっかく今日整理がついた部屋がまた大混雑になってしまう…。60枚は早く聞きたいんだけど、仕事にならないのは困ったものです。

 

5月2日(日)

 昨日が朝早くからの仕事だったので、ちょっと疲れ気味。でも休むわけにはゆかないので、会社に向かい、午後遅い時間まで調べものに時間を費やした。このゴールデンウィークは、いくつかやりたいことがあったのだが、そのうちのひとつが次のライスの新作復刻盤の解説を書くための調べもの。昨年ニーニャ・デ・ロス・ペイネスの原稿を書くにあたっても、スペインやスペイン文化についてあれこれ本を読んだのだが、それがすごく勉強になったので、今回も本格的な制作作業の前にこうして準備期間を取って読書やインターネット検索をしようと思ったのだ。こうして調べたことがアルバムの解説に直接的に役立つ部分は非常に少ない。やってもやらなくても結果はそうは変わらないと思うけど、でも後々まで考えると、やっぱり何かの足しになっているものだ。もちろん、忙しいときにそんな悠長なことをやっていられないので、こういう時にやるしかないのだが。
 そんなわけで、今日も夕方6時まで、きっちりお仕事。でも、こういう仕事はとても楽しい。

 

5月1日(土)

 今日から本格的にゴールデンウィークだなと感じたのは、事務所の近くのお店がどこも開いていないから。というのも、当社の新しい事務所は埼玉県の県庁の近くにあり、近くのお店はほとんどが役人たちを相手に商売しているのだ。だから今日から一緒にお休みになってしまうわけ。なんだか寂しいくらい町が静かになってしまっている。
 とかなんとか言いながらも、車の少ない道路は好きだし、お店が開いてなければ自分でお弁当作って持ってくればいいのだから、まったく問題はない。今日は朝から税理士さんと帳簿のチェック。午後は休み明けの支払いをチェックして、さらに自宅に戻ってアルバム選曲の仕事も少しやってと、忙しく一日を過ごした。でも、先週ほどは疲れを感じない。月末の忙しい時期が終わったので、少しは気が楽になったということだろう。

 夜は自宅でサンプルのチェック。そして趣味の時間に移って、最近買ったLPもチェック。遅くまで音楽を聞くことになった。特に面白かったのが仏ブッダの作品のいくつか。前回の注文のときにカタログをチェックしながらサンプルを注文したのだが、届いたアルバムを聞いてみるとけっこう面白い。今後機会を見て紹介することになりそうだ。驚きのアフリカ音楽気合が入っている。そうそう、以前この欄で紹介した『コロンビア:パレンケのアフロ・カリビアン・ミュージック』(サンビーニャ TS-5053)と『クンバンチャ! キューバ:グァンタナモとバラコアの音楽』(サンビーニャ TS-5046)も、ともにすばらしい内容だった。この2枚は発売済み。ご注文いただいたお店にはすでに並んでいるはずだ。ただし、こういう内容のアルバムだと、すべてのお店で買えるわけではない。もしもお近くのお店で見つけられなかった場合は、当社通販部に直接ご注文ください。いまなら在庫あります。

 

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